第6話―戦士ボルカー登場
男の戦士は荒れた大地を歩いていた。
食料も残りわずか。重い武器や鎧が体力を奪っていく。
魔物の集団が近くの森に入っていくのを目にする。
100近い数の魔物たち。男は思った。もしかすると、人がいるのではないか、と。
村で魔物の攻撃が始まった。
破壊担当のブラウニー軍団、殺しのガイコツ軍団が波打って攻めてきた。
ケントの斬り、ソウカの魔法、かりんのゴーレムの攻撃、ライナの弓術、リリアンの翻弄。
何度かの波打ち攻めは、夕方まで続いた。
最後の敵が倒され、戦いは終わった。
拠点の村は無傷で守りきり、一度目の決戦は勝ちを収めた。
夜になり、勝利の祝いで村は賑わっていた。
そうしていると、外のほうで誰かが歩いてくるのを目にした。
戦士のような男は村の手前で倒れる。
戦士を家の中で休ませると、水を飲ませてあげた。
戦士の男「ちゃんとした家で休むのは初めてだ。ここはいったい?」
ケントは、ここに村を作って人々の安寧の地を築いていると話す。
戦士の男「私はボルカー。しばらく安住の地がなかった。魔物退治と家を一軒作ってもらえたら、ここに落ち着きたい」
ボルカーは疲れが出たのか、ぐったりと眠る。
10人の人がこの村に住むこととなり、村はまた少し再興した。
女神ガイア「人々が集まるのは、私も嬉しいことです。しかしながら、先日の魔物集団に、いえ大陸を支配している者に目を付けられました」
戦闘のできる人が増えたことも、脅威が増すことと同じで、女神ガイアの言ったことを理解する全員。
フェンリルのガルガ「我は戦闘が起きる一刻前、我と同じ志のある魔物たちがいることを知った。魔物の集落だ」
ケントは頷く。夜も深まってきた。皆はそれぞれの家や部屋に向かい、眠りにつく。
翌朝になり、ライナは櫓に、ボルカーはケントに家を作ってもらった。そのボルカーは村の警備を担当した。
リリアンは皆の武器を作るために、鉄や銅のある鉱山に潜った。
フェンリルのガルガは魔物の集落ゴブリン村に走った。
それぞれができることをやる中、かりんは村の近くの池に立ち寄る。
そこに、一匹の大きな亀がいた。
亀「お嬢ちゃん、悩みを抱えておいでだ。どうしたかね?」
仙人のような亀は後ろ足を使って二本足で立ち上がる。亀は棒を掴んで老人のように歩く。
かりん「村にたくさんの人が来ました。皆さんはとても頼もしいですが、私は何もできません」
仙人の亀は考える。
仙人の亀「わしはヤートルじゃ。それは、のー。お嬢ちゃんは皆に守られているからじゃ。今は色々な人と話して、知識を得るがよい。お嬢ちゃんなら、必ずいい道を導き出す」
亀のヤートルにかりんはお辞儀し、その場を去っていく。
女神ガイア「さすがは、四神の元亀ヤートル様ですね」
女神ガイアがヤートルの前に立つ。
ヤートル「天空人の女神か。今のわしに、四神の力はない。目覚めたのも、つい最近じゃ」
女神ガイア「ものづくりの杯に再び水が溜まり始めました。この大陸を支配する魔物の統べる者がいなくなれば、守護をお願いしたいのですが?」
ヤートルは石の椅子に座る。
亀のヤートル「奴はあれを持っている。守護ができるかは、あれを取り戻してからじゃ」
分かりました、と女神ガイアは去る。
ものづくりの杯に、ぽちゃんと水が落ちる。杯は一定の量の水が満たされたことで、その杯の大きさを広げる。
ー第7話に続く―