第5話―村への発展と戦いの始まり
5大陸。ケントたちのいる村の大陸は、中心地点にあり、他の斜め四方の大陸は曲がりくねった形で海を隔てて存在している。
森や高い崖があるケントたちのいる村。
東の大陸。毒沼の広がる草木の病んだ土地や雨の降る湿地、アンデッドの出る死霊の大地がある。
西の大陸。火山と豪雪の大地。鉱石と雪山が別々にあり、火山の大地は鉱石を、雪山の大地は森林と氷の地面が占める。
南の大陸。色の無い大地。草木も枯れ、色の無い土や石に囲まれた大陸。この大陸に着くと、船橋の先に、人のような石像が一つある。
北の大陸。闇が大地を閉ざし、明かり無しには進めない。この5大陸全てを封印している、黒い城があり、魔物が大地にあふれている。
ドワーフのリリアンが加わったことにより、村の再建が始まった。
村の中心には、辺りを見回す櫓が立てられた。
しかし、人数は未だに5人と、村というより家と鍛治場、貯蔵庫の3種類しかない。
フェンリルのガルガが、人の匂いを感知する。
ガルガ「ケントよ、脚の速い人間が近づいてきているぞ!」
遠くの方から離れた場所で、矢が飛んできた。
ケントは魔法で矢を破壊して弾く。
マントの男「俺の矢を受けて、破壊しただと?ならば、これはどうだ!」
男は弓を3本同時に射ってくる。矢はターゲットを外すことのないよう、スキルが備わっていた。
ソウカ「フレイムシールド!」
ケントの前を炎の壁が昇る。
マントの男「お前たちは何者だ? 何をしている?」
男は木の枝から下りて、姿を現す。
ケント「ここに、村を作っている者です。あなたこそ、誰ですか?」
男は小刀を出して、ケントに襲いかかる。ケントはリリアンからもらったロングソードで、小刀を受ける。
男「ドワーフ製の剣。人間が持つことなど、ないと思っていた」
男は空中を跳んで反転し、村の中に入る。
男「俺は弓使いのライナ。なるほど、綺麗な家や倉庫だ。長らく各地を転々としていたが、そろそろ逃げることに飽きてきたところだ」
ライナはそう言うと、地面に座り込む。
ライナ「この大陸に、助けを求める人々がいる。俺は旅に出る前、親や祖父母から、この大陸の謎を教えてもらい、この大陸中を歩いた」
女神ガイアは悔しい顔をして、空を見上げる。
女神ガイア「今はその話は止めましょう。その時ではありませんから」
こうして、ライナが村に加わって、弓使いの家が作られた。
夜がきた。ケントたちがこの世界に来てから、もう数日が立つ。
魔物の集団がゆっくりと、確実に村へ迫っていた。
ライナが村に来て、翌朝を迎えた。ライナは櫓に日中はいて、夜は皆と一緒に食事を済ませていた。
ケントはライナの横に座る。
ライナ「俺の知る限りの情報を教えよう。フッ、人と食事をする、っていうのはこんなにも楽しいものなのか」
さらに、翌朝。ケントはガルガを伴って、ライナから得た情報をもとに、近くの崖を登って、困っている人がいないか探した。
ガルガが人の匂いを嗅ぎ付けた。ケントは足早に、人のいる方角へ向かう。
一人の女性が、石の墓に両手を合わせていた。どうやら、シスターの職業らしい。
シスター「世界が光を失って、いく数百年。また一人、天に召されました」
ケントがシスターの横に立ち、人の墓に両手を合わせる。
シスター「久しゅう、人を見かけました。あなたはいったい?」
ケントはシスターに村を作っていると話す。シスターは名乗る。
「ミルルと言います。あなたの村へご案内くださいませ」
ケントとミルルは村に向かうことになった。途中、ミルルが薬草を見つけて、村には教会を建ててほしいと願った。
村に着いたケントとミルル。ケントはミルルの願いどおり、教会を建てた。ドワーフのリリアンもガラス細工を教会に飾り、村は以前よりも鮮やかになった。
そして、ついに魔物の集団が村を近づいた。ケント、ソウカ、リリアン、ライナの4人が村の外で待ち構える。
魔物を従える城の主が立ち上がる。
???「あのお方に、この大陸を任された。人が世界を変えるのは、我には気に入らん!」
大きな水が、ものづくりの器に落ちる。
―第6話に続く―