第2話―家をつくろう―
ケント「あなたは?」
緑色の長い髪をした女性は、ケントの前に座る。
ガイア「私は女神ガイア。あなた方の身を護るため、そして、世界を救う方々として、お導きした者です」
ケント「僕らは死んだのですか?」
女神ガイアは首を横に振る。
「いいえ。でも、あなた方の世界は死にました。この空間は、異世界ではゆっくりですが、あなた方の住む世界、地球では暗黒の時代を迎えています」
女神ガイアは指を回し、今現在の地球を見せる。
「地球は厳しい冬、氷河期が襲い、多くの大陸は津波で飲まれ、すでに何百年もの時が流れています」
ソウカは目を覚ます。
「あなた方を地球に返す前に、戻るべく道は時空の乱流で神である私にも難しいのです」
ソウカは女神ガイアの言葉に口を手で覆う。
女神ガイアは別の方向に指を回し、暗い世界を映す。
「ケントさん、私はあなたの持つクラフトマスターのスキルを見つけました。さらに、勇者のスキルもいくつかお持ちです」
女神ガイアはケントのステータスをケントの前にスライドして見せる。
「ソウカさん。あなたも、クラフトスキルを少しお持ちですね。その反対に、魔法のスキルはほとんどマスターしています」
ソウカのステータスもスライドして、ソウカの前に回す。
女神ガイア「迷惑を承知でお願いします。どうか、この世界を救うのを手伝ってもらえないでしょうか?」
今は自分たちの世界を救えない。でも、自分たちの力で救える世界があるなら、そう思う二人は決意した。
ケント「行かせてください!」
ソウカ「救える世界があるなら!」
今使える武器やスキルを女神ガイアはケントとソウカから解放した。
女神ガイア「この異世界は、ものを作るという概念そのものを失っています。つまり、衣食住が無く、人口も世界中で100人いるかいないかです。行きましょう!」
時間が巻き戻る。眠っていた少女が目を覚ます。
ケントは斧を出して、木を何本か切ると、加工して木材にする。
その木材を使って、木の作業台を作る。
ソウカ「あ、これゲームで見たことある!」
ケントは続いて、近くの崩れた岩をブロックに加工して、土台と壁の基礎部分に分ける。
女神ガイア「あなた、名前ある?」
ガイアに名を聞かれた少女は頷く。
少女「かりん、です。あの人は、何をしているのですか?」
女神ガイア「この村に、新しい家を作っているのです」
少女かりんは、ケントが土台の基礎を土から石材に置き換え、板数十枚を魔法で配置し、周りを石材の壁で囲む。
ケントにガラスを加工するスキルはないので、板を加工して扉や窓にして四角く空けた場所にはめ込む。
ソウカは花や草を魔法で溶かして、色分けする。ペンキの完成である。
夕方になると、風の魔法で乾かした家が完成。明かりは、とりあえず消えない燃え移りしない永久青色炎を灯して、家の中を照らす。
ケント「今日は、ソウカの作るヘルハウンドの肉料理かな。明日は、洞窟を探して鉄集めと、食料探しだね」
ソウカは包丁を出して、ケントの作ったまな板で、ヘルハウンドの肉を食べられるように切っていく。
さらに、鉄鍋を出して肉を焼く。ステーキの完成だ。
かりんは、ものづくりがどういうものか初めて知った。
世界に、少しだけものづくりの水が滴り落ちた。
―第3話に続く―