第10話―黒き剣士、襲来!
5つの大陸を封印し支配する、魔王の城が北の空に浮かんでいた。
ここに、5大陸を別々に統治する支配幹部が集まってきた。
しかし、魔王の玉座はその主は座ってはいなかった。
???「カッカッ、闇の剣士ダークドラゴン・ナイトともあろう者が、かなり失態を犯したな?」
ガイコツの死神が笑う。
蜘蛛の女「我ら4死房。一房でも欠ければ、5大陸に忌まわしい光が生まれる」
蜘蛛の女は、シャーッ、と牙を見せる。
その隣で、翼の生えたライオンが眠っていた。
足音が聞こえ、翼のライオンは目を開ける。
玉座に1人の魔人が座った。
町に希望が集まっていく。
魔物に怯え、ものづくりなど忘れてしまった村人が数人、町から溢れた光に導きかれてやってきた。
他にも、戦いに敗れたオークたちが住人となったことで、町づくりも人手、いや魔物手が増えて、建設ラッシュが起こった。
戦闘でのダメージは、町に被害を出さず、オーク・ビーストを倒したことで、寸止めで被害は回避されていたのだった。
オーク軍団の部隊長をしていたオークの話によると、この度の戦闘で支配者の軍団はほとんど消えたとのことだ。
それでも、最後の軍勢と支配者がおり、それらを倒さないと、この大陸を自由にすることはできないとオークは言う。
黒き剣士ダークドラゴン・ナイトは、自ら異世界人と相まみえることを望み、砦から町まで長い距離を跳んだ。
禍々しい殺気を感じたケント、ソウカ、女神ガイアは、町の外に出る。
黒いオーラを放つ剣士が、3人の前に降り立つ。
ダークドラゴン・ナイト「異世界人に、女神か。あのお方に比類するか試させてもらおう!」
剣士は大剣を振り回す。ケントは剣を抜き、黒き剣士とぶつかる。
オーク・ビーストは巨体のわりに動きが遅く、かわりに攻撃の一つ一つが強かった。
しかし、この黒き剣士は素早い上に、オーク・ビーストの攻撃をはるかに上回る強さを感じた。
黒き剣士「簡単に決着がつくのは、我も面白くない。ならば!」
黒き剣士ダークドラゴン・ナイトは、大剣に禍々しい邪気を込める。
黒き剣士「破壊の擊、ブレイクブイフォース!」
闇の衝撃が3人を巻き込み、町に破壊の波が押し寄せる。
町を守る固い壁が壊れ、町に大風が吹く。
黒き剣士に敗れたケント、ソウカ、女神ガイアは、衝撃にやられて気絶していた。
黒き剣士ダークドラゴン・ナイトは、その場を去って砦に戻った。
ケント、ソウカ、女神ガイアは目を覚まして立ち上がると、黒き剣士の放った衝撃で壊された防壁や町の惨状を見た。
黒き剣士ダークドラゴン・ナイトの脅威の力と、破壊された防壁。
ケントはリリアンに、黒き剣士に対等に戦える武器が作れないか相談する。
リリアン「私も探してはいるんだ、あの伝説の鉱石オリハルコンをね」
オリハルコン鉱石。かつていにしえの勇者が、魔神に挑むために坑道の奥深くで手に入れたという伝説の鉱石。
しかし、今やものづくりが少し満たされたくらいでは、数十年以上も地中に埋もれたオリハルコンを探すには無理があった。
リリアン「オリハルコンは無理かもしれない。でも、ここらで手に入る最高の鉱石が一つある」
リリアンは鋼鉄のハンマーをケントに渡す。
「その名もミスリル鉱石。私の腕力じゃ掘れないが、目印は付けておいた。ミスリルを見つけたら、ゴブリンたちに知らせなよ?ミスリルがたくさん取れれば、今の防壁も簡単に壊せなくなる」
リリアンは目を輝かせて、そう言った。
リリアン「あの剣士に見せてやろう、私たちの底力を!」
ケントは坑道の中に入る。リリアンのアドバイスによると、薄い青で透明な鉱石で、掘ると光が青く出るようだと。
鋼鉄のハンマーを、リリアンが付けた目印にハンマーを振り下ろす。石の壁が壊れていき、昔に作られた最奥に進む新たな坑道が現れた。
ケントは奥に進むと、数十年も経って輝きを増したミスリル鉱石がたくさん現れた。
―第11話に続く―