第1話―異世界の崩壊―
かつて、この世界は多くの街や大きな高層都市で、5つある広大陸すべてに溢れていた。
しかし、ゆっくりと確実に魔物の数が増大し、強力な怪物が少しずつ小さな村や町を潰していき、
やがて、英雄が現れぬまま、人々は魔物から逃げるように世界から姿を消した。
高層の商業都市は、人々の活気が消えて改築が行われないことで荒廃し、崩れて無くなっていった。
世界は闇に覆われ、唯一残った荒れ果てた村が、下級の魔物に襲われていた。
少女「まもの、こわい。おなか空いた」
狂暴化したヘルハウンドが、少女の匂いを見つけて近づいてきた。
少女は怯え、ヘルハウンドに見つかる。
そこに、見知らぬ少年少女の2人が助けに入る。
怯えた少女は声が出なかった。その隣に、神々しさを放つ女性が手を伸ばす。
「ごめんね、遅くなって。怖かったでしょう?」
少年「ガイア様、早くその娘を!」
少女「光のころもよ、辺りを包め!ミスト・バリア!」
少年はヘルハウンドに斬りかかり、少女は村全体に暖かい光を照らす。
震えが止まった村の少女は、暖かい光で気を落とし、安心した寝息を立てる。
村に光が包む数十時間前。
ここは地球。だが、並行世界の地球。
少女「ケント、またゲームしてる!」
建図「うわっ!ソウカ!勝手に入ってくるなよな」
少年の名は、御剣 建図。クラフトやシミュレーションのゲームを主に好きでプレイしている。
少女の名は、富産 創華。お花、手芸、魔法少女のアニメ、漫画が大好き。建図の幼なじみ。
ソウカ「ノックしたよ~だ!おばさんも、廃人にならないように注意してね、って頼まれたし」
ケント「分かった、わかったよ。時間も良いし、マジメートにでも行こうぜ!」
二人が階段を降りてくるのを見て、ケントの母は顔をニヤニヤして、
「二人でデートかい?夕方は、創華ちゃんの家族も来て、お鍋とカラオケのパーティーだから、ちゃんと帰っておいでね。ふふふ、うふふふ」
ケントはガックシくる。
今日は月に一度の両家の団欒だ。両家は代々縁もあり、顔馴染みで仲が良く、交友が元号が変わった今も続いている。
「はいはい、分かってますよ~」
ケントは手を振って、ソウカと一緒に家を出る。
「ところで、私はマジメートに漫画の新巻とアニメのディスクだけど、ケントは何?」
ケント「僕は、ドラゴンバスタークラフターズ3のゲームだよ」
以前はアクションRPGものにはまって、ソウカ以外の男友達と競ってレベル上げて遊んでいたが、クラフトもののゲームが流行り出してからは、熱中して神チューブに実況したりして遊んでいる。
ケントは新しいゲームを思い浮かべていたが、突如大きな地響きが周りに起きた。
道は崩れ、ビルは倒壊。信号はショートし、あちこちで火災が発生していた。
「逃げるぞ、ソウカ!」
ソウカの手を取り、ケントは安全な場所を探す。けれど、また大きな地震が発生して、二人を軽く飲み込むほどの空洞化で地面が割れる。
二人は足場を取られ、割れた地面に吸い込まれる。
目覚めると、ソウカは意識を失っていて、周りは教会らしき建物の中。
「お目覚めですか、世界を壊された異世界の人」
そこに、見知らぬ女性が立っていた。彼女は、女神ガイアという。
―第2話に続く―