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【揺花草子。】(日刊版:2020年)  作者: 篠木雪平
2020年01月
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【揺花草子。】<その2900:お祝いしたかったんです。>

 【揺花草子。】<その2900:お祝いしたかったんです。>


 Bさん「今日は1月5日だからイチゴタルトとかが食べたいよ。」

 Aさん「買って来いってか。

     て言うか舌の根も乾かないうちに日付ネタかよ。」

 Cさん「阿部さん何度も言わせないで。

     私たちはあくまで『安易な日付ネタ』を禁じているだけよ。

     安易でなければ許容されるの。」

 Aさん「そう言う法の抜け穴を衝くみたいな物言いがもうキナ臭いですもん。

     1月5日でイチゴは充分すぎるくらい安易でしょ。」

 Bさん「そんな事ないよ。

     絶賛無収入の阿部さんにイチゴタルトの差し入れを要求するのは

     あまりにもハードルが高いよ。」

 Aさん「既に要求して来てるけどな!!!

     オリンピック選手も斯くやと言うほどに軽々ハードル超えて来てるけどな!!!

     あと絶賛無収入ではないからね!!!」

 Cさん「2020年だからオリンピックを絡めたツッコミを入れて来るあたり

     阿部さんなかなか気が利いてるわね。」

 Aさん「この程度のとんちの利きっぷりで褒められても嬉しくないですねえ。」

 Cさん「もちろんよ。別に褒めてないもの。京の女らしい皮肉を込めた物言いよ。

     ぶぶ漬け食べるかしら?」

 Aさん「あなた別に京の女じゃないでしょ。フランスの女でしょ。

     あとまだ収録途中なので帰りませんから。」

 Bさん「阿部さんは当然分かっていると思うけれども、イチゴの旬と言えば春ですね。」

 Aさん「そりゃ、もう。」

 Cさん「けれども最近は、もちろんある程度供給量に差はあれど、

     年間を通して新鮮な果物が手に入るようになって来ているわ。

     ビニールハウスや温室など大規模な設備を導入して

     露地での栽培よりも成長・収穫・出荷を早くする栽培法を何と言うか答えよ。」

 Aさん「社会科のテストかな?

     あれですよね、促成栽培ですよね?」

 Bさん「やるねえ阿部さん。さすがだねえ。」

 Aさん「だからこの程度で褒めないで・・・って言うかこれも皮肉だって事か。

     ぼくみたいな人間はこんな事も分かるはずないと思われてたって事か。」

 Cさん「言わぬが花とも言うのだけれどもね。」

 Aさん「腹立ちますね!!!」

 Bさん「イチゴなんてのはクリスマスの時期に需要が急増するよね。」

 Aさん「まあ、ケーキの定番ではあるよね。」

 Cさん「秋のうちに苗を冷蔵して人工的に冬の環境を作り出し、

     その後ハウスに移すと言う手間をかけて出荷されるそうよ。」

 Aさん「なるほど。そうやって真冬の時期の収穫に繋げているわけですね。」

 Bさん「どう? イチゴの促成栽培に関するお勉強ができたでしょ?

     これでも阿部さんは今日の日付ネタが安易だったなんて断じる事ができるのかな?」

 Aさん「いや・・・うーん・・・。」

 Cさん「阿部さんみたいに物事を表層でしか判断できない人には

     一見すると安易に見えるかも知れないけれども、

     その裏には深慮に深慮を重ねた思考があるのよ。

     知った風な口を聞かないで欲しいわ。」

 Aさん「昨日に引き続いて何でカトリーヌさんそんなケンカ腰なんです?」

 Bさん「阿部さんにももう少し真摯にこの収録に臨んで欲しいと言う事だよ。」

 Aさん「えー・・・。」


 Bさん「何しろぼくらのこの収録は

     1回1回がいわば一期一会なのだから・・・。」

 Aさん「(安易なダジャレで〆て来たなぁ・・・。)」


 それはそうと、買い物行って来なさい。

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