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【揺花草子。】(日刊版:2020年)  作者: 篠木雪平
2020年01月
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【揺花草子。】<その2916:深き魂の。>

 【揺花草子。】<その2916:深き魂の。>


 Bさん「ぼくと言えばご存知バスメン。」

 Aさん「メンではないのでは。」

 Cさん「このメンはジャズメンとかのメンと同義だけど、

     女性のジャズシンガーとかはなんて言うのかしらね?」

 Aさん「えー・・・。ジャズウィメンじゃないですか・・・。」

 Bさん「そんな表現聞いた事ないよ。

     と言うか昨今の世相を鑑みればこうやって性別を前提とした表現は

     改めるべきだよ。

     ビジネスマンをビジネスパーソンと言い換えるが如く、

     ジャズメンもジャズパーソンと言い換えるべきだ。」

 Aさん「ジャズパーソンカッコ悪いなあ。

     と言うかきみがそもそもバスメン言い出したんじゃないか。」

 Bさん「ま、ともかくぼくはこのスタジオに来るのにバス通勤ですと言う事。」

 Aさん「通勤と言っちゃうか。」

 Bさん「阿部さんは地下鉄だから知らないかも知れないけど、

     このスタジオの最寄りのバス降車場は太い通りの反対側なんですよ。」

 Aさん「あぁ、そうだね。そんぐらい知ってるよ。」

 Cさん「つまりバスを降りた後通りを横断しなきゃいけないと言うわけね。」

 Aさん「ええ。」

 Bさん「けど、太い通りを横断するわけだから

     結構長いこと信号待ちしなきゃいけない事もあったりして、

     その面倒を嫌って交差点の下に設けられている地下道を通って

     反対側に渡ることもしばしばなんですよ。」

 Aさん「ふむ。」

 Bさん「で、その日のぼくは、朝からすごく疲れていたのね。」

 Aさん「はぁ。」

 Cさん「その前の晩遅くまでハッスルしてたのよね。」

 Aさん「その表現!!! と言うか遅くまでハッスルって!!!」

 Bさん「導きの地に探索に出たら次々と歴戦個体が出て来て

     撤収のタイミングがなかなか掴めなくてさあ・・・」

 Aさん「あ・・・そう言うハッスル・・・。」

 Bさん「ま、有り体に言えば寝不足だったの。

     だと言うのに交差点の信号はなかなか変わってくれず、

     疲れた身体を引きずるようにしてぼくは地下道へと潜り込んだわけだ。」

 Aさん「うん。」

 Cさん「地下道への階段を下れば、当然上って出なくてはならない。

     これは自明の理よね。

     阿部さんの評判のように際限なく下り続ける事なんてできないのだから。」

 Aさん「さらっとぼくを腐す発言を入れて来るのは一体何なんです?」

 Bさん「ま、ともかく、地下道から通りの反対側の出口に出ようと

     階段を登り始めるぼく。

     しかしながら、進める足取りは重く、息は上がり、

     心臓の鼓動は激しく波打つ。」

 Aさん「えっ・・・そこまで?」


 Bさん「これが深界の上昇負荷かと思ったよ。」

 Aさん「アビス浅すぎない?」


 いわゆるアビスの呪い。

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