想いと決意
今回はとても短いです。これ以上は蛇足でしょうし。
暇潰しにもなりませんね。ごめんなさい。
では、お決まりの一言を。
お気軽にお読みください♪
布団に入ったものの寝付けるはずもなく、悶々と考え続けていました。
私は晴れて普通を手に入れることができました。
もう異常なモノを視ることはありません。
異常なモノの声を聴くこともありません。
憧れていた世界で、誤魔化す必要もない。
普通に生きていくことができます。
それは私が心から望んでいたことでした。
異常なモノがそこにいると言い張り、友人を失くすこともありません。
嘆きの声に反応したせいで薄気味悪がられ、噂されることもありません。
道端の霊に気を取られ、変人と思われることもありません。
毎日友達を騙しているという罪悪感に苛まれることもありません。
嬉しいです。
素晴らしいことです。
なのに……。
どうしてこんなにも強く布団を握り締めているのでしょう。
どうして歯を食いしばって、枕に顔を押し付けているのでしょうか。
明るい未来を手にしたはずです。
しかし思い浮かぶのは違うことばかり。
彼の香り。
彼の言葉。
彼の笑顔。
触れた唇の感覚は消えずに残っていて。
今になって堪らなく愛おしいのです。
「……っ、っ」
なぜ願い事を聞かれた時、疑ってしまったのでしょう。
なぜ試すようなことを言ってしまったのでしょう。
なぜすぐに謝れなかったのでしょう。
堂々巡りの後悔の末に辿りついた答えは単純なものでした。
本当は最初から分かっていたのでしょう。
「嫌。絶対に嫌」
もう一度、彼に会わなくてはいけません。
伝えたい言葉があるのですから。
届けたい想いがあるのですから。
後悔って、とても大切なことだと思います。
何か悔やむことがあるって気づけているんですものね。