7
妙な言いかたをする…。
正直、私は疲れていて、すぐにでもベッドで眠りたかったのだが、妻のこんな顔を見てはそうも言えなくなった。
愛する娘のことでもある。
私は妻に先導され、陽子の部屋へと向かった。
部屋に入った私を見た陽子は喜んで私に抱きついてきた。
私も自然と笑顔になる。
抱きしめた娘の顔を正面から見つめると…。
私は驚きのあまり、言葉を失った。
長年、患った喘息で、普段から弱っている私の心臓がわし掴みにされたようにズキリと痛んだ。
陽子の美しく、かわいらしい顔はもちろん、そこにあったのだが…額の部分に親指大の黒い…何と言うか…そう、爬虫類のウロコのようなものが付いているのだ。
私はそれに触れてみた。
硬い。
そして、陽子の肌にピッタリとくっついている。
とても剥がせる様子ではない。
「夕方にアザが出来ているのに気づいて、どこかでぶつけたのかしらと思っていたら…いつの間にか、そんなことに」
取り乱している妻の肩に手を置き、私は「すぐに医者に連れていこう」と言った。
陽子をかかりつけの医者に診せる頃には、ウロコはみるみるうちに増え、顔の上半分をビッシリと覆っている状態だった。
こうなると妻だけでなく私も相当混乱し、「原因が分からない」を連呼する医者に掴みかかって、殴り倒しかねないほど興奮していた。