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2年後には、父の秘書だった女性と結婚した。
そう、私の愛する妻だ。
父の師事を受けて経営を学ぶうちに8年が経った。
そして、私と妻の待望の子供、娘の陽子が産まれた。
私と妻は陽子を溺愛した。
同じように孫を可愛がってくれた父と母がほぼ同時期に亡くなり、会社の経営は私に引き継がれた。
妻と陽子のために私は仕事に没頭した。
その甲斐もあって会社は、どんどん発展していった。
陽子は10歳になった。
父の秘書をしていたので社長という激務をよく知っていた妻は、私が仕事であまり家に帰らずとも、それほどの不満も示さなかったし、子育てについても万事、上手く取り計らってくれ、何か指示を仰ぐということも無かった。
その妻が3日ぶりに家に帰った私に青ざめた顔で「あなた、陽子が…」と話を始めたときは、いささか面食らった。
妻をそこまでうろたえさせる事態とは、いったい何なのか?
「顔におかしなものが出来て…あなたにも見ていただきたいの」
おかしなもの…?。