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恭介も笑いだす。
「いや、だって裕太がすごい顔して叫ぶから可笑しくてさー」と真悟。
「こら! 真悟!」
裕太も階段を降りてきた。
「『ギャーッ!!』だって!」
「ウケすぎだぞ!」
裕太が真悟を怒った。
「アハハハ!!」
大笑いする真悟。
手に何か持ってる。
「それ何?」とあたし。
「おい」
恭介が言った。
「それは何だ?」
そうそう。
「2階の部屋で見つけた。何か書いてあるぜ」
真悟が立派な装丁の本(?)を恭介に渡した。
恭介がパラパラとページをめくる。
「確かに何か書いてある。手記っぽい。どれどれ」
そう言って、恭介は謎の本を声を出して読み始めた。
まず、この事柄を書くにあたって言っておきたいのは、たとえどんな状況になったとしても私は娘を心から愛しているということである。
それだけは決して揺るがない。
亡くなった妻と娘だけが私の全てだ。
娘について触れる前に少々、私の説明をせねばなるまい。
私は北陸の漁師の家に生まれた。