15
「やめなさいよ!」と、あたし。
すごくビックリした。
真悟は、まだ笑ってる。
「真悟、いいかげんにしろ!」
裕太が怒鳴った。
「アハハ! 今のお前たちの顔! ウケる!」と真悟。
恭介が気を取り直して、扉の取手を掴む。
力を入れて引っ張った。
開かない。
「鍵がかかってる」
恭介が、ふぅと息を吐いた。
裕太もホッとしてる。
真悟はやっと笑うのをやめた。
「この先は?」
真悟が奥へ続く廊下を指した。
廊下は途中で右に曲がっていて、今の位置からは先が見えない。
真悟が廊下の曲がり角まで進んだ。
「ギャーッ!!」
角の先を見た真悟が、いきなり叫んで尻もちをつく。
また始まった?
真悟、しつこい!
「この野郎!」
裕太が怒って真悟に近寄った。
「ウワーッ!!」
真悟が見つめてる方向を見た裕太も大声を上げた。
何なの、いったい!?
「きょ、恭介!!」
四つん這いで真悟が恭介のそばに戻ってくる。
恭介が曲がり角へ歩く。
あたしもついていく。
凍りついたみたいに立っている裕太の視線の先、通路の床の上に。
白骨死体があった。
完全な白骨だ。
「こ、これは?」
うわずった声で裕太が言った。
恭介が死体をじっくりと見て、口を開いた。
「この人が、さっきの手記を書いた人かもしれない。ほら、心臓が弱ってたって。陽子さんの世話をしてる途中で心臓発作か何かで亡くなったんじゃないか?」
「な…なるほど」と裕太。
息が、とても荒い。
「ど、どうする?」
真悟が、へたり込んだままで言った。