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転生した最凶毒使いは気ままに異世界を旅する  作者: 葦上 薫
村での生活
7/12

Σ(; ゜Д゜)<ファ!? ( ー̀ωー́ )

季節は移り変わり、現在俺とライラは10歳になった。

5歳の頃に毒蛇に噛まれて死にかけたが、4日目の朝には何故か何事も無かったかのように治ってしまっていたためそれ以上毒に蝕まれることもなかった。

勿論、直ぐに何が起こったか調べようと思ったが腕が治った途端ブーマからの襲撃数が実に倍以上に増加したため調べる余裕が無かった。

父親の過保護っぷりに嫌気がさしたのか、俺が乗算と割算を教え終わった途端ライラがユニープに剣術の弟子入りしてきたのだ。

彼女は、5年の間に身長も伸び、ヘアスタイルもボブカットからセミショートへと変化した。

村人の間では実力もあり、愛想がよくカワイイと老若男女問わずかなりの人気らしい。

この前修行中にファンクラブのメンバーが集会をしている状況に遭遇した時、メンバーがいかにライラがカワイイかを演説調で周囲のメンバーに語り掛け、メンバーもそれに同調するように歓声やら悲鳴やらをあげているというちょっと引く位の熱の入りようだった(なお、ファンクラブの創始者は安定のブーマらしい。そしてライラ自身はそのことを一切知らない)。

さらに、ユニープに剣を教わるだけでなく、何とソフィアに魔法の教えも乞いに来ていた。

俺も一時期ソフィアのもとで魔法の修行をしたが、仕組みの理解は出来たものの、ソフィア曰く詠唱が壊滅的、その上やっと発動させても威力が低すぎると、魔術の才能が無かった。

仕方なく俺は剣術に集中し続けた所、同年代の剣の腕は俺が1番、ライラが2番となった。

しかし、魔法の使用を許可すればライラは俺をそもそも近づけてくれない。

対する俺はブーマやユニープに毎日グロッキーにされたからかやけに打たれ強くなっており、下級魔法ならいくら受けてもびくともしない耐久度を得た。

接近戦においてこの高い耐久度は大きなアドバンテージだろう(飛び道具への対処?半ば諦めていますが何か?)。


話は変わって、現在俺達は村の神殿に来ていた。

この世界には10歳になると誰もが神殿へ向かい、自身が持つスキルを知る。

スキルを知る方法は何も神殿で教えてもらう以外にも存在するが、どれも有料なため、初回が無料で受けられる神殿でみんなスキルを調べるらしい。

村で生きる時点で別にスキルの有無など気にしないため、村の子供たちにとっては自身のスキルを知る初めての機会だ。

なお、スキルを調べる際に神殿が作っている「投射の編布」と呼ばれる羊皮紙の様なもので調べるらしいのだが、10歳まではどういう訳か調べてもスキルの内容を詳しく知ることが出来ないらしく、情報がぼやけて写されてしまうらしい。

「4番、ライラ殿!水晶に手を!」

頭の中でなぜ自分が神殿にいるか思い出していると既にライラの番になったようだ。

俺達は「技能読みの水晶」なるマジックアイテムに腕をかざして魔力を注ぐことで水晶が魔力を流した人物のスキルを下に置いた紙に書き写すらしい。

ちらっと既に自身のスキルを調べた子の紙を見た所、他の人たちのスキルは採取や槍術といった一般的なスキルが多かったが、スキルの名前は分ってもスキルのレベルまでは分らないらしく、名前以外は一切書かれていなかった。

「おお、これは!!」

俺達を対応していた神官が大声を上げたため、何事かと振り向くと、そこには驚愕の顔をした神官と「フフン」と胸を張っているライラがいた。

恐らく、ライラのスキルが余程レアか強力なスキルだったのだろう。

「頑張りたまえ、その技能はいずれ君の人生を豊かなものに変えるだろう。」

「はい!」

既に他の子どもたちにも言ったセリフを神官が言い、ライラのスキルチェックは終わった。

「5番、フィン殿!水晶に手を!」

やっと俺の番になった。

魔力を流すことは魔法が使えなくても誰でもできるため、特に支障はでなかった。

「な、なんと!?」

また神官が驚く。

そこにはいくつものスキルの名前が列挙されており、単純に数えても20は超えていた。

しかし、その眼には何故か可哀そうなものを見る視線があった。

「どうかしましたか?」

「いえ、何でも・・・いくつものスキルを所持する人物は大抵器用貧乏の傾向がございまして・・・」

話を聞くところによると、スキルをいくつも持ったはいいが、一つの事に特化した状況で詰むことが多いらしく、多くは持っていても宝の持ち腐れらしい。

加えて、魔法スキルを一つも所持していないのが痛いらしい。

科学よりも魔法が発達したこの世界では魔法の使えない人物はだいぶ生活が厳しい。

出来ないことはないらしいが、色々と中傷もあるらしい。

勿論スキルは技能なので、練習によって覚えることは出来なくはないが、俺の場合詠唱が壊滅的なので、ほぼ絶望的だろう。

「頑張りたまえ、その技能はいずれ君の人生を豊かなものに変えるだろう。」

神官は俺に技能が書かれた紙を渡して次の人を呼び始めた。

俺が所持していたスキルはざっと見た中でも以下の通りだ。

弓術、盾術、剣術、短剣術、棒術、投擲、斧術、両手剣、鞭術、二刀流、居合、刺突、回避盾、受け流し、剛力、蹴技、身体強化、先読み、暗視、危機感知、威圧、挑発、その他いろいろの接近戦スキル。

必殺技みたいなカッコイイ名前のスキルは無いので、これは恐らく転生前にいくつもの神様の元で修行した故だろう。

しかし、接近戦系のスキルが存在する割に魔法関連のスキルが一切存在しなかったため、とことん俺は魔法が苦手なようだ。

以外なのが、演奏や園芸といった趣味としか思えないスキルもいくつか取得していたことだ。

他にも労働系スキルや生産系のスキルなどもいくつか存在したが、多すぎて途中で読むのを諦めた。

俺のスキルは多すぎて紙が3枚分も渡されたのだ。

面白いと思ったのは「ステータス」なるスキルが存在したことだ。

前世ではゲームをよくやる友人が自分の作ったキャラクターの能力値を言う時にステータスと言っていたのを思い出したため、少し気になった。

神官に聞いてみた所、過去に同じスキルを持っている人は何人か見たらしく、いくつかのスキルの事が書かれた本を見せてくれた。

その本によると、ステータススキルの能力は自身の能力値を数値化して把握出来るらしい。

しかし、把握出来るのは自分の能力値だけで、他人の能力値までは分らないとのこと。

魔物と戦うたびにスキルポイントとステータスポイントなどを得ることが出来て、所持しているスキルや攻撃力などに割り振って能力の強化が出来るらしい。

最も、一度割り振ればそれ以降変化させられないらしいので、割り振りは慎重に選ぶべしと書かれてもいた。

自身の能力値の数値化と任意の対象へのポイント割り振りは大きなアドバンテージだが、そもそも他人の数値を知ることが不可能なので自身の数値を過信しすぎない注意する点と、そもそも所持していないスキルに関してはポイントを割り振れないということも書かれていた。

これらのことから飽く迄ただの便利スキル扱いらしい。

このスキルが存在するなら、わざわざ細かくて多い字を読むよりも後で家に帰ってじっくり調べた方が良い。

余談だが、この能力と相反する能力が「鑑定」スキルらしい。

鑑定は他人の能力値を数値化し、レベルを上げればさらに細かく調べられるらしい。

もっとも、こっちはこっちでプライバシーに配慮しなければいけないため、持てば強力だが持たない人からすればただの迷惑でしかないと書かれていた。

かつて鑑定スキルを持つ人がいろんな人々のスキルを確認したところ、得意なスキルはⅤ~Ⅶ、それ以外でもⅢ~Ⅳ程度が平均らしいとも書かれていた。

俺は、知りたいことは知り尽くしたので、貸してもらった本を神官に返して、ライラと合流した。

あれ?そういえば、転生神様からもらった毒操者(ヴェノムコマンダー)があの紙に見当たらなかった気がしたが、どういうことだろうか?見落としたかな?

「どうだった、フィン?」

昔神様からもらったスキルの存在を確認出来なかったことに違和感を感じていた俺だが、ライラに話しかけられ思考を中断した。

「・・・やけに接近戦闘系のスキルが多かった。どうやら、俺は器用貧乏という扱いらしい。」

「フィンが器用貧乏?嘘嘘。私、あなたに接近戦で勝ったことないよ。」

「ま、ステータススキルを持ってるみたいだから、家で詳しく調べるよ。そういうライラはどうだったんだ?」

因みに、俺は修行では剣と盾しか使ってないが、神界ではなぜか棒神様のもとで修行した時に習ったため今でも一応使える。

弓も同じく弓神様の元で教わった。

「私?私は、剣術と算術、居合に、回避それに詠唱補助と元素魔法(エレメンツ)ってのを持ってたよ。」

俺と比べると圧倒的に少ないが、同年代の中では大分持っている方だ。

元素魔法(エレメンツ)とは火、水、木、土属性の魔法を使用できる複合スキルでかなりレアなスキルだ。

後々、教会で調べた所、「元素魔法(エレメンツ)は前述の4属性魔法のスキルレベルがⅣ以上存在することが前提で作られるスキルらしく、取得者は魔法に対して非凡の才能がある」と書かれていた。

俺に対して憐れむ様な視線を向けられたのに対して彼女が称賛されたのは俺が基本のスキルを沢山持つのに対し、彼女はレアスキルを持つからという違いだろう。

加えて、彼女はソフィアの元で魔法を覚えるときに何度か見た目の派手な魔法を発動したり、村の剣術大会に参加したりしたので、彼女の優秀さは村の全員が知る事実だ。

その上カワイイくて愛想がいいときたもんだ。これで彼女を知らない村人がいれば、そいつは最近入村した人かモグリと思われる。

対する俺はブーマとユニープに相手してもらってグロッキーになっている状況しか基本見ないので、「弱い」という印象があるのだろう。

俺が弱い原因が器用貧乏だからだと解釈する人物は多そうだ。

しかし、俺と知り合いの人物は俺が多才と認識していたらしく、スキルをいくつも所持しているという点はやけに納得してくれた。

ざっとスキル構成を見た感じ、戦闘系のスキルは神々の元で修行した際に入手したやつで、それ以外は前世で知識を知っていたまたはやったことがある程度の知識がスキルとして変換されたのだろう。

魔法耐性や武器・防具作成、労働関係スキル、冒険者関係スキルは前世で経験が無いので転生してから得たスキルと思われる。

多種多様なスキルを持つ理由は色々な人から手伝ってくれと言われて引き受けた結果だと清は予測した。

清が自身のスキルに対する考察をしていると、ライラが上目遣いに俺の肩を揺さぶっていた。

いけないいけない、集中すると周りが見えなくなる悪い癖だ。

「ちょっと聞いてる?帰るついでに、いつものやるの?やらないの?」

言い方に含みを感じるが、別にやましいことはない。

ここ数年間、俺とライラは人知れず森の中で戦闘訓練を行っていた。

なぜ人知れない森の中かというと、単純に周りに迷惑がかかるからだ。

接近戦特化で射程の短い俺はともかく、魔法の使用が出来るライラはとにかく射程が長く攻撃が派手だ。

空中で迎撃することは出来ても回避した際に流れ弾が近くのものに当たった場合、被害が大きくなりかねない。

昔、それを村の倉庫にやらかして倉庫は炎上、幸いにして新設した倉庫ゆえに中に物はあまり入っていなかったが、ライラは叱責を俺は(ソフィアに怒られて泣いているライラを見た)ブーマに訓練を3倍にされた苦い思い出がある。

それ以来、周囲を警戒し、なるべく流れ弾の当たるものの少ない環境でお互いに剣術を打ちあっているのだ。

勿論、ライラは火属性魔法は使用禁止の状況で。

俺達は暇を見つけるとそのようにしてお互いの成長を確かめ合っている。

「そうだな。日も傾き始めているから、出来るとすれば1回程度だけど・・・」

「じゃ、決まり!早くいつもの場所に行こう!!」

俺が同意するや否や、ライラは最近よく剣を打ちあっている場所へと元気に走って行った。

やれやれ、走ると転ぶぞまったく・・・



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