魔王ネフリスの生誕
彼の名前は間奥 未来。
一般家庭に生まれ一般家庭の長男として普通に過ごし、幼馴染、友達、親友とは無縁に生き、孤独な人生を歩んだ。
「いつ死んでも悔いはない」
彼の口癖はこれだった。
孤独故に誰にも心配されず親とは21の時に死別した。
兄弟は無く、親戚達も無口な彼を可愛がることもなく、ただただ孤独に生きた。
孤独に生きて、無趣味な為に仕事をすれはお金が増えるばかり。ただ食欲を満たすために食事をとり、ただ睡眠欲のために眠り、後はとくにすることも無くぼーっと生きてきた。
ある日いつもの様に会社に向かうため、電車を待っていると後ろから急に押された。電車は目の前。どう足掻いても死から逃れることは出来ない。
彼は最後に自分を突き落とした人物を見る。そして彼は思った。
(え?誰?)
著者 神
「悲しいのぅ。」
「おいコラ。そこから動くな。地獄に送ってやる」
未来は自分の人生という名の本を手に持ち、感想を言った者に今にも著者に殴りかかろうとしている。
「貴様ッ!控えろ!」
「離せ!俺は一発でいい!一発殴らせろ!じゃないと収まる気も収まらねぇんだ!」
「おぉ、しくしく。こんなに書く事が無い奴も久しぶりじゃのぅ。しくしく。」
「てめぇ、どこの誰かしらないけど絶対呪うからな。覚えとけよ。」
「離せ」と一言言い放ち未来はようやく落ち着いた。大体ここがどこかもなにも分からないままだ。あの本が本物なら未来は死んだのだろう。確かに最後に誰かに押され、誰?と思った。そこで記憶が途絶え、次の瞬間にはこの真っ白な世界で目の前のジジィが未来の本を持ち、なおかつ悲しい。しくしく。などと言われたら状況把握もできず、イラついてしまっても仕方ないのであろう。
「で?ジジィ、お前は誰だ?」
「ワシか?ワシはお前ら流に言えば神に当たるのかの。そのものの人生を見て、本を書き、来世に行くのにどんな人生を送るのが相応しいか見極め、相応の処置をする者といえばよいかの。」
「へぇ?その神様は俺に何をしてくれるんだ?俺の本を読んだ感想を聞かせてくれ。」
「わしの意見は、これは本ではないの。何かと問われればこれは紙じゃな。ほれ、見てみよ。1ページしかないではないか。遠足のしおりでもここまで簡潔にはならないの。」
確かに本と呼ぶには到底無理なものがそこにはある。学校で用意されるプリントみたいだと未来は思う。
「俺の人生ってこんなにこんなに薄っぺらいのか。ショックなんだが。」
「まぁ、そうよのぅ。余程何も書くことがないとこうなるのじゃが、ちとひどいの。」
神と呼ばれる老人は顎から長く生やした髭をなでる。
「ふむ。今世ではこんなもんじゃが、来世に期待かの。次はなにか物語の主軸となるような人生にしとこうかの。」
「頼む。さすがにショックがでかくて頭がついていかん。」
「そうじゃな。先にお主を殺した人の事を教えておくとするかの。とある所に仲のいいカップルがおっての。そのカップルが結婚しようという時に男の浮気が発覚しての。その婚約者が酷く悲しんだようじゃの。」
なるほど。大方その婚約者に勘違いで殺されたんだろう。最悪だ。なんて日だ。ただの勘違いじゃないか。




