期末テスト戦線
朝チュン。
心地よい朝の陽ざしも今の俺にとっては新鮮なものには感じない。
今日は期末テスト初日。
一限から英・数・理と笑えない科目たちが並ぶ。
最初から暗いマックスだ。
無論、昨夜は寝ていない。
一夜漬けがテストの基本。これまで遊び呆けた学生が積りに積もった勉学借金を返す機会がテスト前日の夜の21時を回ってからだ。
昨夜21時・・・
俺はジュースとお菓子を買いこんで勉強籠城を開始した。
鬼門の数学は後回しに、まずは暗記が主体の理科からだ。幸い、テスト範囲には式らしいものは見当たらず、単純な記憶ゲー。
赤点さえ免れればOKだから、計算問題は全て捨てていくスタイル。
このテストさえ乗り越えれば、待っているのは夏休みだ。
夏休みは予定が目白押しだ。
中でも男友達との海はメインイベントとして楽しみで仕方がない。
水遊びにスイカに水着のお姉さん。
「女は現地調達で」
言った友達は口だけ男なので、絶対男だけでキャッキャウフフの水遊びになるに決まっている。
俺は楽しければなんでもいいが。
妄想が花開き、気づけば30分もの時間を無駄にしていた。
いけない、いけない。夏休みもテストという戦場を乗り越えた先だ。
頬叩き、自らの心を鼓舞。机に視線を落としてペンを走らせた。
昨夜0時・・・
理科は大体は抑えた。完璧ではないが、赤点のボーダライン40点は越えられるだろ。問題次第では50点は堅い。
理科は安全圏内で間違いない。無駄な深追いは別の科目で痛手を負う恐れがる。ここはおとなしく理科から撤収だ。
登校まで後7時間。
英語よりも数学に重きを置くとして、3時間:4時間か。
次の戦場は英語だ。
英語なんてものは所詮は言語だ。考えるよりも感じた方が手っ取り早い。
前回の中間テストの際は、感じるよりも考える方を主体にしたがために赤点を取った。
敗因は考え過ぎだ。
言語ってのはそういうものだ。考えては負けだ。
長文読解はこの思考で通用するにしても、文法と単語はどうにもならない。
3時間で抑えるべきはこの2つになる。
それにあの教師が出す問題は文法と単語だけで30点ぐらいは出題される。2つを20点分抑えておくだけで、赤点回避は確実のものとなる。
兵糧のチョコとポテチの封を切る。
チョコはアーモンド入り、ポテチはコンソメだ。
このチョイスは昔から変わらない。俺の好きな組み合わせ。
パリパリとコンソメポテチを放り込み、口内の塩分濃度が高まったらチョコ投入。
塩分と糖分のコントラストが俺の思考をリフレッシュさせる。
「よし。気合が入った」
俺は気分を新たに英単語に立ち向かった。
深夜3時・・・
ヤバい。超ヤバい。
文法は良いが、英単語が覚えられない。
3時間経っても3分の2しか抑えられていない。
どうするか・・・延長するか。感じる力に頼るか。どちらにしても英語が不安定になってしまった。
数学の時間を省きたくはない。
心苦しいが英語はここに置いていく。俺は次の道に進む。
最後は鬼門の数学。
暗記ではない、ひらめきと論理的な思考が勝負になる戦場。
だからこそ勉強のしようがなく、問題をひたすら解いて感覚を研ぎ澄ます他手段はない。
視界がぼんやりとする。眠気は絶頂に近い。
少し仮眠を取るか。シャワーを浴びに行くか。
上記は最悪なケースもありうる。ならば、下記を迅速に遂行すべきだ。
俺は椅子から立ち上がった。少し足元がふらつく。
おっと、我ながら勉強し過ぎたか。
朝チュン。
心地よい朝の陽ざしも今の俺にとっては新鮮なものには感じない。
今日は期末テスト初日。
一限から英・数・理と笑えない科目たちが並ぶ。
最初から暗いマックスだ。
無論、昨夜は寝ていない。
時刻7時ちょうど。
今から全速力で支度をして10分で家を飛び出す。
テスト前30分前には席について教科書を開けるはずだ。
無理難題ではない。いつもの俺はそうしているのだ。
5分で着替えを済ませ、5分で支度をする。ジャスト10分で家を飛び出して自転車に跨がる。
初夏の日差しが肌を差す。ここから先は体力勝負。
英語のテスト前に体育の授業。
如何に時間を短縮できるかが赤点回避への近道となる。特に記憶物は10分あれば10点は変わる。
Let's run!!
思いの他快調に自転車は進んだ。
焦る気持ちがペダルを踏み込む足に力を与えた。
始業35分前、この時間に充てるのは数学でも理科でも、昨夜中途半端に終わってしまった英語。俺はそこに力を入れる。
一限目は英語だし、ある意味作戦通り。
記憶物の結果なんて直前で決まるのだ。
35分の集中力。今までの人生の中でベスト10以内に入る本気。それは監督官の教師が入ってくるのに気が付かないほど。
さぁ、テストの始まりだ。
---50分後---
ああ、良く寝た。
普段使わない脳みそを徹夜で活用して、朝には全速力で体を動かす。
うん。寝ないわけない。