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元ヤン少女・奮闘記  作者: 眞籐 久
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4:新しい

新しい制服に身を包んで楓は鏡の前で一周した。

ヤバイ、コノ制服、超可愛イ。

いかんいかん、浮かれすぎて片言になってしまっていたぞ、楓。

それにしても、本当に可愛い。

このブラウスとこのスカートが絶妙な可愛さを保っている。

そして決め手はこのブレザー! いやもう、ブレザー万歳!

これからはブレノミクスでもやったらいかがだろうか、うむ。


「用意できたの、楓ー?」

一階から聞こえる母の声にはぁい、と腑抜けた声で返事をする。

ちなみに、私は高校受験はなかった。

これから通う高校はうちの親戚が最高責任者だそうで、なんか兄達もそのまま高校受験もなく楽に入れさしてくれた。

いやー、なんかもう高校受験しても絶対落ちてたから、その親戚さん万歳だ。


「じゃあもう家出るわよー」

ハイと言うことでですね、皆さん。このわたくし、寮生活になります。

その親戚さんが最高責任者であるその学校は全寮制らしいのだ。

兄達もこうして巣立っていったんだなぁと今しみじみ感じている。



ガタンゴトンと電車に揺られて朱附を出るのは少し感慨深いものだった。

昔、一番上の兄が「あかふから飛び出して、ぶらじるに行くんだっ!」といきなりワケのわからないことを言いながら無断で電車にのり、あとで警察にバレごやっかいになったのは今でも記憶の中で微笑んでいる。

つーか、もし朱附から出られたとしても、どーやってブラジルなで行くつもりだったのだろう。いや、あの頃は兄も子供だったし、そこまで考えてなかったかもしれないな。

そんな事を考えているうちに降りるべき駅の名前が三度ほど呼ばれハッとしながらいそいで降りる。


「うっわー…、 けっこー都会だなぁー…」

開口一番それがでる。

いやそれにしても、人が多い。人口密度たけーよ、ここだけ。

何かあの人、春だっつーのに汗が滝のようだぞ、おい。


「なにボーッと突っ立ってんの、楓。行くわよ」

私は何も答えずに母の後ろについていく。

どうせ、返事したってこんなガヤガヤと五月蝿うるさいところでは聞こえないだろうし。


それにしても、熱い。

これは、この人口密度の高さからだろうか。

いや、違うだろう。


この新しい場所で暮らす私のなかでは期待と不安と興奮が熱をもったように渦巻うずまいていた

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