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元ヤン少女・奮闘記  作者: 眞籐 久
4/5

3:総長になった理由



楓は兄が三人いた。

全員が中学に入った途端に不良になり、全員が高校に入った途端に普通の男子高校生になった。

理由は全く簡単。

両親である。

まず、兄達を不良に仕立て上げたのが父親である。

父は昔から筋トレを欠かさず毎日やり続け、兄達にも強制的にやらしていた。

さすがに私にそれを強制しなかったが。

父は毎日のように兄達と戦い勝利を討ち取ってきた。

兄達はどんなに頑張っても負けてしまいさぞ悔しかったことだろう。

しかし諦めることなく兄達は父に勝負を挑み続けた。

強制的にやらされていた筋トレはもう自分から毎日毎日やり続けていた。

そうして日に日に強くなっていった兄達は中学に入った途端に不良となっていったわけである。

笠幡家の子供ははうまい具合に三歳ずつ分かれており、皆が皆、朱附第一中学の三年間必ずトップになっている。

勿論、私もその一人である。


そして、次に高校で普通の人間に更正さしたのが母親である。

母は不良になっていった自分の子供達を中学三年間何にも口出しをしなかった。

しかし、高校に入る手前で兄を呼び出すのだ。

そして丸一日、母と兄は出てこない。

ただ母の聞いたこともない怒号どごうと兄の聞いたこともない泣き叫ぶ声が聞こえるのだ。

そして和室から出てくる頃には兄は更正しているのだ。

本当に謎だが、それから半年は兄は母を見ると小刻みに震え出すのが今でも忘れられない。

そして、兄達全員がそれを体験している。

私は三度も兄達が更正していく場面を見てきたのだ。

はっきり言えば不良になるつもりはなかった。

それはもう全く。

兄達があそこはもう地獄だ、とか、一度俺は死んでいた、だの言っているから、不良になってその後くる仕打ちが単に怖いからだが。

しかし、中学に入った途端に色々な人にいきなり喧嘩を売られまくってしまった。

多分、兄達の妹だったからだろう。

最初は怖かったし面倒だったので逃げ続けた。

だが、ある日イライラが最高潮に達してしまい、ついつい喧嘩を買ってしまったのだ。

一人をぶっ飛ばしたら、また一人また一人と不良が喧嘩を売ってきて、最終的に何十人もの不良達を倒してしまった。

そのおかげで兄達と同じ不良になり、また兄達と同じトップになってしまった。



そして今、高校間近である。

いやー、三年間というのは本当に早いものだ。

もうすぐ和室に連れて行かれるのではないか、と毎日気が気じゃない。

そして考えた結果、こうすることに決めたのだ。


どうせ、更正しなければならないのなら、自分から更正しよう。



そして不良達にその決心を言うと笑われた。

無理と言われたのだ。

その後に突き放され。

しかし、春樹の言うとおりだ。

私は虫が良すぎることを望んでいた。


もう、高校も決めている。

朱附ではない。


決めたんだから、と楓は思う。


私は普通になって突き放したあいつらに見せてやろう。


普通になった、この笠幡楓を。


辛いのはきっと今だけだ。




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