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「ナミカ!」
僕は名前を叫びながらざわめく森の中を歩きまわった。
「ナミカ!どこだ!くそっ」
石に躓いて僕は膝を擦りむいてしまった。
もともとどんくさい僕は転んでばかりで前になかなか進めなかった。
「ナミカ~~~~」
森はざわざわと僕の声をかき消そうとする。
散歩道以外は歩かない僕は、すでに迷っていた。
自分がどこにいるかもわからず、ただ前へ前へと進んで行った。
朝の寒さが嘘のように僕は暑かった。
心臓はずっとバクバクしっぱなした。
12年間、僕の心臓はただ僕の生命維持装置のように淡々と時を刻んできただけだった。
なのに、ナミカがきてから調子が狂っている。
「ナミカ!出て来い」