試験-SHIKEN-
前回までのあらすじ
武士と泥棒(同居人)がエンカウントした。
「え、知り合い? どゆこと??」
「えと、とりあえず中に入れても良い? この人迷子で…」
「そうなの、まあもてなせないけど、どうぞ」
「よろしくカァー」
「え、カラス!? カラスはダメ!!」
そうして、鈴鳴さんをリビングへ連れていった。
めちゃくちゃ居心地悪そうにしてて、ちょっと面白い。
「とりあえず、色々説明してくれるかしら」
「えっと、この人はね…」
「お前に聞いてねーよ」
「僕は鈴鳴って言います。はじめまして。僕はどうやら記憶喪失みたいで、ここがどこかわからないんです。そうして途方に暮れている時に、茜さんと出会って…」
そうして、鈴鳴自身のこと、刀のこと、おまめのこと、色々と話して、おねーさんも、悪い人ではないって分かってくれた。
「じゃあ、今度は私の自己紹介ね。私は杠楓。この子のいとこで、26歳の会社員。そしてまあ、こいつの管理人ってとこかな」
「ねぇ、鈴鳴さん、行く宛がないんだったらここに居候すれば!?」
と、私が鈴鳴さんとおねーさんに提案すると、おねーさんは明らかに嫌そうな顔をする。
「うちに2人も働かない奴はいらないよ」
ん、今軽くディスられた?
「そもそも、記憶がないんじゃ仕事なんか就けないだろうし、お金だってどうすんの」
「じゃあ私バイトするよ」
「なんでそんなにこの人に固執するの」
「だって、こんなに面白い友達他にいないよ!!」
私はムキになって大声を出す。
私の声のせいで、おねーさんも喧嘩を買ってしまった。
「分かったわよ、あなたがバイト、私が会社に行かなきゃだから、その間に家事をさせる!それができるかテストして、合格したら居候を許可するわ!」
そうして、鈴鳴さんの家庭力テストが始まった。
のだが…
「洗濯板じゃなくて、洗濯機使って!」
(どこからもってきたんだろう)
「そんなにいっぱいじゃがいも買ってこないで!!」
(どうやって持って帰ったんだろう)
「ベランダまで掃除機かけないで!!!」
結果は、なかなか散々だった。
ボロクソに言われた鈴鳴さんは、はちゃめちゃに暗そうな顔をしている。
負のオーラが部屋の隅から伝わってくる。
「どうすんの?この人今までどうやって生きてきたの」
「可哀想なこと言わないでよ!それに、まだ料理があるじゃない」
「料理!料理ならできるぞ!」
急にキラキラした目でガッツポーズをしながら、鈴鳴さんは私たちに言った。
「本当に?じゃあこれでラストチャンスね!誰かさんが買いすぎたじゃがいもで、夕飯を作ってみて」
「はい!」
そうして、鈴鳴さんの快進撃が始まった。
手際よく食材の準備をしたかと思ったら、信じられないほどの包丁さばきでじゃがいもたちをザクザク切り、鍋へ。
豪快に炒め、出汁で煮て、あっという間に肉じゃがを完成させた。
じゅわっと甘辛い匂いが立ち上がって、思わず腹が鳴ってしまう。
残りのじゃがいもも、ポテサラに早替わり。
あまりに一瞬で、魔法かと思ってしまう。
まさかこんなに料理の腕があったとは。
そうして完成した料理をみんなで囲んで、初めての3人での夕飯だ。
「いただきまーす」
「うわ、すごく美味しい!毎日食べたいくらいね」
「え、じゃあ、居候の件は、OKって事!?」
「仕方ないし、泊めてあげるよ。もちろん、家事はどんどん覚えていってね」
「ありがとうございます…!」
「やった〜」
華やかな料理の香りは、家の外まで届いていくような気がします。
こうして我が家がまた一歩、賑やかになりましたとさ。
「俺も中に入れろーガァー!!」
バサバサバサ!!(近所迷惑)
試験-SHIKEN- 御終




