006話 最恐VS最凶 ぶつかる死線と両者の本気
最恐VS最凶 ぶつかる死線と両者の本気
場所.妖怪の山 奥地
事の経緯を話しましょうか。
この話の前に、鬼の四天王の萃香さんと邂逅。
萃香さんの洞察力に手も足も出ずに正直に話す。
そこで萃香さんの本命であろう戦いを提案される。
その一戦を受けてくれれば此方にとって有益な事をしてくれる提示までしてくれた。
その申し出に打って出たのは幻月さん。
そして、今に至る。
流石に天狗が住んでいる場所で本気でドンパチされたら里が灰塵を化してしまうらしいので犬走さんが萃香さんに腰を低くして提案したのだけど。
そうそう、判らない人に教えるわね。
白狼天狗の犬走楓さん。
私達が天狗の領域に入っているらしく、それを伝えに来た所で知り合った関係だ。武人らしく言葉数も少ないが、この犬走 楓の犬走という家系は有名らしく、後々生まれるであろう後継者の『犬走椛』の親でもあるのだ。
話を戻すけど、そんな犬走さんに場所を移して欲しいと二人は促され、やって来たのは妖怪の山でも禁忌と噂される妖怪の樹海。
ここでならどんなに騒いだ所で迷惑にもならないし、寧ろ樹海も多少は消えて一石二鳥らしい。…と犬走さんは言っていたけどね。
まぁ、そういう事でここまでが前までのあらすじね。
そして今、萃香と幻月、両者の戦いが始まろうとしていた…
最初に動いたのは、幻月だった。
目にも止まらぬ速さで萃香の懐へと差し迫り、切り付ける…が
「―ふん。そう来ると思った…よっ!!と」
「―っ!?躱した!?」
「ほらっお返しだ!!!」
萃香が幻月の攻撃を見切ったかの様に、攻撃が当たるか当たらないかのギリギリの範囲にて躱し、その隙を突いて強烈な萃香の右ストレートが幻月の脇腹へと押し込まれる。
―バゴンッ!!
「がはぁッ!??」
―ヒュンッ…
攻撃直後だった故当然身構える事も出来ず、そのまま思い切り吹き飛ばされる。
ドゴーンッ!!!
樹海でもある為、巨木に幻月は叩き込まれる。
その巨木には萃香の拳の強さと勢いがみられた。
それも幻月が吹き飛ばされたで有ろう衝撃が見る様に判る。
巨木の半分以上は衝撃によって大部分が木片となってはじけ飛び、樹皮が、剥がされ木目が露わになっているのである。
「―フフッ。クフッ。…萃香。本気は伊達じゃない訳か。流石、山の四天王と呼ばれる事はあるよね。」
「―ほらッ!!ボサっとしてよそ見をしていると…こうなるよ!!」
「―っ!??」
突然として萃香が追撃をする為何時の間にか幻月のすぐ側まで来ており、またも強烈な右ストレートをぶちかますのだった。
―ガゴーンッ!!
当たるか当たらないかの瀬戸際の範囲で間一髪で躱し追撃を免れた。
バキバキ…ズガーン!!
撃ち込まれた右ストレートは先程まで幻月がめり込んでいた巨木に思い切り風穴を開ける。この衝撃波で先の巨木は萃香の拳一つで粉微塵となった。
それはつまり支える物が無くなったと同じ事。
その瞬間、巨木は萃香を下敷きに自由落下し、萃香はそのまま動かずに潰されるのだった。
「…凄いわね。貴女の本気って…っと!?」
「相手を褒め称えるのは良いけど、今は戦っている最中だよ!?お前さんは、実力も無いただの口から出まかせを言っただけなのかい?それなら先程から攻撃の受け身を取っているだけというのも何となく理解出来るさ。」
―萃香は潰されたかと思いきやいきなり巨木を粉微塵に粉砕した刹那、幻月に一瞬で近づき殴りかかる。
だが、幻月も流石に読んでいたようで、攻撃を余裕顔でひらりと躱す。
萃香のその表情とても不満そうしており、溜息混じりの攻撃ではあるものの手は緩まなかった。
「命が惜しければさっさと降参しなよ?下手したら即死してしまうからさ。私だって、抵抗しない奴を殺めたくないんだよ…」
幻月は、萃香から繰り出される怒涛の攻撃を紙一重の連続で避け続け、これ以上は危ういと悟ったのか咄嗟に距離を取った。
「―くっ。(別に本気を出しても良いんだけど…と言うより今も『私個人の全力』なんだけどね。―そうしたら、今までよりも噂の尾鰭が付くかも…そう思えば…)」
萃香も一旦手と動きを止め距離を取った幻月を見定め、右手を腰に動かした。
「…でも、そうならば鬼である私と里と村の皆に多重に嘘を付いていたという事になるから…何方にせよ容赦なく殺すだけだけど…さっ!!」
突如、幻月に差し迫る鎖の音と轟音が聞こえ一度、考えていた事を止め、紙一重で躱す。
その鎖と轟音は、避けたと同時に萃香の手元へと一瞬で戻った。
「…さっきの攻撃、貴女の持っていた瓢箪を此方に向けて的確に飛ばしてきたでしょ?」
幻月は萃香が何かを此方に思い切り投げる様子を垣間見た。
その形は紫色で瓢箪の形、其処に引っ掛ける様についた鎖だった。
「―へぇ??クククッ!…アハハハッ!!流石の動体視力だ。」
萃香はその刹那、高笑いをして幻月を称賛する。
「そうだよ。此奴の名前は『伊吹箪』っていう私自慢の瓢箪だよ。個人的には、私が生きる為には無くてはならないモノって奴だ」
その後、目に留まらない速さな筈の攻撃を見破った事に対してのお礼代わりに手元にある瓢箪と鎖の説明をし始める。
「…気に入った。最高に気分が良いからこの瓢箪について説明してやろう」
「此奴は特別製でね。どんな水でもこの瓢箪にいれるとたちまちお酒になると言う仕組みなのさ。」
「更に、その瓢箪には『酒虫』という、これまた特別な虫が入っていてね。此奴のお陰で水が一瞬でお酒に代わると言う仕組み。」
「こういう使い方以外にもさっきの攻撃様な感じの遠距離攻撃する為の武器にもなるんだよ」
「…お前さん、そこからこの鎖は見えるかい?」
幻月は見えると肯定の頷きを行う。
すると萃香はまるで至近距離で応対しているかのようなノリで二回くらい頷いた後、話を続けた。
「うん。見えているみたいだね。じゃ、話を続けるよ。実は瓢箪に付いているこの鎖も特別製なのさ」
「私は鬼、だからね?目が人間よりも、ましてや鷹の目よりも良くてな?お前さんがさっき頷いた様子もここから一目瞭然なんだよね」
「そんな鬼の目に対応しているのがこの鎖さ。どんな場所に居ても、例え、相手が私からどれだけ距離を取ったとしても、この『私が見える範囲』に居る限りは、この鎖が対象まで瞬時に何処までも伸びていくと言う奴なんだよ。」
―フォンッ!フォン!!
鎖を勢いを付けるべく前後に大きくふりをつけてから、素早く回し始める。
フォフォフォフォフォフォ…ッ!!
鎖を回し続けている為、風切り音が鳴り始める。
萃香は距離をとった幻月に向けて狙いを定める。
「こんな風…に、ねぇっ!!」
刹那、伊吹箪を幻月に向けて飛ばす萃香。
「…くっ。こんな攻撃…―っ!?」
幻月に向けて飛んできた伊吹箪は先程と同じ様に躱して見せた幻月だったが、伊吹箪が持ち主に戻る方向を見たその瞬間、萃香がその真横に居るのを感じ取った幻月は避けきれないと悟り、咄嗟に受け身を取ろうとするも…
「―遅いっ!!」
ブンッ!ゴーン!!
「―きゃぁぁぁぁっ!???」
受け身を取らせまいと、目に見えぬ速さで懐へと差し迫り豪腕の拳を二発、幻月の腕と胸へと撃ち込まれる。
萃香は、幻月が撃ち落とされた場所へと静かに降り立ち、衝撃で視界が土煙で見えない中こう語り掛ける
「…油断大敵ってものさ。相手が悪かったね。―ところで…いつになったらお前さんの本気を見せてくれるんだい?」
突然と萃香は幻月が何かを隠しているかと思ったらしく、カマを掛けるべく疑問に思っていた事を幻月に投げかける。
「…な、なにを言って?」
「何を…って?そりゃみりゃ判るよ。本気を見せて欲しいのにちっともお前は本気を出してはいないって事さ。」
「な、何を根拠に―」
そう、幻月が返そうとした所其処を遮り萃香は、疑問に思って居た事を淡々と話し始めるのだった。
「ハハハハッ!!何をいうかと思ったら。そんな事か?根拠?フン。こんなにも判り易い嘘は初めてだ。だが、面白いから不問にしてやる」
「…私達は鬼さ。近接戦闘は十八番な位は判るだろ?いくらやったって鬼に物理で立ち向かうなんざ何年、何十年、ましては何万年かけてだって、勝てる筈はない。」
「―だったらどうするか、それこそ、遠くから攻撃すれば良い。そうなる筈だ。だから、この伊吹箪と鎖の組み合わせで遠距離のカバーが出来る。」
そう言い切り、その後幻月に向けて問いかける。
「そして。お前さんと戦っている所申し訳ないが、さっきから回避しか専念して無い。それも常人離れした動体視力と観察眼を兼ね備えている様だ。」
「―つまり、お前は近接戦闘は苦手で逆に回避しつつ遠近両用で戦える策士または、遠距離攻撃を持っている奴に違いない訳だ。」
萃香はその推測を述べた後もう一度問いかけた。
「…んでぇ?其処ん所はどうなのよ?さっきから今までの戦闘でお前は力を出し惜しみしている感じにしか見えない。」
「……。」
幻月はその言葉に詰まる。
その後数秒、萃香は深く溜息を吐いた。
「…オイオイ。無視か??それとも、判っててワザと答えないつもりかぁ??」
そう萃香は問いかけるも幻月は同じく反応を示さない。
「…あぁ。そう。私の質問に答えられない程私に隠したい力があるのか…。あるいはもう戦意が無いのか。フン。良いだろう。そっちが本気を出さないのならこっちから本気を出してやるよぉっ!!」
萃香は、その声と同時に威圧がさらに増す。
その威圧は豪風を呼び起こし萃香を中心に広がり、その周りに漂っていた土煙全てを吹き飛ばした。
「お前が本気を出してから使おうと思って力を温存していたが、その気が無いなら話は別。私の取って置きの一つを見せてやる。本気を出さなかった事を後悔すると良いよ!!」
「奥義『三歩必殺』!!」
そう『宣言』した萃香は拳を振りかざし、足を踏み鳴らす。
「お前さんは、恐らくこの言葉の意味を知っている。…本気で抗ってみなよ!!さもないと…死ぬよ。」
その言葉の後、幻月に向けて走り出す。
一方幻月は…
幻月.side
「…。」
私は正直焦っていた。
萃香はスペルカード宣言をした。
その言葉の意味も、私が判っているとみてだ。
即ち、『本気で殺す』宣言だ。
幻想郷では遊びとしてスペルカード宣言をして満身創痍になったら終了。
だが、ここは生憎、幻想郷ではない。
即ち、宣言したら全力で潰しに来ると。
力を渋ってはここで萃香さんに殺される事に。
迷っている時間はなかった。
何故なら…
「さぁて、終いにするよっ!!お前さんと短い間ではあったが中々楽しめたよ。これで終わりさ。…一っ!!」
一、二歩で勢いを付けつつ踏み込み、三歩目で必殺の拳を対象の急所目掛けて一発叩き込む奥義。
それが、四天王奥義『三歩必殺』
元々このスペルは星熊勇儀さんのモノだけど…萃香さんも鬼だし使えて当然だよね。
…悠長にしている時間は刹那程も無い。
私は仕方が無い。本気で抗わないと殺される。
そう強く思い、身に宿る力を解除した。
「―ニ(にぃ)っ!!…三っ!!!」
萃香は、幻月がいた場所に向けて力強く拳を振りかざし、ぶち抜いた。
その場所はもう跡形も無く、穴が開いているだけで有った。
「…勝負あったかな?」
そう萃香が呟くと
「いやいや、勝手に勝負を終わらせないで欲しいかなぁ!!」
萃香の上空から声が聞こえる。
と同時に上空から殺気が感じ取られ、萃香は咄嗟に後ろへと身をかわす。
その刹那、高圧のエネルギー波が萃香の居た位置に降り注ぎ、その場所一帯は焦土と化した。
「クククッ。期待通りに本気を出してくれた様だね?幻月?その妖気。ただ者では無いね。先程の攻撃は見事だったよ」
萃香は上空に移動した幻月を垣間見て笑う。何故ならば
「ありゃりゃ、外れた。でも、鬼って勘が鋭くて厄介だし、それでこそ楽しめそうね~♪」
と戦いこそ喜びだと言わないばかりに戦闘を楽しんでいる私が一人。
「はぁ。萃香さんが本気を出せっていうから。もう。萃香さんが消し炭になったらどうなっていたか…」
と私が口を挟む。
「私?そんな心配は無用だよ。相手は鬼。この戦いを切り抜けてからでも考えられるでしょ?」
冷静に戦闘分析をし、自由なマイペースな口調で私にそっと語りかける私が一人。
「その為に私は私を生み出したんだから。そうじゃないのかな?付け加えて言うならこの中の私の内優しいのは一番にこの私なんだからさ」
と自己主張が激しいものの、覇気はなく緩やかな口調でこの私を安心させるべく語りかける私が一人。
そう、私こと幻月は、四人に分身していたのだから。
「…その力。何処か別の場所で噂されている『四季のフラワーマスター』に似て非なる力そっくりだよ。…因みに今のお前さんはどういう状態なのか…余裕があるなら教えて欲しいんだが?」
そう萃香さんが口を開けると別の私が
「そんなの、戦ってみたら判ることじゃないっ♪」
と強気に出るもそこに口を挟むかのように別の私が押さえる。
「…戦闘狂の私?理屈は判るけど、『今の本体』に従いましょ?」
「何?優雅な私。アンタがそれを言うならそっちに居る平和な私はどうなのかしら?」
「う~ん。私ならまず話し合いの方が気が楽かな。戦わずして解決出来るならよりましだと思うけど…一番の主導権は本体の私なんだから、今は言い争うべきじゃないと私は思うなぁ~」
とこの私を差し置いて、好き放題言う始末。
まぁ、本当の所。
…ここにいる私は全部『私が常々思って居た感情』なんだけど。
…こうして表に出して第三者視点で聞いて見ると遺憾だよなぁ~
だって、全部私の性格なんだよ?そう思わない?
って誰に説いているんだろ…。
「…そうだね。正直に言うなら全部本物。そして、『私』から生み出された三つの感情の人格だよ。勿論記憶も今までの経験も全て同じく共有されている『私』だよ」
「カッハハハハッ!!!良いね、良いね。そう来なくては。私も滾って来たよ…よし。…私も本気の本気。全力全壊で遣りあってあげるよ!!感謝しな!!」
萃香さんにそう告げると高笑いをした後、先程とは桁にならない位の力を貯め始める。
「…所で、萃香様?さっき使った奥義の事ですけど…」
別の私が萃香にある事を問いかける。
「んぁ?あぁ、あの中二病臭い『宣言』ね?どしたの?」
「その宣言は何処で覚えたのかしら~?って思いまして」
優雅な私が質問をすると、う~んと唸った後ハッと思い出したかの様に、顔を上げ此方に向けて答える
「…そうそう。不思議な形の羽をした二匹の妖精だったよ。一匹は黄色で月の形をしたような羽を持つ妖精だったね。」
「もう一匹は…青く服のデザインが星の模様をした、何やら不思議な感じを醸し出したお嬢様の様な妖精だったね。」
「…私には判らんが、そいつらが私を見かけるなり何とも難解な言葉を次々と質問して行って帰った感じかなぁ?」
「もし、お前が知って居る様な言葉がアイツ等にも判るならお前さんとあの妖精は共通した世界の何処かに当てはまる何かを知っている筈さ。頭の隅にでも刻んでおくと良いさ」
…妖精。
…その言葉で判る妖精は二人。
月の羽を持つ妖精は光の三妖精の『ルナチャイルド』だ
そして、星を象った様な服を着ている妖精は光の三妖精の『スターサファイア』となる。
即ち、その妖精がこの辺りに住んでおり、何かしらの経緯で『あちらの世界』からやってきたのか…それか私の同じ感じの存在なら共有できる情報もあるかもしれない。
とても良い情報を聴けた私は、ホッと胸を撫で下ろす。
「そろそろ、良いかい?私はもういつでもいけるぞぉ~!!」
萃香さんはもう準備は出来ている様だった。
「…えぇ。何時でも掛かってらっしゃい!!!」
「フフフッ♪粉々になるまで遊んであげるっ!!」
「―これも仕方ないわね。御覚悟さないっ!!」
「萃香さん。私達の攻撃を耐えられるモノなら耐えてみてよっ!!」
「「「「四極砲『ダイヤモンドスパーク』!!」」」」
私達は、魔力を収束し同時に撃ち穿つ。
その形はまるでダイヤモンドを横から見た様な形と成り四方八方に飛んでいく…その狙いは躱す隙の無い絶対命中のレーザーとなり萃香さんに降り注ぐ。
「そう来たか。では私も容赦なく逝かせて貰うとするかぁ…。―私の攻撃…防げるものなら防いで見せなっ!!」
「―四天王奥義『三歩灰塵』!!」
萃香さんの身体が大きくなり其処から問答無用の拳と巨体からののしかかり攻撃その攻撃三回で全てが無に還り、新地と化す強力な必殺…それこそ萃香さんの奥義の一つ。
『三歩灰塵』である。
両者の本気のぶつかり合う、その瞬間。
「貴方達っ!!!勝負は其処まで!!」
と胸に響き渡る様で透き通る若干高い声が私達の耳に入る。
直後―
「龍符『ドラゴンズグロウル』!!!」
スペル宣言が何処かから響いた。
その一瞬にしてレーザーの様な攻撃が私(達)の攻撃を相殺し萃香さんの怒涛連続攻撃が謎の龍の顎の様な物に止められる。
「「「「なっ!??」」」」
「うげぇ…この声って…」
「貴方達。戦いは其処までです。これ以上暴れられると、流石にここら一帯じゃ済まない大被害となり得ますので。」
「華扇…じゃないかぁ。」
とダルそうな声と共に戦意を無くした萃香は元の大きさに戻っていく。
「…興が覚めたわ。後は任せたわよ『私』?」
「仕方が有りませんね。今日の所は此処で終わりにしましょうか。そうそう『私』?たまにはこうして『私達』を呼び出して、一緒にお茶でもしましょ…?―それでは御機嫌よう~♪」
「ふぅ。激化するのは避けたかったけど、どうにかなったかなぁ…『私』?くれぐれも粗相が無い様にね?…また会いましょう~。」
と私達三人は元の私に吸い込まれるかの様に一体化し消えていった。
その様子を見ていたであろう華扇さんにその一部始終を見ていたさとりの二人にこう言われる。
「貴方達、少しやり過ぎです。少々説教が必要ですね!!」
「…こればかりは、どう足掻いても逃れられませんよ。私だってヒヤヒヤしたんですから。覚悟して聞いて貰いましょうか?幻月さん?」
…どうやら、本当に長い長い一日になりそうな予感がするのであった。
一方その頃…
妖怪の山の何処かにてある三つの影がある話し合いをしていた。
「…ほら。だから言ったじゃないルナ。貴女は今、『人間』じゃないんだから危ないよって」
と星型の服を来た影が二人の影に話しかける。
「そ、それを言ったらスターだって同じだと思うよ。…サニーは、上の空な様だし今喋っても大丈夫かなぁ…?」
と月の形をした羽を持つ影が力無く反論する。
「ちゃんと、訊いているわよ。全く。『光の三妖精』な私達だからこうして集まっては遊んではいるけど…元は三人『別世界の人』何だし、連携が取れないのも頷けるわ」
とその二人に賛同するようにもう一人の影が二人を纏める。
「それに、『今は』それぞれの家を持っているからこうして集まっているけど…『何時かは一緒に住みたいよね』?」
「う、うん。…でも私は今そんなことをしている余裕が無いからこうして遊べるだけでも嬉しいかな。」
「私だって同じくよ。最近里の人間達ったら妖精やら妖怪やらをひたすら見つけては存在を消そうとしてくるんだもん。ウンザリすぎて疲れちゃうわ」
「…ウフフ。確かに。仲は良くは無いし、連携も取れて無いけど…同じ事を思う同志って感じがして嬉しいわね♪」
「…うん。じゃ、そろそろ私は行くね。スター、サニー。またね。」
「ええ。またね♪」
「私もそろそろだし、スターもルナもまた明日っ!!」
「フフッ。えぇ。また次ね~♪」
と二つの影はそれぞれの方向へ消えていった。
その場に残った一つの影は、一人こう呟く。
「…この世界…『現・幻想郷』と『旧・幻想郷』…その間に生まれた『虚・幻想郷』と『創・幻想郷』の狭間の世界な様ね…。まさに夢の様で現の様。この歴史は、後々有り得ない世界線を辿る事になるかなぁ?その時がとても楽しみだわっ♪」
と星の様な服を着た影は、夕暮れ時になるオレンジ色の空を見上げながら、まるで先の未来の事を見通したかのようにひっそりと笑いその場を後にするのだった…