004話 一迅の豪風を巻き起こす山の支配後継者
場所.???
「…見えましたか?」
「―いえ。でも、あの二人。片方の方は里で何度も噂されていた女神様と一致します。」
遠くから二つの影がかなり警戒しながら様子を観察している。
「へぇ?…で、もう一人の方は?」
「それは、未だに不明なままです。そして、何やら女神様と楽しく雑談しておりますが。」
一人は鴉天狗、もう片方が白狼天狗である。
「―ふむ。となるならば、その女神様の存在はさておき、その正体不明の人物の存在がいる事は気が気ではありませんね。早急に調査しなければ…」
「射命丸。まさかとは思いますが…我々白狼天狗の末裔の一人であり一介の実力者の私、犬走に任せるつもりか?」
と、白狼天狗の犬走が鴉天狗の射命丸と言う者に睨みながら質問をする。
射命丸は、笑いながらその質問に首を縦に一度振った後に肯定して口を動かす。
「良いじゃないですか?我々同志何ですし。年齢を鏡見れば同僚の様なモノなのですから」
「そういうモノじゃないきが…いや、やめておこう。お前は何かとあると新聞に載せようとする悪い癖があるからな。不満ではあるが、今回だけはその案に乗ってやる。感謝はしておけ。」
嫌々ながら親友という立場から断り切れず了承して早速調査に出掛けるべく、後ろを向き準備を進めようとすると…
「ほうほう。了解です。全く、犬走さんは素直じゃありませんね~。まぁ、良いでしょう。そうと決まったら犬走さんは、部下を連れて調査をお願いしますよ。」
射命丸が、その返しに油を注ぐかのような煽りを入れる。
「……煩い。あんまり煽てると、親友のお前でも容赦なく咽を噛みちぎるぞ?」
当然ながら射命丸に怒りを露わにして犬歯を見せて威嚇する。
「あ~あ、はいはい。すみませんでした。調査お願いしますよ。」
「言われずとも判った。」
射命丸は呆れながら、適当に流しつつ調査を促した。
犬走はその返答をした後、調査をするべく一足早く部下を引き連れ現場に向かうのだった。
さとり.Side
あの事件の後、私達は幻月と共に山の紅葉を見に来ていた。
夢月は今の住んでいる所でメイド稼業だ。
…違った。
何方かというならば、メイドの恰好をしたメイド初心者が頑張って家事を自力で頑張っている最中だ。
だから、幻月曰く私達がいるのは筋違いらしく空気を読んでこうして外へと出て来た訳だが…
「意外にもこんなにも月が綺麗なんてね…」
今日は珍しく雲一つなく満月。更には山の木々も紅葉しておりでまさに絵になる位に綺麗だった。
「さとり~。お望み通りお酒、持ってきたよ~♪」
幻月は今日この今の為に人間の里へ行きお酒を買っていたのだ。
「―フフッ。幻月。少し遅かったですね。」
「仕方ないじゃん。少し人間の里に行ってお酒を買って居たんだから。貴女と違って、私はあそこでは有名人で女神様なんだから。サイン下さいとか、腕試しさせてくれ、とかでそれどころじゃなかったんだよ。でも、今回はその人が推しているお酒を売っているお店で買って来たからさ、味は保証できるよ。」
折角二人きりなんですし…幻月さんと一緒に飲んでみるのも一興ですかね…
「そうですか。なら、楽しみですね。良ければ、幻月も私の隣に座ってみて下さい。ここからなら綺麗な月が拝めますよ」
私が座っている場所は、丁度良い角度の大きな石に座っており、其処からみる景色は今日みたいな満月やこの妖怪の山の麓が一望できる絶景スポットとなっている。
「…じゃ、遠慮なく。よいしょ…へぇ~♪本当に綺麗~♪」
「そうでしょう。貴女の妹の為に出て来たばかりに勿体ない位ですね。」
「…それ、どういういみ?」
何となく思った言葉ですが…しいて言うなら妹の家事独学修行を頑張らせる為に自らの判断で出かけたお陰でこんなに良い場所が見つけられた…ですかね。
「何にも?意味なんてないですし。それよりも早くお酒をお願いします」
「はいはい。…ん?そう言えば、さとりってお酒って強い方?」
幻月が酒瓶を手渡しで私に渡そうと腕を伸ばして私はそれを受取ろうとした所、気付いたかのようにその手を躱して幻月の元に戻す。
「…。え。それってどういう意味です?」
上手く受け取れなかった私は若干イラつきながらも幻月に質問をする。
「いや、前に霍青娥さんの場所でお酒を一口飲んだだけで酔い潰れて3rdアイを自分で壊しているからさ…こんなにも月が綺麗だしそのお陰で気分は高揚しているのも理解しているけど…大丈夫?」
なんだ、そんな質問か…
「大丈夫…だと思いますよ。今回は月見酒ですしそんなに飲まないですから」
幻月は、溜息混じりで手元にあった酒瓶を今度こそ私は受け取れた。
その酒瓶には『影彌夜桜』と書いている。
「判った。程々にね。…ほい。名酒の『影彌夜桜』って奴。アルコール度数はそれなりにあるけど…あの時みたいな事は起きない位のほろ酔い程度の度数な筈だから…」
「では…っと。」
そんな幻月の心配を他所に私は用意した私様の器にお酒を注ぐ。
「幻月は如何です?」
「うん。じゃ、遠慮なく…」
私は幻月の器にお酒を注いだ。
…。
…え?生まれてまだ3~5年しか経っていないって?
お酒は20歳から?
だから、私も幻月もお酒は駄目だって?
…ここはそんな規則ありませんよ?
―そもそも私は人間じゃないです。妖怪です。前世の記憶がある妖怪です。
人間様のルールを私達にあてはめないで下さい。
…だから、妖怪ですから人間の歳に当てはめないで下さい。
もうキリが無いです。
「…ッ。はぁ~♪…この味は逝けるわね~♪」
「漢字、漢字。誤字ってます!」
「へっ…?あ、ゴメンゴメン。」
「…少なくともコントじゃありませんから。」
「フフッ♪まぁ。ね?」
『影彌夜桜』
甘いような…それでいて其処からの辛いまるでジンジャーエールの様なもの。
癖が強いのは確かね。でも、不思議と嫌にならない味。
…。
あの時感じた強い妖力。
私の見立てだと…
「それこそ、出てきたらどうですか?」
私がそう叫んでも、出て来る気配は一向になかった。
何でそんな周囲に気にかけているのか?
その理由がその隣にいて里で有名になっている幻月こと、女神様なんです。
「…私達に判らない様に影からこそこそと…!―意図は解り兼ねるけど、折角の美味しいお酒が不味くなるわ。…いるんでしょ??天狗達?」
その殺気迫る言葉が効いたのか天狗達が揃って姿を現す。
その数、5人。
成程、得体の知れない私が原因ですか。
「貴殿の噂は、耳にしております。人間の里を出入りしておきながら陰陽師や力がある者達を次々と意図も簡単になぎ倒して今では里を治める女神とされていると」
「私は妖怪の山を警備し、管理している一注。その家系の一つ白狼天狗の有力者、名を犬走 颯です。今回の無礼本当に申し訳ありません。しかし、貴女の隣にいる者の存在を確かめたかったのは事実。」
「失礼を致しますが、女神とされる者の隣にいる人物は、何方様なのか…?」
丁寧かつ厳格な正確な様で一言でいうなら生真面目が当てはまる。
「…そうですね。私は別に貴方達を責めるつもりも、害する気もありません。ただ、ここに住んでいるだけの一人の妖怪です。」
その言葉を聞いた犬走さんは、少々悩み口を開く。
「…そう、か。―なら、少しだけ無礼を働くかもしれないが許してくれ。追い出せとか、出ていけとか、そんな真似はしない」
「―しかし、この妖怪の山には排他的な者が多くてな、お前達の様な妖怪が住むとなるとここの配属の様なのに入らなければならなくてな。」
「いや、無理に入れとは言わない。ただ、入らなければ、少々目を付けて監視をしなければならなくなるんだ。それだけは理解して貰えたか?」
―程。
要は組織に入れば優遇されるし、こうやって一々監視をしなくても良くなるから気が楽で良いと
逆に入らなけらば、監視しなければいけないし害する行為を行った場合は全力で対処しなければならなくなると…
「良い誘いだとは思いますが、すみません。私達は組織に入るつもりはないです。でもって、監視をしても大丈夫です。貴女には上司がいるのでしょう?なら、其処へ行って報告しても大丈夫ですよ?」
「…最悪、追い出されるとしてもか?」
―嫌ですけど…
「やむを得ませんしね。その場合は大人しく違う所へ移り住みますから、私達の事は気にしないで結構ですから」
「そうか。…要件は以上だ。…月見酒の所邪魔したな。」
以外にも人の気遣いも上手い所は評価高いね…
「ううん。大丈夫だよ。そんな事よりも私達と一杯…する?」
「…良い誘いだが、スマンが断らせて貰う。これから上司に報告しなければいけないのでな。更にはその後に貴殿の様な形で一杯やる先約があるんだ。生憎、予約は一杯一杯なんだ。悪いがまた今度してくれ」
幻月からの誘いを断るなんて…まぁ。致し方ないよね。
「悪かったね。こちらこそ。じゃ、好きな様に報告しておいで。…今度からは裏でこそこそしないで堂々と出て来てよ?」
「…承知した。」
そう言って犬走さんとその部下たちは颯爽と駆け抜け、あっという間に闇に溶ける様に消えていった。
「…、ふぅ。さとり。大丈夫?」
「…えぇ。平気よそれよりも、このお酒、美味しいわね」
「でしょ~♪ホラホラ、遠慮はしないでね?…。ッ。…にしても今夜も月が綺麗だね。」
幻月が意味深な事を口にする。
「…そうですね。…??あれ?…幻月さん?今の言葉は、どういう…」
「…さ~てね?どうでしょう~♪」
ちょっといらって来ましたので心を読んで恥かかせたろ…
って思ったけど、そう言えば幻月には理を操る力があるから、心を読む事がこの人だけ無効化されちゃうんだった…
恥かかせるつもりが逆にかかされると言うね…
「はぁ。心を読もうとしましたが、幻月さんには効かない事を思い出しました。…不覚ですね。…ですが、本当に月が綺麗です、お伽話に出て来そうな満月です」
「ふふん。まぁ、そういう事で月見終わったら夢月の様子を見に行くのと同時に次の予定でも考えよっか」
「…そうですね。」
そうして、さとりたちは、月見を堪能した後自らの家へと戻りこれからの計画を立てるのであった。
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