014話 祝いと祝福と関係と…
私の名前はエリスです。
幻月様に助けていただいた悪魔なのです。
先程、幻月様から連絡が入りまして、さとりさんが連れてきたあの半妖の娘が目を覚ましたらしく…。
現在は、その目を覚ました娘の為の食事を作る食材を買いに夢月さんと一緒に人間の里へ来ているんです。
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エリスのステータス
肩書き 変幻自在の異境の凶星
名前 エリス
能力 真似をする程度の能力
特殊能力 完全複製記憶能力
・一度見たモノや聞いた事は永遠に忘れることは無い。また、接触した相手や関わった相手の特徴を覚え、身体能力や特殊能力、身に纏う服や武具を魔力を使って自在に複製する事が可能。
(簡単にすれば、完全記憶能力の上位互換的なモノ)
身体能力一覧
耐久力 D-
筋力 B
防御力 E+
魔力 A+
速力 S
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「エリス。…こういうのはどうだと思う?」
と夢月さんはオレンジ色の食材らしきものを手に取って此方に伺った。
「…え?それ、なんです?私の検討違いではなければ…それはニンジンという野菜と…こっそりと左手に持っているのは…カブ…ですよね?」
「…そうね。正解よ。エリスも此処に慣れてきた様ね」
「なにを試されたのか知りませんが…食べ物で遊ばないで下さい!!」
私は、目の前で夢月さんがニンジンとカブをかごへと入れた直後、私が少し目を話した隙に林檎を片手に二つに持ち、まるでお手玉をするように遊び始めたではありませんか!?
流石に迷惑だと思い注意しましたよ。全く。
こういうところは幻月様にそっくりです。
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夢月のステータス
肩書き 冷酷非情なコスプレメイド
名前 夢月
能力 次元を操る程度の能力
特殊能力 次間掌握
・空間と空間、次元と次元の扱い方が非常に上手い。…また、『時』と『次』が関するモノに対する全てと『象』と『神』が関するモノ全てを掌握出来る力となっている。
☆掌握可能なモノ一例☆
【『時』間】【『時』限】【『時』代】【『次』元】【現『象』】【心『象』】【事『象』】【『神』仏】【『神』霊】【『神』降ろし】【『神』官】等々……。
身体能力一覧
耐久力 S
筋力 A+
防御力 S-
魔力 A-
速力 B+
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「…あ、すみません。エリス。…この林檎二つ、買いますから」
と夢月さんは林檎をかごへと入れた。
「反省して下さいよ?」
これじゃ、どっちが先輩か後輩か判りませんよ。
「それより、エリス。…今日の食事の内容。姉さんとさとりさん…どちらから何か聞いてない?」
「…え~と。確か…豪華な食事にしたいから、カレーをメインにデザートとして…フルーツヨーグルトを作りたいとかなんとか…。他の野菜は山で取れるから入らないって言ってましたね」
「そう。なら、早く買って行きましょうか。待たせるのは良くないと思いますので」
そう夢月さんは言ってますが、多分同じ妹として心配しているんでしょう。
全く、判りやすいんですから。
「そうですね。じゃ、必要なモノを買いましたし私達の家へ帰りましょうか」
そうして、私達二人は『私達の家』へと帰ったのでした。
……幻月様はもうとっくに気付かれているとは思いですけど、私だって『幻月』さんと同じ人間だったんですよ。
だからこの買い物を私に任せたんでしょうね。
…本当に元人間なら、転生してきたのだとしたら、現地の人には知りもしないレシピである『カレー』と『フルーツヨーグルト』と言われればなんとなく想像が出来てそれに、必要なモノも調達出来ると踏んだのでしょうね。
さて、そろそろ私達の家へつく頃です。
さとりさんと幻月『様』が今何をしているのか…この時に至るまでなにをしていたのか…気になりますが…その気になることは追々考えておきます。
さぁて、幻月様の為に飛びっきりの美味しいカレーを作りますよぉ~っ!!
さとり視点………
こいしと言う名前が判明して、まもなく。
幻月を慕うエリスや夢月達が家へと到着した時間にまで遡る。
……さてと、皆さん揃いましたね?
幻月さんに、エリスさん、夢月さんとお燐さん。…ん?いつの間にか二人増えていますが……。
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さとりのステータス
肩書き 心優しきさとり妖怪
名前 古明地 さとり
能力 心を読む程度の能力
特殊能力 超再生
・通常の妖怪が持つ再生能力とは桁違いの自己再生能力であり、致命傷を負う怪我をしたとしても死んでさえいなければ早くて一日、遅くて二日程度で身体の部位等が完全に元に戻り回復する。また、常時再生能力が機能しており、ちょっとやそっとの傷では再生力の方が勝り、身体に傷一つ残らず、また付ける事も出来ない。
身体能力一覧
耐久力 S+
筋力 B+
防御力 C-
魔力 A-
速力 C
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一人は、髪色は真っ白で長髪。左の方に片寄った感じにポニーテールが結っている。
服は赤と白で構成されており、背中には六枚の巨大な羽が生えており、赤黒い紋様が怪しく光っている。
身長は、今まで出会った人物の中で例えると永琳さんと神子さんを足して二で割った様な身長でまぁまぁ高い。
もう一人は、白い帽子を被っており、髪色は金髪。髪の長さは短い。
服は白と青で構成されたメイド服っぽいモノであり、身長は私達と殆んど同じ位ですかね。
でもってよく見ると常にふわふわと浮いており明らかに人間ではない事が伺えた。
「初めまして~♪私は神綺。幻月ちゃんに誘われて、ここ地上に遊びに来たわ~♪…魔界って場所に住んでいて、いずれ神様…になる予定ね。今後とも宜しくね?さとりちゃん?…あ、堅苦しくしなくていいわよ?楽に話しかけて頂戴ね?」
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神綺のステータス
肩書き 別世界の創生神
名前 神綺
能力 無から魔の付くモノ全てを創造出来る程度の能力
特殊能力 魔神障壁
・自分が所有する魔力以下の殺傷力を持つモノなら自分に対する攻撃を完全無効化または反射して反撃をする。…或いは、魔力をある程度消費して自分周りの一定範囲にいる人物の殺傷力を軽減。もしくは無効化させる。
特殊能力二 仮想創造
・魔力を消費することで想像したモノを創造することが可能。更に、魔力を大量に消費することで産み出すモノにあらゆる成分や味や質感等々を本格的に再現することが可能になる。ただし、かなりの労力が必要な為最低限、モノをイメージ出来る様にしないといけない。
身体能力一覧
耐久力 SSS+
筋力 B+
防御力 SS
魔力 Unknown
速力 C+
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「幻月に誘われたから遊びにきたの。私はカナ。カナ・アナベラル。騒霊なんだけど、こんな私でも一緒に遊んでくれる幻月とはお友達なの。さとりさん?だっけ?初めましてだけど、仲良くして欲しいな~。宜しくね?」
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カナのステータス
肩書き 夢から産み出されし騒霊少女
名前 カナ・アナベラル
能力 スキマを扱う事が出来る程度の能力
特殊能力 複製物質
・使った事がある物や道具を永遠に記憶出来る。それを複製して保存する事も可能になる。また、複製した物品は複製した本人しか使うことが出来ない。本人の意思でいつでもどこでも呼び出す事が可能ではあるがその度に魔力を消費してしまう点には注意が必要。なお、物品を複製するには大量の魔力が必要である。
(身体能力を見れば大量の魔力を保有できない事も一目瞭然である)
身体能力一覧
耐久力 F+
筋力 C-
防御力 E
魔力 D+
速力 A+
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カナさんはともかくとして、神綺さんは魔界の神と呼ばれている創生神なんですが…
…どこでそんな縁が出来たんでしょうか?
全くの謎ですが、今はそんな事を行っていられませんしね。
「カナさんに、神綺さんですね?宜しくお願いします」
「えぇ。宜しくね?さとりちゃん」
「うん。宜しく。さとりさん」
「…さて、話は逸れてしまいましたが今日はこいしの生誕記念日です。思いっきり豪華な食事にしたいと思うのですけど…どんな料理が良いでしょうか?」
と皆に問いかけた。
「そうだなぁ…アテはあるかわからないけど、無難なカレーはどうかなぁ?子供なら誰でも好きだと思うし」
意気揚々と答えたのは幻月でした。
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幻月のステータス
肩書き 心優しき白き悪魔
名前 幻月
能力 理を操る程度の能力
特殊能力 夢幻盧魔力
・魔力が尽きる事が一切無い。ただし、記載されている通りの無限では無く、現在保有最大魔力数値以上以下にはならない。…ようは上限を越した魔力の保有や使用は出来ないが減ることは無い為、上限内にある魔力使用なら無限に可能という意味合いなのである。
例.上限500なら500以上に魔力を保有する事は出来ないが、使用しても500以下にになることはない為、無限に魔法を行使できる。
(魔力を500以上必要とする魔法ならばその魔法は使用不可である)
身体能力一覧
耐久力 A-
筋力 S-
防御力 B+
魔力 S+
速力 S
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「ふむ。確かにカレーは子供の好きな料理の内の一つですね。…しかし、食材はいいとしまして、カレーを作る為の原材料はどうします?」
「……あ。考えてなかった…。此処はあの現代…じゃないんだったよ~。…こ、困ったなぁ~」
……まぁ、そうですよね。
良い案だとは思いましたが作れなければ意味も無いですからね。
更に言えばここの世界にはまだカレーは伝わっていません。カレーって言葉だけで判る筈も無いんです。
「か、かれー?…な、なんだいそりゃ?」
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お燐のステータス
肩書き 死体を運ぶお気楽火車
名前 火焔猫 燐
能力 死者の魂を自在に操れる程度の能力
特殊能力 怨霊遣い
・種族が怨霊、そして比較的力が弱いモノを対象に出来る。怨霊を憑依させた対象すらも自分の思うままに操ることが可能になる。しかし、比較的弱い怨霊なので憑依させる事が出来る対象は今のところ妖精程度しかいない。
身体能力一覧
耐久力 D+
筋力 S+
防御力 B-
魔力 C
速力 A
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「うぅん…?…か、カレー…ね?…辛いって言う意味なら判るけどぉ…」
お燐とカナちゃんは、頭を傾げています。
カレーって言葉字体が初めて聞くのでしょうね。
こいしは今、いませんけど…恐らくその言葉を聞いたところで同じ反応をするでしょう。
一方で私を含めた【未来の知識】を持っている人物達は、夢月に幻月。それにエリスも。
…因みにエリスは、幻月に元人間だという自己申告によって発覚しまして…実質三人目の転生者ですね。
神綺さんは、少し悩む顔をした後に此方を向いた。
「…子供が喜ぶお料理だとは思うわ。私の力を少し応用すれば用意することは可能だから安心してね?そんな事より、メインがカレーだとしたら…食後の甘いモノも少しは用意はした方がいいんじゃないかしら?」
神綺さんは、カレーというモノを理解しているようす。
…ふむ。甘いモノ…ですか。
「…クッキー…じゃ、流石にいけませんよね…?」
「そうねぇ…。貴女だって、カレーを食べた後に甘いモノとして焼き立てのクッキーを渡されたら困っちゃうでしょう?」
…確かに…ですね。
カレーを食べた後にクッキーを頂くのは……流石に引いちゃいます。
…おやつとしてならまだ判りますが、カレーにあう食後のデザートのイメージとしてなら些か釣り合いませんので。
…私としては、おやつの時間のお茶請けとして出す位ですし、経験が無いんですよ。
「…う~ん。そうですね…なら、ヨーグルト。…フルーツヨーグルトって言うのは如何でしょうか?」
「…そうね。良いと思うわよ。…ただ、そのヨーグルトも"この世界にはまだ無い”と思うし…これも私が手助けしてあげる。…後は、フルーツ。色々な種類の果物があれば完璧ね」
「…神綺さん。ありがとうございます。色々と助けて頂いて」
「構わないわよ。私の望みは皆に幸せになってもらう事だから。…第一は笑顔になれる事。人間も、妖怪も、私が創る予定の世界の人も…皆が幸せって感じて欲しいのよ。…だから、さとりちゃんの協力は惜しまないわ」
「所で、なんですが…あ、答えたくなければ答えなくても構いませんので。…もしかして…貴女も私達と似た境遇の人…なんでしょうか?」
この質問はかなり核心を突いたモノだ。
神綺さんのある一言で疑問が確信に変わったのである。
最初はカレーというものを知っている事から始まった。
カレーと言うモノは大日本帝国が定まり、色々と外国との流通が増えたことにより定着した外国産のモノから生まれた料理である。未だに国名が定まっていない時代にカレーと言う言葉すらここの世界で生まれたモノは絶対に知らない知識な筈。
それを知っているかのように口にするということはまさかとは思っていた。
ただ、その可能性はその時は低かった。
何故ならば幻月という存在が居たからである。
幻月の知り合いならなんとなく判るとは思うが、理を操る程度の能力で此方の知識を分け与える事や能力を作る事だって可能なのである。
ただ、それには限界があり一度能力によって知識や能力を分け与えてしまったなら二度目は使えない様になっているらしい。
よって、幻月から分け与えた知識で喋っているだけなら後に綻びとして誰かからレシピや作るための知識が必要になるので判らない場所が出てくる筈なのだ。
それなのに、先ほどの発言ではっきりした。
…この世界に"まだ”無い。
その様な事を知っているのは未来の知識を持つ私や幻月、エリスしか知らない筈。
そして、幻月が分け与える知識はあくまでも前提知識程度。流通し始める時期等も現時点では深くは知らない筈なのに神綺さんは知っていた。
即ちだ。
…彼女は、私達と同じ境遇にあるという事。
私達が確認している範囲でだが、四人目の転生者なのである。
「…フフフ。そうね。確かに幻月ちゃんの言う通りで察し良いわね。…別に隠す事でも無いでしょうし…。さとりちゃんの思う通り。…私は貴女達が言う"前世知識”がある憑依転生者の一人よ」
「やはり、そうでしたか。…では、訊きますが、貴女の能力は…?」
何故私は次にこれを訊いたのか。……理由は簡単。
エリスさんの能力も元々は無い能力だけど幻月が接触した瞬間に能力として発現したのだから。
幻月が関わっているなら少しは訊いておきたいっていうのもあったが。
「…私の能力は幻月ちゃんの能力で開花させられたに過ぎないわよ。…元々の私の能力は不安定故に名称がなかったの。でも、幻月ちゃんが能力に名前を付けてくれたお陰で、自分の能力として顕現させることが出来たの」
「…そうねぇ。…この力の名前は貴女達が暮らしていた世界で呼ばれていた【~程度の能力】に準じて、【無から魔がつくモノ全てを創造出来る程度の能力】って所かしらね?」
神綺さんらしい力ですね。となるとこの力でカレー粉やヨーグルトを作る気なのでは?
いえいえ、そんなことよりもこれらには魔がつくものじゃありませんよね?どうやって作る気なのでしょう?
私がそんな顔をしていたのか…もしくは察したのか…。
神綺さんはこちらに微笑んだ後に口を開く。
「…さとりちゃん?私がこの力でカレー粉とかヨーグルトとか作るの?って思ったでしょ?」
「え?…あ、はい。そう思いました」
「フフフ。…そうねぇ…。さとりちゃんの答えになるかは判らないけど、一応、答えてあげるわ。…私がこの力を使うのはあくまでも創造する為のイメージを形作る為よ。イメージが固まったら後は試行錯誤の上に再現するだけ。…程度の能力はあくまでも土台に過ぎないわ。わかったかしら?」
私は神綺さんの答えに頷いて答えた。
「まぁ、神綺さんがそれで良いなら良いけど…。……って、そんなことよりもさとり。さっきから話がかなり脱線しているよ?…役割を決めるんじゃなかったの?…時間だって有限じゃないんだよ?早く決めないと夕飯作れなくなるからさ」
幻月は私が忘れかけていた事を言ってくれる。
ナイスですね。幻月さん!
…あ、いえ、さっきのナイスは訂正します。
…恐らく、幻月が心配したのは、私達の話が長引けば夕飯が食べられなくなる心配をしたんでは?
……。
…きりがなくなりそうなのでこの話は一旦忘れよう。
この話まで持ち出されたらいつ終わるかわからなくなりそうだし…。
「そうですね。ありがとうございます。幻月さん。…それじゃ、こいしの生誕記念の為の準備、その役割を決めましょうか」
そうして、私は皆にやってもらう役割を決めたのだった。
エリスと夢月は足りない食材の買い出し係。
神綺と私はこいしの為の料理作りや案を出す係。
お燐とカナはいつもやっていた事を今まで通りにこなす…言ってしまえばいつもの雑務。
ただ、カナに至っては初めての来客なのでゆっくりと寛いで下さいと言ったのですが…。
カナさんからの熱い要望の私も協力したい。…と。
仕方無くお燐から日常の家事を一緒やるという事で落ち着いてくれた。
因みに幻月はというと、自主的に山へと赴いて今の時期の秋姉妹に山菜とかを譲って貰う交渉役とそのついでに生えている山道等で採れる特産品を集めに行く係に決まったのだった。
その日の夜。
私と神綺さんとで作った夕飯のメニューは和風カレーとフルーツヨーグルト。
なんですが、そのフルーツヨーグルトの中になぜかミラクルフルーツとドラゴンフルーツ、ドライフルーツまで入っていたんです。
…林檎、葡萄、苺までは良かったのだが、その三つは何処の誰が…!?
話によると、幻月さんがミラクルフルーツに秋姉妹からはドライフルーツを。
エリスさんと夢月さんの買い物チームにてドラゴンフルーツを買ったらしいですね。
……いやいや、こんな豪華になるとは思いませんでしたよ。
神綺さんは、あらあら折角だから入れちゃいましょうか?とノリノリであった。
…別に毒でも入っているわけじゃないので頂きはしましたが…。
ホントに運が良すぎると言うかなんと言うか……。
私は、今回の豪華な食事を噛み締めて食べるのだった…。




