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東方 夢幻界郷  作者: 聖海龍・ラギアクルス
一章.出会う二人と動き出す運命~紡ぐ絆と縁~
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008話 戦闘(うたげ)の開催 さとりと鬼と信用と

戦闘うたげの開催 さとりと鬼と信用と


昨日の夜の月見は絶景でしたよ。

でもって、静葉さんがお酒に強い事と穣子さんが酔うと本音の本音を此方側に話してきて物凄く怖かったですね。

ルーミアさんはと言うと『食べられるモノ』とお伝えした筈なのですけど…

「これは、私が好んで食べる肉なのだ~♪遠慮せずりょうり?…をしてみるのだー」

…と言われて手渡された『肉』。

―何だと思います??

…普通は動物の肉とか…魚の肉とか…あるいは、骨付き生肉の様なモノだったら幾分か気付かなかったモノを…

ルーミアさんが手渡してきた『肉』って、『人間の肉』ですよ!?

加工出来ない上、人肉料理も私は論外です!

至って普通の肉を期待していたのに…

…。

……。

まぁ、粗方予想と想像はついていましたけどね。

そんなに驚く事は有りませんでしたが…きっぱりと断りましたとも。はい。

仕方なく私が備蓄していた干し肉を使った料理を作りましたとも。

ルーミアさんが持って来た『人肉』は持って来た本人が美味しく頂きましたけど。

…話を戻しましょうか。

その日の朝。

静葉さんと穣子さんは、お礼を言って帰りました。

ルーミアさんは渋々承諾してフラフラと消える様に帰っていきましたよ。

そうして迎えたお昼。

私達は、朝方に突然来たらしい萃香さん所へ向かって居た。

どうして、こういう事になったのか…

それは、朝方に秋姉妹とルーミアさんを見送った後の話へと遡る…。


…回想。


「…ねぇ、さとり。ふぁぁあ…。話があるんだけど…」

「―奇遇ですね。私も丁度話を使用思って居た所なんですよ」

私も幻月もそれはもう昨日からの騒ぎで寝不足気味であった。

私から話そうとした事は、今日の家事代わりにやってって言いたかったんですよね。

「その…昨日さ、かなり騒いじゃって、今日かなり眠いんだよね…という事で…」

「…っ!?や、やめて下さい。その先は私の専売特許です!貴女がその気でも私は許しませんよ!??」

「えぇ~!??さとりもぉ~??はぁ…珍しい事もあるもんだね…」

「それは、貴女も同じでしょう!?昨日、調子に乗って酒瓶二本飲んで。それで静葉さんに対抗しようと無理した挙句、眠れない境地に立たされ…結局、私と一緒に寝たじゃないですかっ!?」

「それは、それ。これはこれだよ?」

「もっともらしい迷言やめて下さい!?」

という感じで朝から下らない論争で酷く騒いだせいで結局は、疲れて和解し、今日のお昼位までは当番制とか関係無く自由に過ごそうと言う事になったんです。

因みにお燐はと言うと

「(ホント、下らない理由で喧嘩するからだよ。…ま、仕方ない。今日は、アタイが人伝役をしてあげるよ。さとりに幻月。昼までに誰か来たならアタイが代わりに覚えておくさ。丁度、暇なんでね。)」

という感じでやれやれと言う表情で私達が休んでいる間だけ居留守みたいなそんな感じな雰囲気を醸し出しておくから、お前さんは裏で気付かれない様にゆっくりしてな。

―とお燐はそういう空気で玄関にて留守番の形をとった。

…そうして、私達が休んでいた時の萃香さんがやってきたらしく、萃香が『さとりと幻月に用があったんだが、いないなら仕方ない。後で妖怪の山へ来いよ。待っているからな』

と伝え言ったそうだ。

そうして、昼に私達が復帰したタイミングでお燐はそう伝えて来た。

そのせいで昼から萃香さんの元へと向かわなくては行けなくなった訳で最初の回想へと戻る。


「萃香が私達に用があるって…嫌な予感しかしないよね…」

「大方、再選を申し込みたいとか…そんな感じですかね」

私達が呼び出される理由は一つしかない。

それは、幻月と萃香の再戦だ。

あの戦いに水を差した華扇さんは、今日は何故か野暮用があるらしく一日いないらしい。

その日を狙って全力全壊の戦いを楽しみたいのだろう。…恐らく。

「…私的には、もういいや。十分楽しかったし。戦えと言ったら断るな。いくら萃香さんでも。」

「…それで此方に飛び火でもされたら堪りませんよ?」

「…善処するって。其処は。」

本当に頼みますよ?

怒って権利剥奪された上に容赦なく処刑的な事を平然と行いそうですからね萃香さんって。

そうしている内に、目的の場所へと着いた。

「…誰も。居ないね。てっきり萃香さんが出待ちしているかと思ったんだけど…」

そう幻月が言うのも無理はない。なんたって以前に初めてあった時はついてすぐ近くに居たのだから。

この事から、待ちきれなくてずっと入り口付近で待っているかと思ったが…

…?

…この拡散されていて朧げな気配。

まるで自分を隠しながらどこかから監視している様な…。

掴めそうで掴めない非実体な気配。

「…そういう事ですか。」

「なにか判ったの。」

「えぇ。この気配。そして妖気。一見拡散されて弱い様に見えますがこれは、明らかに判らない様に策して出待ちしていますね」

「―そうですよね?伊吹萃香さん?」

…。

出てきませんか。そうやって空虚を被る事で気付かれていないと思いですか?

私がなんの妖怪なのかを…(確か萃香さんには私がさとり妖怪と伝えていなかったはず下手をうって正体をばらさない様にしなければ…)

「…。(…『大丈夫、大丈夫。バレていない筈だ。』…『返答しないなら気のせいだと思ってすぐ私を探し始める筈』…『もう少し後ろを見せたら体を戻して驚かせてやろう』)…ふぅ。」

なんて古典的な脅かし方なのだろう。

面白い試みではあるけど今、私達はそんな理由で遊んでいる時間は無いもの。

「…全く、そんな妖力の隠し方では私みたいな弱い妖怪でも気配でわかっちゃいますよ。ホラ。バレバレですから、良い加減出て来て下さい」

「何だよ~。バレちゃっていたのか。つまらない」

そう言い、突然とその辺を漂っていた薄い霧みたい者が収束しその場に伊吹萃香が現れる。

「…ちょっ!?いきなり私の眼の前に出て来ないで欲しいよ!?慣れて無いんだから心臓が飛び出るかと思ったよ…」

「素直で可愛いね~♪まぁ、さとりにバレてちゃこの方法は意味は無いとは思うケド…万が一の為に…ね?」

そう意味深な発言をして顔を曇らせるも一瞬で気を取り直し此方に向けて口を開いた。

「そうそう。突然呼び出してゴメンな。実はさ、私が呼び出した理由は…って、此処で話すのはまずいな。…一旦私の家まで来ておくれ。」

そう萃香さんが言うと、後ろからついて来いとアイコンタクトで伝えられる。

「行きましょうか。」

幻月は首を縦に振り黙って付いていった。

暫く歩くと、大きな屋敷みたいな場所に付いた。

その中は広くそれでいてちょっとやそっとじゃ壊れない頑丈な木材と建築様式で作られていた。

その奥で萃香さんは座していて、此方に向けて手を招き、口を開いた。

「ほら。入ってきなよ。大丈夫。罠なんて無いし、ましてや監視なんていやしないさ。私が保証する。万が一でも破った場合ならこの私直々に謝罪してそいつには重い罰でも背負わせるさ」

…信用はまぁまぁ出来ますね。

それでは中に入らせて貰いますよ~と。

幻月も恐る恐る入って何も無い事を確認した後私の後ろから付いて来た。

「ほい。茶も儲けも何も無いケド酒ならあるさ。飲めよ」

「…すみません。私は前にも言ったんですど…ある種類以外のお酒は飲めないんです。嬉しいんですけど」

「ちぇっ。美味しいのに。そっちの姉ちゃん…も雰囲気的に『今は駄目』って所かい?―つれないねぇ」

そう萃香さんはつまらなそうな顔をして私達がお酒を断った事に対して愚痴る様に話した後、自分のお酒を飲んだ。

「…んくっ。…ぷはぁ。―まぁ、それはそれとしてだ。…お前さんは妖怪、ましてや私の様な鬼すら含め、ヒトが怖いのか?」

いきなり飛んだ話題ですね。

私も含め此処でこういう話はして欲しくなかったのですけど…

「ええ、えと、まぁ……怖いと言えば、怖いです」

「…それ、私も初耳なんですけどっ!?さとりとは打ち解けたと思って居たのに…そんなに私って内面が怖い訳っ?!」

だから、嫌なんですよ。こういうだろうと思って打ち明けなかったんですけど…

「正直に言ってしまえば、貴女の事も信用にまだあたいしません。その…ごめんなさい。」

今、この時だからこそ幻月に正直に打ち明けよう。

何故だか知らないけど、この場なら許してくれそうと思ったからだ。

「…っ。っ!。…そ、そうだよね。うん。私の事を信用してくれていると勝手に思っている私が馬鹿だったよ。…それでも良いよ。私は」

「君の気持ちを今、話してくれたから気持ちの整理が出来るようになった。だから、お礼を言うね。…ありがと。そして、良ければこれからも宜しくね?」

…だから、まだ私の返答訊いてない内に勝手に決めないで欲しいんですが…

まぁ。良いでしょう。幻月さんにはこれからも頼れる『友』として一緒にくらしていけますしね。

「…はい。これからも宜しくお願いしますよ。幻月さん」

「お~い。完全にお前達の世界に入っていたから止めなかったけどな?本来の目的の話題からかなりそれたんだけど…戻して良いか~??」

おっと。私とした事が。

「すみません。話を戻して貰って結構です」

私が話が脱線した事について戻して欲しいと促すと萃香はハイハイと無言で首を振った後に口を開き始める。

「OKOK…で、何処まで話したっけなぁ…あぁ、そうそう。ヒトが怖いって話だったな。」

「それなら、私達鬼が持つ『表裏が無い』性格すら、ましてや『純粋なヤツ』や、『正直なヤツ』…そいつらの事も信用出来ないって程になるが…」

「…幻月の様な例外…それすらも怖いと思っていると捉えて良いのか?」

それを自分で言っちゃいますか…?

「はい。萃香さんとはまだ会って間もないですし…里の人間やましてや妖怪の山に住んでいる天狗や神様も例外なく怖いです。…正直に言えば、私が信用出来るのは、家にいるお燐位なモノだけですよ」

それ以外にも、表裏無く純粋なヒトでも心の内で何を考えているのか…それを私の第三の目が捉えたらなんて思って居るのかが嫌でも聴こえてしまいますから。

…それがどんな些細事でも、自分に関係無くても…他人の諸事情を盗み聞きをする事に変わりないですから。

「ふ~ん。それは確かに言えるなぁ…だけどな??お前さんが何を考え、そんなに他人思いな性格にて避けている…そんなのは私の知ったこっちゃない。…だが、他人の諸事情に首を突っ込む訳じゃ無いケド、それくらいは、心でどう思って居るかは関係無く目を瞑って付き合ってやれよ。」

「…私には関係無い事です。」

萃香さんの言っている事は判る。

心を読むのが嫌でも実際にどう思うかは別。

本人が口に出さなくても付き合っているだけで幸せなんて言葉もあったりなかったりするわけで。

「ところで、萃香さん。どうして私が『さとり妖怪』って判ったんですか?」

「ん?そりゃ、見ていたからね。あんな場所で二人で水浴びをするなんてね。誰が想像出来るんだい?」

ん?見ていた?

見ていたってどういう事でしょう?一応、水浴び以外ではフードを被って判らない様にしている筈ですが…

「見ていた…。…その、あの隠れ場所で水浴びする所を?」

「え…まさかだとは思いますが…」

萃香さんは、空笑いした後此方に丁寧、簡潔に説明をする。

「入り口付近で私を探そうとするその少し前、立ち寄った山の中腹辺りにある森の中にある浅瀬の川で少し遊んでいただろ?」

「お前さん達。水浴びをする時に周りの注意を滞りなく行っていると言うところまでは良かったが詰めが甘かったね。次からは警戒を強めて板とかで隠した方が良いよ。そうしないとうっかりこの辺りを通ったヤツに万が一にでも見つかったらただでは済まないとおもうからさ?」

み、見られていたなんて。そんな……

二人で水浴びしている時に幻月に見せた、私のあの子供の様なはしゃぎよう…。

二つの恥ずかしさで顔が赤くなっていくのが分かる。同性にみられただけだと落ち着かせようにも、逆に体温が上がってきてしまう。

恥ずかしくてなんかもう逃げ出したい位……じゃなくて!

今の萃香さんの話し方に違和感を覚える。

…初めから、あった時から分かっていた?

嘘でしょ。あの初めて会ったときは完璧に隠せていた筈。

なのに、バレていたという事は、先程言った場面で見てしまっただけなのか、もしくは私の考察通りで出会ったその瞬間からサードアイを持っていると知っていて隠していたのか…いいえ、そうしたら心を読める筈。

でも、そんな事は一度たりとも聞こえなかった。

「いや~。お前さんは無表情じゃなければ可愛いんだけどなぁ~」

「幻月の方は、っと」

「…っ!??こ、こっち見ないでよ!もぅ!!」

「アハハハッ!!悪い悪い。"偶然”見掛けてしまっただけだ。そんなに怒るな怒るな。可愛い顔が台無しだぞぉ~??」

「…………」

私は、今まで萃香さんに隠していたフードの意味は無いと思いそっとサードアイを出そうとしていた。

「…いや、別にバレたから今出そうと無理しなくても良いから。ただ、あんたが悪い奴だったり、性格の歪んだ捻くれ野郎だったら、問答無用でしめてたけどな」

―さらっと恐ろしい事を言っていません!?

なんなら、あの時萃香さんと幻月さんの戦闘を止め、茨城さんの説教中の言葉よりも恐ろしいんですけど。

「えっと、話ってそれだけですか?私がさとり妖怪だって事を確認する為に呼びだしたって事でしょうか?」

かなり話が脱線したり、戻ったりと色々だったが結局のところ端的に言えばそういう事だろう。

そして私達がとてつもなく臆病であるという事も…

私は話が終わったと思い立ち上がろうとすると待て待てと言わないばかりに萃香さんは右手で制止を促す。

「ちょいちょい。まだ、話は終わっていないさ。確かに私はお前さんがさとり妖怪かどうかを確かめたかった。それで呼び出した…が、以前は隣の姉ちゃんの幻月と一戦交えた」

「―で、その勝負で大体の強さと実力は掴めた。が途中で邪魔が入って結局は引き分けっている煮え切らない結果に落ち着いた。」

「という事はやはり…」

「いや、幻月とは全力で戦ったから悔いはない。問題は隣のお前さんさ。」

と萃香さんは此方をじっと見つめる。

「…あの。どういう事でしょうか?」

「端的に言えば、幻月だけじゃなくさとり妖怪のお前さんの実力も図ってみたい。ってところさ」

成程、大体の事情は把握しました。要は、あの時戦えなかったから今日はお前と戦ってみたい。そういう事でしょう。まさに戦闘ジャンキーなお方ですね…はい。悪い予感が見事に当たった瞬間ですね。

「…ふむ。要件は理解しました。戦闘は余り得意ではありませんが…私で良ければ…」

「話が早くて助かるよ」

喜ぶ萃香さんを横目に私は、弱い事を理由に条件を付けた

「ですが、条件が有ります。」

「ん?何だい?」

「私はなんの取り柄の持たない妖怪です。なので私が無理と判断した場合、降参を私はします。良いでしょうか?」

萃香さんはそれを聞くと渋りながらもゆっくりと此方に顔を向けて話し出す

「…まぁ、それでお前さんと戦えるなら一興さ。少なくとも私はお前さんの実力ってのを見たいだけなんだからさ。」

そう、誇らしく萃香さんは言葉を続ける。

「…んじゃ、そろそろ始めるぞぉ~?お前さんの準備は万全かぁ?」

私はその萃香さんの問いに頷く。

鬼の全力だろうが、見破られてしまっているのだ。

ここで隠しては萃香さんの本意に背く事になる。


―私のフードに隠れているサードアイ、とその管全てをだした。

「えぇ。万全ですよ。貴女にはサードアイを見破られてしまいましたから、このフードは一時的に要らないですね。」

そして、フードは邪魔なので幻月に向けて投げた。

投げた先の幻月はうわっぷと言いつつも華麗に受け取った様だ。

「……『ようやく出したか』って?えぇ。全力で来て欲しくて此処まで大掛かりな事をしてくれたのでしょうから。相手の意思を無下には出来ませんしね」

「おっ!?本当に心を読めるのかぁ!凄いなぁ!これなら嘘とか一発で見分けられるじゃないかぁ!!」

「まぁ、そうなんですけどね…」


使い方次第じゃ身を滅ぼすとんでもないものですよ。



『…まずは一撃入れてあげようかねぇ』

サードアイが思考を読むのと同時に萃香さんの身体が一瞬にして消える。

眼で捉えきれない為ここに来るかもと言う勘で後ろへ仰け反る。

その同時に目の前に萃香さんの拳が出現し間一髪を逃れる。

「せめて外に出ようと思いませんか?」

「すまないなぁ。勝負は待てない性分なんだ」

そう言って更に追撃をしようと距離を詰めて攻撃をしてくる。

考える時間なんてほぼゼロに近い。

次々と繰り出される攻撃で壁や床に穴が開く。


こんな狭い場所じゃ明らかに私が不利だ。

こっちは弾幕を放ち萃香さんの更なる追撃を逃れ壊された壁から体を投げ出した。

その刹那、同時に萃香さんの気配を感じ行動を先読み。

私が抜け出した穴とは真逆に弾幕を撃ちだす。

すると、萃香さんが急に目の前に現れ、咄嗟に伊吹箪を取り出して私の出した弾幕に向けて投げつける。

瞬間爆発が起き私と萃香さんは少し吹き飛ばされる。

「ふぅん?やるねぇ?私の行動を先読みして攻撃を仕掛けるなんて…機転が回るし策士としては幻月よりかなり上手いよ」

「お褒めに預かり光栄です」

「あははッ!!心にもない言葉を正直に答えなくても構わないよ。」

まぁ、僅かでも先読みで動ける分早めに対処が出来ますからね。

追いかけて来ようとしているようですが…そう簡単には捕まりませんよ。

萃香さんが回避しようとしている方向に向けて弾幕を放ち動きを封じていく。


「……お、其処を真っ直ぐですか」


―だが、途中で読みが効かなくなってくる。

心に思っている回避方向とは真逆の方へと回避を繰り返したりする様になってきた。

どうやら私の心を読む能力を逆手にとって仕留めるつもりらしい。

「流石…鬼です」

「ふん。舐めて貰っちゃ困るよ!」


流石に距離を詰められ過ぎたので後方へと弾幕を撃ちながら牽制をする。

同時に萃香さん自身も突っ込んでくる。


…背を向けて逃げたいのは本音だが、そんなこと出来る筈もなく。

遂に目の前まで詰め寄られた私だったが咄嗟の行動にて体が動き回避をする。


「あの、先程から思って居たのですが…殴ったりは本来は駄目な気が…」

「よく見ろ。私は『殴っている風』に見せているだけだぞ?」

確かに、拳に妖力を纏わせて攻撃しているのはルール違反じゃないので別に良いんですが…


弾幕ごっこじゃ無いですよね。

もう格闘バトルとか、プロレスしていると捉えても良いレベルですが…


蹴りを飛ばそうとしているとサードアイから伝わった。

―が、今の状況じゃ回避不可能。

咄嗟に防御姿勢を取り左腕を前に出して少しでも軽減するべく蹴りつけて来た足を掴む。


…ゴリッ!!


そういう音がして左手がよもや骨折とか外れたと言う境地にない所まで曲がってしまう。

気にせず私は負けじとレーザーを放つ。


蹴りを入れた直後で無防備な萃香さんはもろに食らう。

ノーガード戦法みたいですね。

私はこの好機を逃すべく畳みかけようとレーザーを撃ち込むが…


突然と離散したかのように消えうせる。


「…その能力も随分強いのですね」


サードアイでその周囲を探る。

全体的に意識が散らばっているが、圏内で一番意識が纏まっている所へ弾幕を撃ちこむ。


当たらなかったが動揺は出来たようだ。

実体化した萃香さんは攻勢に出て来る。


此方に向けて突進してくる萃香さんを躱すべく後ろに下がるも…

サードアイが異質なモノを捉えた。

「え。萃香さんがもう一人??」


そう気付いた頃には私の両脇を固定される。


慌てて後ろを振り向くと其処にも萃香さんがいた。


「アハハッ!!以前の戦闘では見せてはいなかったけど私も幻月と同じような真似が一応出来るのさ。ただ、個別の強さは保証は出来ないがね。こういった事は出来る。―事実上の数の暴力って事さ」

成程、確かに萃香さんはこういう能力を保持していましたね。

勝てませんよ。これは。


「降参します」


後ろにも前にも萃香さん。

数の暴力になられちゃチェックメイトは確実だ。




「いやぁ…強いですね。」

「ふふ。鬼を舐めちゃいけないよぉ?」

萃香さんは、此方に歩み寄り此方の手を取った。

「アンタ等二人と交えて分かった事が一つあるぞ。」

「こう見えて中々に信頼しきっている仲なんじゃないかい?さとりの心の底はどう思って居るかは知らないけどなぁ?」

それは、まぁそうですがね。

「少なくとも、良い連携が取れる組み合わせだと私は思う訳だ」

「……」

「―っと。ごめんな。こうやって戦った後には宴を開きたい所なんだが…今日はちょいと野暮用が合ってな?済まないが、帰ってくれないか?次の時はその謝礼を含めて礼をさせて貰うからさ」

とそう言われ、早急に私達は妖怪の山から下山する。

そう言えば、私達も今日やりたい事があったんでした。

「さとり。」

そう幻月が言いたそうに此方に顔を向ける。

「えぇ。言わなくても分かって居ますよ。これから向かいます。」


時は奈良時代。

平城京にに都が移され早数十年というところでしょう。

まぁ、正確にはその周辺に用が有るんですけどね…。


出来れば、あの物語の様な展開にはまだなってないと願いたい物ですね。


…さて、そろそろ始めましょうか。

月の民の物語の介入を―


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