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朝起きると、けたたましく鳴っている目覚まし時計が目に入った。これは、デイビッドなんたらとかいう人が“開拓”したものだ。なぜこのことを覚えているのかというと、夏休みの課題で調べさせられたからだ。ギリギリまで溜め込んでいて、1日ちょっとで仕上げなければいけなかったため、必死で調べたことを覚えている。
カーテンを開けて陽の光を浴びる。そうするのが最近の日課だ。夏休みボケで最近は毎日遅刻ギリギリだったが、この習慣のおかげで学校にも多少は余裕を持って行けるようになったような気がする。
このカーテンとか窓、太陽とかそういったもの全てにも“開拓”した誰かが居るはずだが、そういった大昔に“開拓”されたものは記録にも残っていないらしい。だからといってそれがあるかどうかなどどうでもよかったが。
僕は階段を降りてリビングへ入った。母はもう朝ご飯を食べ終わっていたようで、コーヒーの入ったマグカップをそばに置いて新聞を読みながら、おはよう、と僕に言った。僕は適当に返事をしながら冷蔵庫から牛乳を取り出し、棚からロールパンを取り出して食べ始めた。
「毎朝同じパンばっかりで飽きるよ」
と、あまり感情も込めずに呟いた。
「そうね」
母も無感情に相槌を打った。