聖女と対人最強
正方形の食卓をそれぞれの辺に一人ずつ座るように囲んでいた。凛の向かいに悠、横に灯と闇という位置で座っている。料理は基本悠が担当しているみたいだった。
「さて、じゃあ、みんなで食べましょう、今日は、畑で採れたアスハラカスとイノシシ肉の炒め物、いっぱい作ったからいっぱい食べて、あと、冬からつけてた大根の漬物と、川で採れたししみのお味噌汁」
3人が手を合わせて食べ始めた、凛も同じように手を合わせた後食べ始める。ししみは明らかにしじみの見た目、というか、イノシシは名前そのままなんだな、イノジジとかになるかと思ってた、まだこの世界の言葉のルールがわからん。
食事しながら、まずは、と、悠が自己紹介
「私の自己紹介はもういらないかもしれないけど改めて、名前は悠、この世界では最高位の聖女をしていたわ、今は、訳あってこんな町外れのところで暮らしています、これからよろしくね凛」
微笑む悠を見ながら、凛は赤色のバラを一本渡したい気持ちになった。悠に促され、灯と闇は自己紹介をしてくれた。
「俺は灯って名前だ、自慢じゃねぇが、コロッゼオ、って聞いたことぐらいあるだろ?」
コロッゼオ?コロッセオなら知ってるが、そう思いながら凛は首を横に振った。
「嘘だろ?まじで、何もしらねぇんだな、コロッゼオってのは、どっちかが倒れるか、降参するまで何でもありのルールで戦うんだ、数年に一回開催されるんだが、世界中から5万人くらい集まってな、一番強いやつを決めるんだ。そんで、俺は前回優勝者だ、俺は肉体強化系の魔法しか使えねぇから、闇と比べれば劣るかもしれないけど、対人だったら強いぜ、凛なんかよりはよっぽど強い」
そこまでいうと、箸を置き、顔つきが険しくなって凛のことを見据える。
「さっき言い忘れたが、お前が悠に何かしやがったら、ボコボコにしてやる、覚悟しとけ」
そう言うと箸を持ち直し、食事を始めた。
「じゃあ、次は私ですの、と言ってもドブネズミに少しでも使える脳があるなら、さっき話したことで、自己紹介は十分なはずですの、もう一度、あなたの脳みそに収まるよう簡単に言うと、この世界で最も強い魔術師である四天王の一人、名前は闇ですの」
闇の相変わらずの物言いが凛に刺さる。は〜、と悠がため息をつくと、凛に微笑みかける。
「凛、ごめんなさい、二人とも根はいい子なの、凛を傷つけないように後で言い聞かせておくから、少しは安心してね。闇の喋り方は、度がすぎるとたまに私が怒っているんだけど、誰に対してもこうなの、闇はまだ10歳だから、許してあげてね」
「ゆ、悠!余計なこと言わないで、なめられるですの!」
手を大きくパタパタと振る闇、10歳だったのか。その動きかわいいな
「闇はまだ子供だからな、凛は心配しなくていいぜ、こいつ、鹿すらかわいそうって殺せねぇんだ、あ、ちなみに俺と悠は18歳だ」
「うるさいですの!誰しもが灯みたいに生き物殺せる殺人鬼じゃないですの!」
「誰が殺人鬼だ!」
長引きそうな灯と闇の喧嘩が始まりそうだったが悠があっさりと仲裁した。この今飲んでいる、ししみ汁のようにあっさりと
「二人ともやめて!灯も闇も言い過ぎ、闇は人よりも心が優しすぎるだけ、それに、灯はちゃんと命のありがたみを知ってる、灯がいつも嫌いなものがあっても食べ物を残さず食べるのは闇でも知ってるでしょう」
しゅんとする二人
「二人とも謝って」
「悪かったよ闇」
「私もごめんなさいですの」
二人が謝ると悠は満足そうな笑みを浮かべた。
赤色のバラ一本の花言葉、一目惚れ
灯はコロッゼオ優勝者、つまり対人最強、闇ではない四天王と戦ったが圧勝した
悠は聖女、聖女とは四天王と同じで勇逸無二の杖を与えられる者の一人
アスパラガスとイノシシの炒め物は結構美味しい。