赤ワイン煮込みと子供ビール
四人揃った食卓、イノシシ肉の赤ワイン煮込みは凛の想像を絶する美味しさだった。おそらく、昨日の一件、ハデスの言葉があっての美味しさなのかもしれない。自分のために悠が作ってくれたと思うと、この料理を食べれていることがこの上ない幸せだった。目を潤ませながら食べる凛。
「悠の料理が美味しすぎて泣いてやがるですの」
「イノシシのこの料理は久しぶりだな、一年ぶりぐらいか、血抜きは俺がやったんだぜ」
目を潤ませながら無言でイノシシの肉を口いっぱいに頬張る凛。
「今日は凛と闇のためのパーティーなんだから、おかわりもあるし、遠慮せず食べてね」
凛は早速おかわりをお願いした、灯は刺身を食べながら美味しいと言っている、闇はそれを聞いて心なしか嬉しそう。それ以外の料理も美味しかった、特に凛が気に入ったのは筍の唐揚げ、衣に青のりが入っているのか風味が違う。
食べている間、終始目を潤ませていたせいで、度々闇と灯にからかわれたが、感無量なのか、なんなのか全く気にならず、今までの人生でこんなに食べたことがあるのか?と自分でも不思議になるぐらい食べた。
1時間もしないうちにあれほどあった料理はほとんどなくなり、悠が皿を下げると、グラスを四つ並べる。凛はなんのためのグラスだろう?と思っていたが、闇と灯は分かっているようで、悠が蓋の開け終わった飲み物を持ってくる。ラベルには子供ビールと書かれていた。
「凛は知らないと思うけど、この家の恒例行事でね、パーティーとかお祝いするときは最後にこれをみんなで飲むの」
そう言って、悠は闇の前に二本のビンを置く。闇が四つのグラスに注ぎ、それぞれがグラスを一つずつ手に持つ。
「それじゃ、改めて、凛これからよろしくね」
「よろしくな凛」
「仕方がないからよろしくしてやるですの」
また目を潤ませる凛。
「泣かなかったな、絶対泣くと思ったのに」
「涙をこぼさなくても、目を潤ませていたら泣いてる扱いですの」
「ふふっ、二人とも凛をからかうのはほどほどにね」
グラスに口を当て一口飲む、微炭酸のりんごジュースのような味、これから何度飲めるかわからないが、この最初の一口が持つ意味は凛にとって計り知れなかった。
しかし、今更だが子供ビールまであるなんて、生前の世界と似過ぎている。名称まで同じなのはもしかしたら、言葉とかをわかるようにしておくと言っていたハーデースのおかげなのかもしれないが。
ちびちび飲みながら感傷に浸っていると。灯に小突かれる。
「明日、今度こそ羊の毛狩り手伝ってもらうからな」
「わかった、明日はよろしく」
「おう」
みんなが飲み終わるとそれぞれが席を立つ、朝早い明日のために、正直動きたくないぐらいお腹がいっぱいで苦しいが、お風呂に入りすぐにベッドに横になる。
今日は心臓のあたりがフワフワする、幸福とはこの感覚のことを言うのだろう。一方で闇たちの過去について、やるせない気持ちもあった。凛はしばらく余韻に浸り、眠りについた。
春からのことで色々手間取ってしまった。まあ、そんな話は置いといて、アイフォン10sを買うべきか11を買うべきか、迷うね。
こどもビール飲んだことある人どれくらいいるかな?あの泡、子供にとってはドキドキだよね
グラスの元であるガラス、最初は砂と岩塩が温まって出来たんだとか




