二人の家族とおまけの家族
悠に肩を優しく揺さぶられ、闇が目を覚ます。
「闇、おはよう。って時間じゃないね、晩ご飯できてるけど食べれそう?」
「食べれるの」
まだ重たい目をこすりながら答える。
「闇、余計だったかもしれないけど、ここに置いてあった釣竿綺麗にしておいたけど、触って大丈夫だった?」
闇が視線を落とすと、折りたたまれた釣竿が目に入った。
「この前、闇が言ってた通りにやったつもりなんだけど、一様確認しておいて」
「ありがとうなの、それと悠、お願いがあるの」
「何?」
闇は起き上がり、悠に抱きつく。
「しばらくこのままがいいの」
「うん、大好きだよ、闇」
「私もなの」
静かに泣く闇の背中をさする悠、しばらくした後、二人はリビングに向かった。
・・・・・・
リビングは匂いだけで唾液がたれそうなほどだった。それぞれの席にはイノシシの赤ワイン煮込み、サラダ、ご飯が置かれている、席の中央には誰でもとれるように、今日釣ったメバルの刺身、パン、筍の唐揚げなど豪華な食卓だった。
「聞いてたよりも豪華なの」
「そうだよ、今日は凛のためのパーティーだから、それと、闇に元気出してもらうため」
「手伝えなくてごめんなの。それと、ありがとう、悠」
悠と闇が席に着き四人が揃う。
「闇、大丈夫か?」
灯の心配そうな声。
「大丈夫ですの、心配してくれてありがとうですの」
普段の二人では想像がつかないような会話、それが尚更凛を不安に駆り立てる。凛は、今日聞いた過去のこともあり、釣竿を海ポチャしたことに罪悪感でいっぱいだった。
「闇、あの、大丈夫?」
「大丈夫ですの、めんどくさいから同じ質問をしてくるなですの」
「うっ、ごめんなさい」
「早く食べるの、料理が冷めちゃうですの」
闇が手を合わせようとする。
「あっ、待って」
「なんですの?急ぎの話じゃないなら後にして欲しいですの」
「ごめんなさい」
少し荒っぽい声に凛は縮こまってしまった。その様子を見て、悠が助け舟を出してくれる。
「闇、凛が謝りたいことがあるって、聞いてあげてくれる?」
「わかったの、なんですの?凛」
「あの、釣竿、今日落としちゃったから、ちゃんと謝りたくて、大事な物だって聞いたから。本当に落としちゃってごめん」
「はっきりわかりやすく喋れですの。別に壊れたわけじゃないから良い、それに、凛が落としたのは私が急に魔法を使ったせいだから、気にしなくて良いですの」
思っていたよりあっけないお許しに凛の緊張が一気に解ける。同時に罪悪感の代わりに心配の念が強くなる。顔に出ていたのか、闇は少し凛の表情を見つめた。
「悠、凛にどこまで話したんですの?」
「う〜ん、ほとんどかな、余計なことしてごめんね、闇」
「悠が話すべきと判断したのなら別に構わないですの、道理で灯だけじゃなくて凛もひどい顔になるわけですの」
普段なら、誰がひどい顔だ!と灯が突っかかってきてもおかしくないのだが、当然そんな会話は生まれない。
「何も心配してもらわなくて大丈夫ですの、今は悠に灯、あとはおまけで凛も、3人も家族がいる、心寂しいことなんてまったくないですの。わかったらさっさと食べるですの、もう冷め始めてるの」
闇の言葉に灯と悠、そして凛に笑みが咲く。
「それじゃあ、いただきます」
「いただきますですの」
「いただきます」
「いただきます」
サラダに添えられた紫色の小さな食用の花。悠はあの日見た、ハナショウブが目に映った気がした。
最近文字の打ち間違いが多い、報告してくださってる方ありがとうございます
男性はゲーム脳が多くて、女性がアニメ漫画脳が多いのはなぜだろう。それについて、脳科学ではもうだいたいわかってるとか。




