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大切な釣竿と欲しいもの

過去編が終わり現実に戻ります。

闇は自室で一人ベッドに腰掛けていた、手に握っているのは凛が落とした釣竿。


「お母さんも落としてたですの」


独り言をつぶやく。小さい頃一緒に釣りをしていた時、母が大物がかかった釣竿を海ポチャしていたことを思い出すと、握った釣竿から出る磯の香りが闇の鼻をつつく。


「綺麗にしなきゃですの」


工具箱を開け雑巾を取り出すと、バケツに汲んできた綺麗な水を使いロッドクリーニングを始めた。

空けている窓から心地よい風が入ってくる、その風が再び磯の香りを闇の鼻まで持っていく。


「お母さん」


気づけば手は止まり、枕元にある両親の写真を見つめていた。釣竿を手放し、ベッドに横になる、緊張がほつれてそのまま目を閉じた。


・・・・・・

「こんなとこかな、闇についての話は」


凛はあれから1時間半ほどかけて闇に関する話を聞いた。はっきり言って頭の理解が追いつかない。天災級モンスターに四天王、闇、蒼、蘭さんも、みんな家族を失ってる。国の話や女王、色々なことがありすぎて完全に消化し切れていない気がしたが、自然と涙が溢れていた。

凛が涙を零すと悠がハグする。


「闇のために泣いてくれてありがとう、凛」

「本当によく泣くやつだな、泣かない日があるのかよ、グスッ」


灯も鼻声になっていた。凛の背中をポンポンと二回叩くと、悠は灯にハグする、悠が離れる頃には涙声は戻っていた。


「お昼ご飯遅くなっちゃったね、急いで用意する」


悠は簡単な炒め物を作り、灯と凛はご飯や箸などを用意し並べた。


「闇を呼びに言ってくるね」

「頼む、悠」


しばらくして悠が一人で戻ってくる。


「寝てたから、今はそっとしておこう」


結局お昼ご飯は3人で食べることになった。食後、悠は家事、灯は家畜のところに行った。凛も家事を手伝おうか?と言ったのだが、まだ無理をしなくていいと言われ、邪魔になりたくもないのでおとなしく引き下がった。

自室で何をするわけでもなくベッドに横になりぼーっとしていた。何もない部屋、服もないし、家具もベッド、小さな机、それだけ。しばらくぼーっとしていると、蘭の言葉を不意に思い出した。


「なんかあげるわ」


先ほど聞いた話では、超凄腕のなんでも作れる人らしい、昼ご飯の時聞いたが、この家にある家具はほとんどが蘭さんの作った物だとか。本当に何かもらえるなら何にしよう?

漫画やゲームなんてあるわけないし、スマホ、パソコンなんて作ってもらったとしてもインターネットがなきゃ意味ない、服とかは蘭さんにもらうには違う気がする。


「う〜ん」


何をもらうか考えるなんて、厚かましいな、なんて考えながら何もない部屋を見回した。しばらく考えてみるが、いいものが思いつかない。

たとえば金属でできていない包丁!もしかしたら、呪いが発動しなくて、料理ができるかもしれない、でも、自分が料理して闇と灯が喜ぶか?と考えると違う気がする。

何かしら呪いの発動しない武器!でも、自衛のためだとしたらあの3人がいるのに必要なんだろうか?それに、武器持ったってだけで闇と灯に嫌われそう。


「はぁ〜」


相変わらず何もない白い壁を見つめる。


「前は壁に好きな女キャラの二次元タペストリーとか飾ってたのにな」


生前の自分の部屋を思い出す、はっきり言って痛部屋だった、百合ものが好きなせいか、女性の二次元系が好きで、壁にはタペストリー、ファイルも使ってないのが多くあったし、本棚には漫画、CDが並んでいた。

ぬいぐるみやフィギュアもしばしば、実用的なコースターやグラス、定期入れなども使ってない物が沢山あった。まだ実家暮らしだったので、たまに自分の部屋を覗いた母には呆れられたこともしばしば。


「今頃あの子たちはどうなっているんだろうか?捨てられてたらやだな、バイト頑張ったのに」


若干傷心気味に陥りかけた凛だったが、ふと閃く。


「そうか!また可愛い女の子たちを飾れば良いんだ」


内心、もし蘭さんに会えたらねだる物は決まった。初めて会った人との口約束について長時間考察してしまえるほど殺伐とした部屋で、一人高揚気味な凛だった。


ランウェイで笑うアニメがあるんですけど、とても良い。ここ数年でトップ!


あと数話です

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