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蘭の失態と母の遺志

3000年・天災級モンスター、フェニックス出現。

3010年・天災級モンスター、ベルゼブブ出現。楓が女王になる。

3011年・闇が生まれる。

3012年・蒼が生まれ、蘭が親代わりになる。

3016年・蘭が四天王になる。

3017年・天災級モンスター、バハムート出現。

3019年・闇が四天王になる。蒼が聖女になる。


引き続き3017年です

「闇、起きてるかい?」


初めに声をかけたのはハデスだった。闇は声をかけられると手に本を一冊持ったまま飛び起き、3人の方に駆け寄る。闇の目は赤みを帯びており、髪はボサボサだった。


「ハデス、待ってたの、頼みたいことがあるの」


予想していた行動とは違う動きをする闇に面食らった。


「この本で学んだの、呪術には解除するまで幻覚を見せるものがあるってこと、だから、ハデス、私にかかってる呪術解いて欲しいの」


初めは闇が何をいっているのかわからなかったが、親の遺体を見たことを幻覚、と認識しているのだろう。次第に、闇の言葉の意味がわかってくると3人は絶句した。


「どうしたの、ハデス?呪術が得意って前にお母さんから聞いたの」


ハデスが言葉に詰まるのを見るのは悠にとって初めてだった。悠は一歩前に出ると、膝をつき闇を抱きしめる。


「ごめん、ごめんね、闇」


ごめん、というその言葉は、ハデス、蘭をも貫いた。聖女として、四天王として、闇の親を守れなかったことに対しての言葉。

悠が涙を流すと、闇を次第に現実が襲った。声をあげて闇が泣く、蘭も涙し、ハデスは悔しさで自分の唇を血が出るほど強く噛んだ。

先ほどまで音一つなかった部屋が、悲痛な音で満たされた。



最近も頻繁に泣いていたせいだろう、闇は泣き疲れすぐに眠った。


「闇ちゃん、家で預かろか?仲良い蒼もおるし、闇ちゃんの両親は蒼の命の恩人や」


3人の話題は、闇を誰が引き取るか、ということだった。


「そうだね、僕のところは灯ですら、上手く親になってやれてるかわからないし、悠はまだ聖女とはいえ16歳だからね」

「そうですね、蘭さん、お願いします」

「任しとき」


そう言って蘭は力のない笑みを浮かべた



闇が目を覚ましたのは同日、夜10時ごろ、散らかっていた部屋は綺麗に片付けられ、窓や電球も元通りになっていた。魔法は便利である。


「闇ちゃん、起きたか」


蘭が飲み物を闇に手渡し、ベッドに腰掛けた。


「あのな、闇ちゃん、これからうちと蒼と一緒に住まへんか?」

「なんでなの?」


まだ、現実を理解していないように見えた。そんな中、蘭が驚きの発言をかます


「闇ちゃんのお父さんとお母さんはな、うちの蒼を守って遠くに行ったんや」

「ちょっと、蘭!」

「蘭さん!?」


遠くに行ったという言葉は、蘭なりにオブラートにしたつもりだったが、遺体をこの目で見た闇はもう一度、親は死んでしまったと言われたようなものだった。


「なんや、ハデス、悠、しゃあないやろ、うちと住んだら王都に行くことになるんやし、嫌でも耳に入ってまうやろ、だから、こういうことは早めに言うたほうが、良いと思って」

「今の闇には辛すぎるだろう」

「そうですよ、蘭さん」

「しゃあないやろ、うちだって、そのくらいのことは」


3人が言い合ってる中、闇が蘭の服を強く引っ張った。


「本当なの?」

「どうしたんや、闇ちゃん」

「お父さんとお母さんは蒼を守って死んだの?」

「そうや、立派やったんやで」


間髪入れずに答える蘭に、悠とハデスがまた怒った。が、二人が口を挟む前に闇が蘭のお腹のあたりをを殴った。か弱い少女の拳、痛くはないものの、闇の行動に3人は釘付けになった。


「蘭なんて嫌い!蒼も嫌い!どっかいけなの!」


そう叫ぶと闇は声をあげ泣きながら、しきりに蘭を殴った。蘭の言葉を闇は、蒼のせいで親が死んだと言っているように受け取った。威力のない衝撃が蘭の心を削る。


「蒼のせいでお父さんとお母さんが死んだの、蒼がいなければ生きてたってことなの」

「いや、違うんや、蒼だけのためやないねん、大っきなモンスターから人守るため、ってのもあるんや、闇のお父さん、お母さんは強かったから」

「じゃあ、強くなければ良かったの、魔法なんて無ければ戦わなくて良かったの!」


話すたびに墓穴を掘る蘭を見ていられなくなり、ハデスが仲裁に入るが、ヒステリック状態の闇に言葉は届かなかった。そんな様子を悠はしばらく見つめながら。


「もし私達両親に何かあったら、闇のお守りは悠ちゃんに任せようかしら?」


1年前の闇の母の言葉が頭をよぎり、悠に決断を迫る。あの時言われた言葉は冗談だったのかもしれない、そんな風にも思った。

だが、次第に泣く闇の姿が悠に決意させる。


パン!


大きく一度手を打ち鳴らす悠。


「ハデスさん、蘭さん、少し闇ちゃんと二人で話をさせてください」


しばらくして頷くと、ハデスと蘭は部屋の外に出た。元通りになった窓ガラスの向こうには、夕日が色を加えたあの時とは違い、満月の月明りに照らされ綺麗な紫色のハナショウブが語りかけるように咲いていた。


闇が幻覚と間違う所、闇が遺体を見るとこ書いてたらもうちょっとわかりやすかったかな?


この時、灯はハデスのもとで生活中。一様、登場人物全員の過去はあるので、今回のハデスの一言、書く必要ないかなと思ったんですが、プチ情報入れました。


ハナショウブは今回のキーフラワーとして置いてるんですが、付け加える必要あるんかな

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