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湧く祭典と現実

3000年・天災級モンスター、フェニックス出現。

3010年・天災級モンスター、ベルゼブブ出現。楓が女王になる。

3011年・闇が生まれる。

3012年・蒼が生まれ、蘭が親代わりになる。

3016年・蘭が四天王になる。

3017年・天災級モンスター、バハムート出現。

3019年・闇が四天王になる。蒼が聖女になる。


引き続き3017年

今回の龍はバハムートと名付けられた。バハムートとの戦いは2日をかけて人類の勝利で幕を閉じた。その次の日には、一般市民が誰一人死んでいないことがわかった。が、キョウチクトウ村で交戦した魔術師は死体がある程度残っており、四天王茜や闇の両親、総勢30名以上の戦死が確認された。

今回のことを、女王である楓は、戦死について、次世代の希望である蒼を守った栄誉ある死として語った。


得たものも、またあった。蘭はバハムートの亡骸を調べた結果、ワープが行える魔法アイテムが作れると確信したからだ。これがあれば、これから先、天災級が現れても、人が住んでいる場所から近い位置に設置しておけば、即座に伝達、及び、四天王、聖女が天災級の元に集まることが可能になる。

すぐにこれらのことが発表されると、天災級撃破の祭典が執り行われた、しかし、そこに主役であるはずのハデス、蘭、悠の姿はなかった。



3人はヤエザクラ村に向かった。当然闇に会うため。

王都から遠いので親の戦死についての情報は耳にしていないはず。と言うことは、帰ってこない家族を3日待ち続けていると言うこと。どんな気持ちで闇は過ごしているのか、考えただけで、胸が詰まった。

ハデスは珍しく上に服を着ていた、バハムートとの戦いでできた切り傷や火傷の跡などが悠の治癒を受けたものの、完治しておらず全身に残っている。


闇の家に向かう道中、3人の間に交わされる言葉は無かった。

ヤエザクラ村に到着する、特に被害を受けていないので、闇の家はすぐわかった。とはいえ、闇がいるのは避難所、7歳の子供を家に一人で返すようなことはないだろう。


3人が避難所に訪れる、そこにはキョウチクトウ村に住んでいた住民が帰る場所をなくして多く取り残されていた。その場にいた者達は、四天王二人に、聖女がいきなり現れたので、たちまち騒然となる。3人は辺りを見回すが闇の姿は無かった。


四天王と聖女が来たと、知らせを受けて、この避難所を仕切っている上級魔術師が医療室から慌てて出てきた。


「ハデス様、蘭様、悠様、この避難所になんの御用でしょう?確か、今は祭典の真っ只中と聞いておりますが」

「ああ、急に悪いね、少し会いたい人がいてね、闇って子知ってるかな?」


闇と、名前を聞くと上級魔術師はうつむき奥の扉を指差した。


「皆様は闇さんとお知り合いだったのですね、闇様は個別医療室におられます。両親の死を受け止めきれていないようです、3日前から塞ぎ込んでおられます」


闇がすでに両親が亡くなったことを知っているらしい。


「どういうことや、誰が闇ちゃんに話したんや!?」


上級魔術師が冷や汗を流す。


「申し訳ありません、結果的に言えば私達です、バハムートが王都に向けて進行を始めた後、キョウチクトウ村に到着し、生存者がいるか確認に向かったのですが、みなさんも知られている通り、全滅しており、無駄を承知で遺体を全て一番近かったこの村に運びました、その際、この避難所の医療室が最適だと判断し、運んだのですが、その際に避難所に来ていた闇様がご両親の遺体を見てしまったらしく」


ここまで聞いていた蘭が上級魔術師の胸ぐらを掴む。


「何考えてんねや!遺体は人の目に届かん様に運ぶやろ!」

「す、すみません、人手が無く、運ぶことで精一杯だったんです」

「やったら、人手集まるまで待つとかせーや!」

「あのまま待っていては、バハムートが戻ってくる可能性もありましたので、すぐに移動させる方が良いと思いまして」

「さっきからゴチャゴチャと言い訳言っとるんちゃうぞ!」


ヒートアップする蘭を悠がなだめた。


「待って、蘭さん、彼の言ってることはあながち間違いじゃないです、それに、今はその人と言い争っている場合じゃないと思います」


チッと舌打ちをすると、蘭は手を離した。


「上級魔術師さん、手荒なことをしてすまなかったね、僕ら3人、今、少し穏やかな気分じゃないんだ、奥の部屋通させてもらうよ」


ハデスを筆頭に、個別医療室に入る、医療室はそれなりに大きく、ベッド一つに、簡易風呂や、本、トイレ、と言ったシンプルな個室だった。


しかし、部屋の状態はあまりにひどく、本は全て本棚から落ち、いくつかはページがビリビリに破れている、ベッドのシーツは破れ、布団や枕は中に入っているものがそこらじゅうに飛び散っていた、部屋の壁には何箇所か焦げたような凹みがあり、部屋に唯一ある窓はガラスが割れていた。同じく、部屋の電球も割れており、電気がつかない。


何も知らない人がこの部屋を見れば、モンスターが荒らしたと確信するほど部屋は荒れていた。もちろん荒らしたのはモンスターでは無く、闇一人だった。

闇はベッドに横になり、入り口に背を向けている。

この場にいる誰もが、第一声としてなんと声をかけるべきかがわからなかった。


蘭の口調からして、遺体と言わせるところを仏さん、と言わせるか迷った。


本当は闇が両親の遺体を見るとこ、書こうかな?と思ったんですがやめました

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