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美少女と安堵

「あれ?ここどこだろ」


目を覚ましベッドから体を起こす凛、真っ白な空間というわけでもなく、窓からは朝日のような眩しい光が差し込み、机や本が整理され並んでいる。ハデスのいた所ではないのは確かだ


「私、確か死んだはずじゃ」


そう言いながら、自分の左腕を確認する。何事もなかったかのように無傷の左腕が目に飛び込んだ。


「あれ?でも確かにあの時・・・」


狼の顔が頭の中にフラッシュバックする、あまりの気持ち悪さに抑えきれず胃の中にあるものを吐き出した


「おえ」


といっても、腹のなかに何も入っていないのか、胃液だけが逆流した。口の中がピリピリする。なにか、口をゆすぐものが欲しい。

扉の取っ手に手をかけると、凛が力を入れる前に取っ手が傾いた。扉はそのまま凛の方向に内側に開いた。

ゴツン、鈍い音が凛の頭に響く。


「痛い」

「ご、ごめんなさい、もう起きてたんだね、大丈夫?」


その声の主は凛に優しく手を差し伸べた。

凛ははっと息をのむほどの美少女の顔に釘付けになった。天の川のような銀色の長い髪、見た者の時間を静止させてしまえるほど美しい瞳、声も耳をくすぐるような優しい波長。


「天使だ・・・」

「天使?まだ夢を見てるのかな」


目の前の美少女は少し困った顔をする。


「あなた、意識ははっきりしてる?自分の名前は言える?」


目の前の美少女の挙動一つ一つが煌めいて見える、瞬きを忘れているほどだった。狼のことなんてすっかり頭の中から抜け落ちていた。


「凛です」


そう声を聞くと、目の前の美少女は、安心したように笑みを浮かべた。


「良かった、ちゃんと体は回復したみたいね、あなた何者?森の中で一人、何をしていたの?もう少し私たちが見つけるのが遅かったら、本当に死んでいたのかもしれないのよ」


森?どうやら、また転生したわけではないみたいだ。回復?あの時確かに腕を食われたはずなのに。


「おえ」


脳内で狼がフラッシュバックする、口の中の感覚もピリピリとはっきりしてきた。


「凛?大丈夫?お水飲む?ちょっと待っててね」


美少女はバタバタと部屋を出て行った、少しすると茶色のコップを持って戻ってきた。


「はい、お水よ、飲んで」


正直飲む前に口をゆすぎたいのだが、そんなわがままも言えず、美少女に言われるまま嫌な味のする水を飲み込んだ。


「ごめんなさい、嫌なこと思い出させて、話してくれるのは落ち着いたらでいいから」


なんて優しい天使ちゃんなんだろう、あったこともない私をこんなに心配してくれてる。

美少女は凛が水を飲み終えるのを確認するとコップを受け取り床に置くと、凛を優しく抱きしめた。凛の背中に回った悠の手から緑色の魔法陣が音もなく淡く光っていた。


「怖かったよね、すぐに助けてあげられなくてごめんね、もう大丈夫だから」


なんでだろう、すごく安心する、気づけば凛の目からは大粒の涙が溢れ出していた。


「うっ、うっ、怖かったよぅ」


抱きしめてくれている美少女を強く抱きしめ返す。


「よく頑張ったね」

「わけがわからないところに連れてこられて、うっ、」

「うん」

「急に狼が出てきてっ、うっ」

「そっか」


凛の言葉に優しく相槌を打つ。何分こうしていただろう、涙が枯れる頃には凛は落ち着きを取り戻していた。

吐くと、胃液が口まで登ってくる。胃酸は名前の通り酸なので口を溶かすためかピリピリする。


美少女が使った緑色の魔法は、精神を安定させる作用、体の機能が正常に動いているかのスキャン、凛の体の適正魔力や使える魔法を全て調べれる、などの便利な合体魔法


美少女の定義について➡︎基本的にその国での黄金比であったり、大多数が賛同する部位のバランスや大きさが一定の値を超えた場合の女性に対する総称。今回の場合、凛しかいないのであくまで、独断と偏見による美少女


凛の涙➡︎この涙は悲しいから出たものでなく安堵から出たもの、人は感動など以外で安堵で涙を出しやすい、ある研究によると、女性の方が安堵で涙を出しやすいとか、ちなみに男は痛みで泣くことが多い。これは、女性の方が出産を考え痛みに耐えれる体の作りをしているからなどと考えられている。

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