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蘭の絶望と約束破り

3000年・天災級モンスター、フェニックス出現。

3010年・天災級モンスター、ベルゼブブ出現。楓が女王になる。

3011年・闇が生まれる。

3012年・蒼が生まれ、蘭が親代わりになる。

3016年・蘭が四天王になる。

3017年・天災級モンスター、バハムート出現。

3019年・闇が四天王になる。蒼が聖女になる。


3000年、前話のフェニックス出現より少し前からです

「いやー、おおきにね」


エトナ火山噴火から23日後、その時、蘭は王都に商売に行っていた、天災級が現れると大体の人が自分の家に帰って天災級が討伐されるまでやり過ごす、一番住人が多く、四天王二人に女王のいる王都は人で溢れ、物を売るには絶好のチャンスだった。それに、蘭には仕事が魔法学校教師の夫と、今年9歳になる娘、二人の家族がおり、共働きとはいえ娘のためにお金はあればあるだけ欲しかった。


常連客の60歳ほどの女性が買いに来る。


「蘭ちゃん、今日も買いに来たで」

「おー、おばちゃん、いつもおおきにな、今日は野菜もぎょうさんあるで、いっぱい買ってってな」


気さくな性格から、常連客も多くつき、それなりに稼いでいた。蘭自身も商売が好きだと言うこともあり、苦にならなかった。


12時ごろ、昼時で客足も遠のいたので、そろそろ昼食をとることにした。


「ふっふーん、今日も午前中でよう稼いだで、生物なまものもあるし、午後で全部さばかんとな」


昼食をとろうと弁当の蓋を開けた時だった。


ゴゴゴゴゴゴゴゴ!


大きな地震が起きたが、すぐに収まる。


「うわー、あぶないな、お弁当落とすとこやったわ、商品いくつか転がってもうた、拾わんと。売る時は少し安くしたろかな。今の地震、天災級のおでましやったりしてな」


それから1時間半ほどして、伝達係が到着すると、王都に配備されていた魔術師が一斉に飛び立った、同じく王都にいる四天王のハデス、楓のうち、楓が飛び立っていくのも見えた。

天災級モンスターは10年に一度ほど、100を超える村や町の付近に現れるため、出会う確率は低く、娘と夫のいるアカーネーション街に出たかも、なんて思い詰めるほどではなかった。

午後の商いを始めようとした所に、青ざめたハデスがやってくる。ハデスと蘭はすでにこの時から知り合いだ。


「どうしたんや、ハデス、けったいな顔してんなぁ、天災モンスターがいよいよ出たんか、死なないように頑張りや」

「蘭、落ち着いて聞いてくれ、先程天災級モンスターが確認された、出現場所は君の住んでいるアカーネーション街」

「へ?笑えんなぁ、ハデス」


あまりに唐突なことに顔がひきつる。


「君の夫と娘の葵は街にいるのかい?」

「ああ、そや」

「わかった、見つけたら最優先で保護する、きっと助けるよ、じゃあいくね」


ハデスが杖をふる


「天王付与魔法四式、RADICAL・BERSERK」


ハデスの持っている杖が黒い液体に変化し、黒く半分変色した腕に鎧のように固まる、額からは4本のツノが生える、目は黒のベタ目。

少ししゃがむと、大きく200メートルほどジャンプする、門を飛び越えすぐにアカーネーション街へと姿が見えなくなった。


「どうしよ」


すぐに駆けつけたくても、馬で2日はかかる。蘭は放心状態だった




・・・・・・

フェニックスと名付けられた今回の天災級モンスターは、出現して次の日の夜には討伐された、死亡した四天王、聖女はおらず、最初のアカーネーション街以降、そんなに死者は出なかった。

上半身裸のハデスは、生傷を残したまま王都に戻るなり、昨日蘭が店を出していた所に戻る。真夜中ということもあり、もう、店を閉めていた。店に置かれていたメモ用紙を確認し、ハデスは蘭が宿泊している宿に向かう。宿主に蘭の部屋を聞くと、12階まで階段で急いで上がり、戸を叩く。扉が静かに開くと、目を赤く泣き腫らした蘭が出迎えた。


「蘭、大丈夫かい」

「ハデスか、はいりーや」


部屋にハデスと蘭二人きり、黙っていても結果が変わるわけではない、ハデスはすぐに話を切り出した。


「蘭、君の家族を見つけることはできなかった、でも、遺体が見つかったわけじゃない、もしかしたら、どこかで生きているのかもしれない」


そう聞くと、蘭の腫れた目から涙がこぼれた


「やめてーや、気休めの言葉は、天災級モンスターに襲われて遺体が残ることなんてほとんどないやろ、溶かされたり、燃やされたり、潰されたり。毎回、毎回、天災級モンスターが出るたびに行方不明者が何人出てるんや?」

「・・・約束を守れずすまない」


涙を流したまま蘭が話を続ける、その顔を直視できずハデスは目線を伏せた。


「遺品ぐらいはあるんか?うちの家知っとるやろ」

「今回のフェニックスは何千度の高温の熱を放出するモンスターだった、アカーネーション街はほとんど溶けて無くなってしまったよ、蘭の家もなくなってしまっていた、すまない」

「そうか、熱か、石や鉄まで溶かす温度なら、人間なんてあっという間にドロドロやな、ほんなら、うちの友人は、夫は、葵は、苦しまずに死ねたやろか、きっと怖かったやろなぁ」


蘭は真っ暗で何も見えない窓を見つめた


「葵にな、うっ、夢あるんか?ってこの前聞いたんや、ううっ、そしたら、なんて答えたと思う?」


話しながら涙は大粒に変わり、声は鼻声に、嗚咽が挟まり始めた。


「お母さんの手伝いしたいって、言うたんや、ううっ、やから、やからな、大きなったら手伝ってくれって、約束したんや、うっ、でも、でもなぁ、もう無理や、ハデスと一緒やな、うちも約束守れそうにないわ」


ハデスの頭に返答する言葉が思いつかない。簡単に、そんなことない、なんて言えなかった。


「うちが生まんかったら、葵は怖い思いせずに済んだんやろか?葵はうちを恨んでるやろか?」

「それはない!」


ハデスは蘭の手を取ると、蘭の潤んだ目と目線を合わせ、力強く答える。


「それだけはないよ、蘭、君ほどの女性が母親だったんだ、葵ちゃんも幸せだったはずだ」

「そうかなぁ?そうやといいなぁ」


蘭の涙は止まる気配を見せず、ハデスもただ、蘭が泣き疲れるまでそばについていた。

蘭が泣き疲れ意識を失う頃には、窓際の、花びらがほとんど落ちたサルビアの花が朝日を受けていた。


小説でも漫画でも、最初の1話は大事だよね、ワン◯ースで腕無くなったりするみたいに、もう少し読んでみようか、と思わせなきゃいけない。その点、この小説はダメでしたね、1話が千文字弱だし、インパクトもない、いっそのこと3話目を1話にした方が良かったんじゃないの?と思う。


なまもの、とか、足が早い食べ物、とかって友達との会話中言ったら、なにそれ?と言われた。まじか、知らないのか。と思った。


王都に配備された魔術師が一斉に飛び立ったと書いてますが、治安維持のために特急魔術師数人は残ってます。女王ももちろん王都に留まってます。

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