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商人蘭と失った者

3000年・天災級モンスター、フェニックス出現。

3010年・天災級モンスター、ベルゼブブ出現。楓が女王になる。

3011年・闇が生まれる。

3012年・蒼が生まれ、蘭が親代わりになる。

3016年・蘭が四天王になる。

3017年・天災級モンスター、バハムート出現。

3019年・闇が四天王になる。蒼が聖女になる。


3012年、蒼が生まれた後、蘭が親代わりになる前です。

上半身裸のハデスは王都から少し離れた町の隅で店を出している女性を訪ねた。


「やあ、蘭、久しぶりだね、商売は上手くいってるかい?」


蘭の店は万屋で、そこに並ぶ商品は蘭が手作りしている物が多かった、子供用の点数を自動で数えるボールや、キャンプなんかをするための火魔法が苦手な人用の自動安全発火装置、怪我をした時のスプレーや、自動で口まで物を運んでくれるスプーンなど、様々だった。

ハデスの呼びかけに店の奥で背を向けていた蘭が振り返る。


「おー、なんや、ハデスやんか、久しぶりやなぁ、商売はボチボチやで」


そう言いながら、ハデスの着ている長ズボンを見ると、ニンマリと笑う。


「ズボン、買ってもらっておおきにな、言い値以上で買ってくれたお陰で、数年働かなくても遊べるぐらい金もろたわ」

「いやいや、とても助かっているよ、このズボンは簡単に破れないし、ある程度なら勝手に治るしね、前はズボンが破れるたびに、澪には笑われて、楓にはしばかれたからね、それに、君には嫌な仕事をお願いしてしまった、大事にするよ」


ハデスのズボンは、蘭がオーダーメイドで作った物、素材は、ベルゼブブより10年前に現れ討伐された、天災級モンスター・フェニックスを使っている。傷を負ってもすぐに修復する体、常に体は燃え続け近づけば鉄ですら溶かした。そんなフェニックスの羽を織り込んであるのが、ハデスのズボンだ。


「そんで、うちに何の用や?服は作れへんで、もう、フェニックスの素材はうちのとこにはないからなぁ」

「違うんだ、蒼と言う赤ちゃんのことで少し話がある、君もすでに噂には聞いているだろう?」


少し眉をひそめる蘭


「ふーん、訳ありか、金はもらえるんやろな?」

「もちろんさ」

「なら、しゃあないな、誰でもないハデスの頼みや、話聞こか」


店のシャッターを下ろすと、奥の部屋で蘭とハデスが対面して席に着く、早速ハデスが話を切り出した。


「蘭、君に蒼の魔力を抑えれる魔法アイテムを作って欲しい」

「まあ、そう言うことやろな、とは思ってたで」

「どうかな?作れそうかい」

「無理やな」


考える間も無く蘭ははっきりと断った


「何で無理かやけど、まず、その蒼って子、直接見たわけでないから正確にはわからんけど、聞いた話では生まれてすぐに人を卵子、精子にまで戻したそうやな?」

「ああ、その話は正しいよ」

「普通、魔力量は成長するにつれ大きくなる、普通なら6歳でやっと魔法を形にできる。にも関わらず、無意識で生まれた途端、人を3人仏にしたんや、どんだけでかい魔力やねん、って話やな、そんなでかい魔力抑えるなんて、アホ抜かすなや、無理やで、無理、無理」


蘭が手を軽く振る。


「天災級モンスターの素材を使っても無理かな?僕のズボンみたいに」

「天災級モンスターなぁ、確かに、あいつらの素材は強いやろうけど、今でも半端じゃない魔力が、これからも成長し続けるんやで、天災級使ったところで限界、見える気するけどなぁ、それに、うちの作る魔法アイテムは全部独学で作っとるから、他の奴が見ても作りがわからん、もし作ったとして、壊れた後で責められても困るしなぁ」

「何とか出来ないかな」


再び、眉をひそめる蘭


「はぁ、ちょっと待ちいな」


白紙の紙に何かを書き始める蘭


「本当のこと言うと、できるかもしれん」

「と、言うと?」

「ハデスのズボンと同じや、そのズボンは破れたりした時、着ている者の魔力を自動で必要な分吸い取って、もしくは、ためておいた魔力を使って、その魔力で直しとるんや、だから、同じように、魔力を抑えるのと違うくて、暴走した時の魔力を吸い取ってためるような装置があればいいんや、ただ、いろいろ問題はあるなぁ、蒼の場合そんな大きな魔力、泣くたびに発動してたら処理が大変や、まずまず、魔法アイテムがその負荷に耐えられるか、そんで、例えそれが出来たとして、蒼はどうなるんや?」


蘭は持っていたペンを置くと書いた紙も丸めた。


「聞いたところやと、人を不老不死にすることができるとか、まさかと思うがハデス、あんたが蒼を助けようとしてるのは、そんな、しょうもないことのためちゃうやろな?」


ハデスの表情から笑みが消える。


「それは違う、僕は蒼に聖女になってもらいたいんだ、彼女ほどの力、どれだけ重症でも直すことができる、今まで助けられなかった人たちを救うことができるようになる、今までにないほどの絶対的な平和の象徴だよ」

「そんな上手くいくと、本気で思っとんのか?ハデス、力を持つ者は自分の力におごる、人類の敵になるって話、あながち間違ってないと思うけどな、うちは」


蘭の冷たい声、ハデスの声が少し荒くなる


「決まってもないことを決めつけて、蒼になんの罪があるんだい、処刑だなんてあんまりじゃないか」

「強いて言うなら、回復っちゅう強い魔力もったことが罪なんかもな」

「蘭!優しい君が、どうしてそんなひどいことが言えるんだ、君らしくない」

「ほっとけや、うちは前からずっとこんな性格や!ハデスに何がわかる言うんや」

「君は夫と娘をなくす前は、そんなんじゃなかった、誰とでも気さくに話し、人を笑顔にする蘭の発想にはみんなが喜んだ、それが、今では街の隅っこで小さな店を構えて・・・」

「黙れ、ハデス!家族がおらんお前には何もわからんやろ!少し前に拾った灯を育てて、もう父親づらか!?もしそうなら、灯を失えばうちの気持ちがわかるんかもな!」

「なんてことを言うんだ!本当にどうにかしてしまったんじゃないのか?」

「お前に言われんでもうちがどうかしてるのは自分が一番分かっとるわ!もう帰れや!話は終わりや」


ペンをハデスに向かって投げつける、ペンは耳元を通り、後ろの棚で背を向けている写真立てに当たった。

パタン

と、写真立てが倒れる、写真には笑顔の蘭と、同じく笑顔の男性と9歳ほどの女の子が写っていた。ハデスが落ちたことに気付き拾おうと手を伸ばす。


「それに触んな!」


蘭の怒号が飛ぶ、目は潤み始めていたいた、席を立ち、すぐに写真立てを拾うとまた、背を向けて同じ位置に戻した。


「もう、今日は誰とも話したくない、出て行ってくれや」

「蘭、すまない、言いすぎた、君には元気になってもらいたいんだよ」

「不器用なやつやな、もうええよ、別に。うちも言いすぎた、あんたのことは信頼しとる、魔法アイテムのことはとりあえず、実現できるか考えてみる」

「頼むよ」


軽く挨拶を交わすとハデスは部屋を後にする、蘭は1人残った部屋でしばらく背を向ける写真立てを表にして見つめる。


あおい


つぶやくと写真立てに写っている女の子を指でなぞる、蘭は一滴の涙を流した。


蘭の過去編について、家族団欒の話は書きません、蘭の亡くなった娘の名前があおいで、漢字違いで発音が蒼と同じでした。


蘭の店は万屋です、様々なものが置いてありますが注文が入ればオーダーメイドの品を作ることも多い。


ハデスの着ているズボン、オーダーメイド、蘭のお手製でお値段は、サラリーマンの年収の7倍!ぐらいだとか。それをさらに高く言い値でハデスは買った。

そういえば現実でのサラリーマンの年収は6年連続で上がっているとか、しかし、先進国内で見てみると日本人の給料はかなり低い、頑張れ日本。

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