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不思議な凛と扉

凛は前に釣りを何度もしたことがあるので、久しぶりの釣りに内心ウキウキしていた、ウキだけに。二人の投入したウキがポチャンと小さく音をたてる。


「凛、何も教えてないのに、餌投げるの上手いですの」

「ありがと、前に少しやったことがあるから、ここ、湖だけど餌はエビでいいの?」

「それはどういう意味ですの?」

「いや、普通、エビって海釣り用でしょ?てっきりミミズとか使うのかなって思ってたから」


闇の反応を見ると、地球と少し違うのだろうか?


「何を言ってるかわかりませんけど、エビでここの魚は釣れますの、だから心配しなくていいですの。ちなみに、あんまり大きな魚だと凛は湖に引きずり込まれるから、釣竿はマグロみたいな大きな魚はかからないように魔法が付与してあるから安全ですの」

「え?マグロ?」


底は深そうだが琵琶湖よりも小さいこんな湖でマグロが釣れるのか?とにかく、自分の知る湖とは違うんだな、と理解した。


「ちなみに、ここは何が釣れるの?」

「今の時期はスズキとかメバルとかですの、でも一番釣りたいのはクロダイですの、灯は魚が好で、特に鯛が好きですの。だからもし釣れたらきっと灯が喜びますの、この前釣った時も喜んでいたの」


そう話す闇はその時のことを思い出しているのか少し嬉しそうだった。

あれ?スズキ、メバル、クロダイにマグロ?完全にここ海だな。と内心、断定する。それと同時に前の世界との名前の変わらなさに、濁点要素を忘れそうにもなっていた。


「灯って、魚が好物なんだ、肉が好きなのかと思ってた」

「人を見た目で判断するのは愚行ですの、肉は、私が好きですの、灯は魚、悠は野菜が好物ですの、あっ!凛、かかっていますの、早く引き上げるの!」

「わぁ、本当だ」

「焦っちゃダメですの、糸が切れちゃうの、動きに合わせて魚を疲れさせて、すくい上げるように、竿を引くの」


凛が数分奮闘したのち、無事に目の大きな魚が釣れた。


「これはさっき言ったメバルですの、煮付け、唐揚げ、今日中なら刺身でも食べれますの」


そう言って、呪い発動の可能性があるため、釣り針が触れない凛の代わりに魚を取り外すと、闇はメバルをバケツに入れた。そのあと、餌もつけてくれた。


「ありがとう、闇」

「気にしなくていいですの。凛は不思議な奴ですの、昨日私に殺されかけたのに、平気で話せるなんて、きっと心臓が毛むくじゃら、私のことを恨んではないですの?」

「恨んではないよ、今でもちょっと闇は怖いけど、あの時は悠のことが心配で怒ってたんでしょ、それに、今は名前も呼んでくれるし、朝だって、家族って認めてくれたし」

「悠が言ったから仕方なくですの」

「それでも、ここにくる前、守ってあげるって言ってくれたし」

「目の前で知ってる奴が死んだら、寝つきが悪くなるからですの」

「そっか、そういうことにしとく」

「ふん」


そう交わすと、また椅子に腰掛ける闇と凛。餌を投げ入れる。無音の世界で、鳥の囀る(さえず)声とたまに魚の跳ねる音が聞こえる。時間の流れがゆっくりになっているような感覚を覚えた。カランコエのような花が遠くに揺れている。少し、凛がうとうと、と眠くなってきた頃に闇が急に舌打ちを鳴らした。


「チッ、めんどくさい奴が来ましたの、凛は余計なこと言わずに黙ってればいいですの」

「それって、どういうこと?」


二人の背後に高さ2メートルほどの魔法で出来た扉が現れ、中から、闇と同い年、同じ身長ぐらいのツインテール幼女が姿を現した。右手には闇やハデスの杖と似た杖を握っている。


「闇お姉ちゃん、久しぶり、あおいが直接会いにきたよ!」


闇は微動だにせず、釣りを続けていた。


スズキ、メバル、クロダイ、これらは春によく見られる海の魚。


カラエンコの花➡︎4枚の大きなピンクの花びらのある花、花言葉はたくさんの小さな思い出、他には幸福を告げる、おおらかな心


心臓が毛むくじゃら➡︎よくわからなかった人は、心臓に毛が生える、という意味だと思ってね

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