醤油喧嘩とパッションフルーツの花言葉
今日の朝ごはんは、悠の作った卵焼きとご飯、そしてこの黒い紙は、多分海苔だろう。食べ始めてすぐ、灯と闇は喧嘩を始めた。
「おい、闇、俺が先に醤油を使う」
「私が先に使いますの」
醤油瓶を闇と、灯が取り合っていた、理由は醤油が残り少ないこと、おそらく、あと一人分。
「俺が先に使う、年上だぞ、闇は新しい醤油取ってこいよ」
「年上がなんの権利を持ってますの?灯は体力あるんだし、新しい醤油を取ってこいですの」
「嫌だね、俺が取りに行ったら、闇に使われてるみたいじゃないか、それに闇は魔法で座ったままとれるだろ」
「魔法で持ってこれるけど、したくないですの。灯に使われるのは嫌ですの!」
どちらが新しい醤油を取りに行くかで、揉めていた。魔法で持ってこれるなら、持って来てあげれば良いのに。
悠はソース派らしく、すでに食べ始め、灯と闇の喧嘩を嬉しそうに眺めながら食事していた。
「凛!さっきのプロテインの話の続きなんだがね、まず、前提としてプロテインとはタンパク質なんだ、肉と同じだね。それで、人の体は髪から足の爪までほとんどがタンパク質でできていると言っても過言ではない。つまり、プロテインを飲んだから太ると、思っている人もいるが、実はそんなことはないんだよ、高齢の方なんかは食事だけでタンパク質を補いきれないから飲んだりもするしね」
相変わらず、上半身裸のハデス。
「あの、服は着ないんですか?」
「服かい?服は基本着ないね、僕の戦闘方法は、他の魔術師と違って自身の体に魔法を付与することで、自分自身を最強の矛にする戦い方なんだ、普通の服じゃすぐ、破れて意味がなくなってしまう。ちなみに、今、この短パンも破れるのでは?そう、思わなかったかい?それについては大丈夫!なんたって、この短パンはオーダーメイドなのさ。世界最高峰のマジックアイテム製作者である、四天王の蘭が作ってくれたものだからね!実際、フルパワーでいくつか山を平地に変えたんだけど、少し破れた程度だったよ。山は聖女である蒼にちゃんと治してもらったよ、自然は守らないとね。ちなみに破れてもある程度なら勝手に再生するんだ、優れものだろう?こう聞くと、この短パンの素材は何か気になるよね?それはね」
「ハデスさん、もういいです。よくわかりました」
ハデスの、言葉の連射は真面目に聞いてると頭がこんがらがってくる。それに正直、ズボンの素材より、パンツは履いているのかの方が気になるが、異性ということもあり聞くのはやめておこう。
灯と闇の喧嘩がひと段落したみたいだ、結局どっちも折れなかったみたいで、二人はなにも付けずに食べていた。
「悠の手作りの卵焼きに何かかけるなんて間違ってた、使いたいならこの醤油使っても良いよ、闇」
「こっちのセリフですの、悠の手作りなら、味を足す必要はないですの、灯が使うと良いですの」
さっきと真逆のことを言い始める灯と闇。
「明日までには新しいお醤油、出しとくね」
悠は食べ終わり、笑顔のまま席を立つ
「悠!僕お手製のプロテインの味はどうだったかな?気に入ってもらえているなら嬉しいのだが」
「はい、さっぱりして美味しかったです」
「そうかい、気に入ってくれたなら良かった、三人はどうだい?プロテインは気に入ってくれたかな?」
凛はまだ一口も飲んでいないので、急いで一口飲んでみる。
「思ったよりはまずくなかったですの」
「師匠の作るプロテインは美味しいです」
「そうかい、二人とも気に入ってくれたようで何よりだよ、まあ、本来、プロテインというのは運動後に飲むものだ。灯、気に入ったならハッションフルーツのプロテイン粉末をプレゼントしよう」
「ありがたいです、師匠」
「気にしなくて良いさ、凛はどうだい?」
「悠の言った通りさっぱりしていて、美味しいです。プロテインは初めて飲みましたけど、結構いけますね」
「初めてなのか、口にあって良かったよ」
パッションフルーツの花言葉は聖なる愛。聖、とつけると大層かもしれないが、悠の言葉、相変わらずの灯と闇の喧嘩。良い家族だな、家族愛だな、と思えた。家族愛の花言葉と考えるなら、サルビアの花が相応しいが、家族愛と一概に言えない絆を感じた。それと同時に、その家族の一員になれた喜びが凛に喜色満面な笑顔を作らせていた。
皆さんは経験あるだろうか、ドレッシングや醤油などが無くなった時、誰が食品庫から取ってくるかで、兄弟と喧嘩っぽくなること。ちなみに作者は昨日取り合った、そして、負けた
パッションフルーツのプロテインは本当に美味しい。
家族愛、と言う意味の花言葉を持つ花は結構多い。セージ、バーベナ、サルビアなど、家族の誕生日にでも送ると喜ばれるのではないかな