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家族ルールとハデス式乾杯

「起きなさいですの、愚民」


凛は頭を小突かれ目を覚ました。


「うっ、おはよう闇」


目が痛い、ここ2日度々泣いていたせいだろう。


「とっとと降りてきなさいですの、今日は私について来てもらうですの」

「わかった」


昨日、家に居て良いと認めてもらえた(?)とはいえ、気まずくて闇の顔を直視できなかった。

リビングに降りると、シェイカーを振るハデスがキッチンから呼びかけてくる。


「やあ、凛、昨日はよく眠れたかい?昨日約束したハッションフルーツの牛乳割りを作っているからね、牛乳はここで飼ってる牛の、今朝とれたてほやほやのやつさ!しっかり殺菌やホモゲナイズしてあるよ」


ホモゲナイズ?何かしらの加工の方法だろうか。ハデスの後ろでは悠が皿を並べている。


「闇、今日も運ぶのお願いできる?」

「まかされたの」


闇は昨日同様に杖を振ると、皿を机に運んだ。皿が運び終わると、ガチャと扉の開く音がして、灯がどこかから帰って来た。


「悠、頼まれてた肉の処理は終わったぜ」

「ありがとう、灯、朝早くからごめんね」

「悠の頼みなら大丈夫だよ」


手を洗い灯が席に着く、闇、悠も席に着いた。机は正方形なので、凛が座るとハデスの座るところがない。正直、気まずいので座りたくない衝動もある。


「僕のことは気にせず、先に食べたまえよ、グッドラックだよ、凛」


図体の割に可愛いウサギ柄の小さなシェイカーを振りながら、ハデスがニコニコしている。


「凛、どうしたの?早く座って食べましょう」

「早く座れよな、悠の飯が冷めちまう」

「愚民は動きがとろいですの」


凛が座るのを三人が待っている、それだけで、いて良いと認められた気がして、目頭が熱くなった。凛が座るのを見届けると悠が立ち上がり、人差し指を立て、宣言する。


「新たな家族ルールを作ります!」


家族ルール?そんなのがあるのか。


「凛は、今後私たちには敬語禁止。それと、闇は凛のことをちゃんと名前で呼ぶこと、今更だけど凛も大事な家族です、これからは助け合っていきましょう」

「わかりましたの」

「了解だぜ、悠」


家族ルールの内容は凛に関するものだった、明らかな家族公認宣言、凛は目を潤ませた。


「よく泣く女ですの、敬語禁止については賛成ですの、曖昧な気味の悪い話し方にはイラついてたところですの」

「敬語なんて使わなくて良いぜ、凛、それと、昨日凛にひどいこと言ったことについて謝ってなかった、ごめんな、凛。俺は悠のことになると冷静じゃいられねぇからよ、また、近いうちになんかお詫びをやるよ」


涙を流すことはないものの、相変わらず目を潤ませる凛。


「ありがと、みんな」


悠は満足そうな笑みを浮かべると、席に座る。


「いや〜、泣ける朝だね、新たな家族に乾杯といこうじゃないか!さあ、僕手作りのプロテインだよ、美味しいはずだ」


プロテインを作り終わったハデスが、4つのコップを運んでくる。薄いオレンジ色の飲み物だった。生前、一度もプロテインを飲んだことのない凛は少し味が気になっていたりもしていた。四人に運び終えると、ハデスは大きな魔法陣から、椅子と一人用の机を出現させ、座った。


「ここで、筋肉のお兄さん、ハデスの豆知識、プロテインとは」

「うるさいですのハデス」

「よし、では続きは食べ始めたらにしよう」


ハデスの話は闇にあっさりと遮られ、悠が手を合わせると、闇、灯、凛、ハデスも同じく手を合わせた。


「いただきます」

「いただきますなの」

「いただきます」

「いただきます」

「いただこうじゃないか」


悠の声にみんなが続いた。



ハデスの愛用しているシェイカーは全てかわいい動物のマークがついている、最近はうさぎを使用、理由は書くときがあればまた今度


家族ルールは結構ある、家族は傷つけないこと、など真面目なものもあれば、お菓子を晩御飯前に食べない、など、どうでも良いものもある、大事なルールは悠がメモしている。作るのはもちろん悠


ホモゲナイズ、とは、殺菌の前処理として脂肪球を均一化すること。詳しくはまたいつかハデスから説明があるはず。

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