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家出申告と大好き

「いいだろう、僕が力になれることならなんでもしよう」

「ありがとうございます、今回助けてもらって、薬までくれて、厚かましいのは承知の上です」


ハデスと視線を合わせる。


「私を連れて行ってくれませんか?私がハデスさんの近くにいた方が、薬を定期的に届けたり、作ったりする負担もなくなると思うんです、こんな私ですけど、私でできることがあればお手伝いもします、家事とか、前は料理も結構得意だったんです、包丁は握れませんけど、焼いたりとかならできますし。洗濯とか、片付けとか、どうですか?連れて行ってもらえませんか」


正直、四天王のハデスが、洗濯や物を片付けることに困っているとも思えないが、突発的に話したせいか、腑に落ちない理由を述べる。

ハデスは腕を組むと、表情から笑みは無くなっていた。


「確認だけど、僕についてくるなら、この家からはお別れだよ」

「わかってます」

「この家に居たくないのかい?」


ハデスの言葉に口ごもる。


「そんなこと、そんなことないです。でも、きっと、私が居ない方が悠たちは幸せだから」

「凛が優しいのはわかったよ、でも、僕が聞きたいのは本心なんだ。質問の仕方を変えよう、凛は悠、闇、灯のことが嫌いかい?」


思いがけない質問の鋭さに、凛は視線を下げると、この二日間のことを自然と脳内再生していた。


「嫌いなわけない、悠は見ず知らずの私を拾ってくれて、優しくしてくれて、闇と灯にはよく思われていないみたいだけど、私は仲良くなりたいって思ってます。二人が喧嘩しているのを見ると、妙に安心する、二人がとっても仲いいんだなって思う。羊の毛、灯と刈りたかった、悠の手料理を、イノシシの煮込み料理を食べてみたい、今日闇に殺されかけて怖かったけど、闇が悠のことがどれだけ大切なのかよくわかった、灯だって私のために、悠に頼まれたからだと思うけど、ハデスさんを呼びに行ってくれたし、たった数日だけど、それでも、私は」


そう言いながら、もう枯れたはずの目から涙がまた自然と湧き出していた。


「私は、悠と灯と闇が好き。もし三人が許してくれるなら、この家にいたい」


そこまで言うと、打って変わって小さな声で凛は続けた。


「でも、きっと、心から許してはくれないから」

「それは、聞いてみなくちゃわからないかもね」


ハデスが優しく微笑むと、凛の後ろを指差す。扉の方を凛が振り返ると同時に、扉がゆっくりと開く。


「私も好きだよ、凛」


そっぽを向く闇と灯を従えて、イベリスの花の声が凛の耳をくすぐった。


凛は悠並みに優しくて、人好きなのかもしれない


今更だが、登場人物の名前が基本漢字一文字なのは、その方が覚えやすいだろうと、考えたからである、最初は全員に名字があったが、それを全て無しにした。



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