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ハーデースと呪いについて

わからないという意見があったので言葉の説明です

悄悄➡︎元気が無く、うちしおれた様子

ハデスが凛の左腕に触れると、凛の両腕に複雑な魔法陣が浮かび上がる。紫色に発光すると、腕は元の肌の色に戻った。


「さあ、もう大丈夫だよ、腕を動かしてごらん」


言われた通りに、起き上がり、腕を縦横と、振ってみる,腕だけでなく肺など胸のあたりも痛みや違和感は無くなっていた。


「ありがとうございます、治りました」


凛の視線は低く、泣き止んだとはいえ鼻声だった。凛の悄悄とした姿を確認するとハデスはベッドの脇に跪き、手を差し出す、手のひらに魔法陣が描かれ中からハンカチが出現した。


「涙を拭うのに使うといい、今、転移魔法で僕の家から持ってきたものだ、昨日洗濯したところさ」


ハンカチを受け取り、目に当て、凛は涙を拭った。しばらくして凛がハンカチを目から離すとハデスはそれを受け取る。


「さて、2つ話すことがあるね、僕の兄さんの話、君の呪いの話、どっちから聞きたいかな?」

「どっちでもいいです」


まだ気が沈み込んだままの凛は投げやりに答えた。


「そうか、じゃあ、先に僕の兄さんの話をしよう、僕に兄がいることは知らなかったんだが、しばらく前に君と同じ転生者が来てね、その子に僕と似たやつがハデスと名乗っていると聞いたんだ、その後その似たやつと会うことができてね、色々聞かされたよ、本当に色々、そいつの名前はハーデース、僕の兄だと言い張っていた。そして、すべての世界の死者が集まる場所、冥界の王だ。兄は名を伸ばすのがめんどくさいらしく、ハデスと名乗っているみたいだね」

「そうだったんですね、それじゃあ、ハーデースじゃないってことは、私を元の世界に返す力は無いんですね?」

「そうだね、兄弟とはいえ、自分で言うのも悲しいが、力の差は天と地ほど、ってね!」


元の世界に帰れるかもしれないという、一縷の望みが消えると、帰りたいと強く願っていたわけではないが、凛はまた悄悄とした雰囲気を漂わせ始めた。


「力になれずすまない、気を確かに持ってくれ、君の元いた世界がどんなのかはまだ知らないが、住めば都、この世界も悪くはないはずさ。兄のやらかしたことだ、僕もできる限り力になるよ」

「ありがとうございます」


無垢な純情で凛は言葉を返した。


「うん、じゃあ次だ、君にかかっている呪術について、完治したわけじゃない、一度呪いの効果を打ち消しただけだ、これから何度でも再発する。この呪術のことは、君が兄からどれだけ聞いているかわからないが、呪いの効果は単純明快、武器を持ったら発動する呪術、君以外に害を与えるものではないよ。効果については説明しなくても君自身が体験して知ったことだろう。脅すわけじゃないが、少し説明を加えると、腕が黒くなった後、腕から全身に色が広がり、最終的には身体中が真っ黒に、何をするにも身体中が痛み続け、死に至る。さっきは、凛の右腕から呪術が発現して肩のあたりに広がり、左腕も真っ黒だった、その侵食スピードを考えて、死ぬまでにかかる時間は約1日、そんなとこかな。僕も兄から聞いたわけじゃないから、はっきりとはわからない。また力になれずすまない」


完治したわけじゃない、再発する、という言葉が凛の心をまた曇らせた。呪術が発動した後どうなるかは身を持ってよくわかった、先ほど、肺が痛かったのは、胸のあたりまで黒く変色していたせいなのか、服で隠れて胸のあたりは見えなかったが、おかげで納得した。それと、なにより、自分以外に影響を与えないのは本当に良かった。そうなると気になるのは発動条件だ。


「武器ってどこまでが武器として認識されるかわかりますか?」

「いい質問だ!だが、またまた、力になれない。ある程度はわかるけどね」

「わかる範囲でいいので教えてもらえますか?」

「ああ、いいとも、前の転生者と一緒にいた時にわかったことだけど、まずは当たり前だが、剣や弓、盾なんかも武器扱いだ、それだけでなく、今回凛が触れてしまったハサミ、そして包丁、など日用品の物でもアウトのものがある、見分け方についてはっきりとしたことは言えないが、まあ、金属でできていて危なそうなのはアウトかな、曖昧で悪いね」


はっきりと、触れていけないものがわからないとなると、いつまた発動するかがわからない。それに、闇の反応だとハデスがいないとこの呪術は直せない、となると、必然的にハデスの側にいるしかないのでは?


「凛、君が考えていることはなんとなくわかる、また発動したらどうしよう、ということだね?それについては大丈夫!虎の威を借りている狐のように安心してくれ」


そう言うと、ハデスは指を二本立てる。


「僕が君にできることは二つ、一つは、凛の身に呪術が発動した場合、それに合わせて一定時間痛覚を麻痺させる呪術をかける。これで、また再発しても、気を失うようなことはない。そして二つ目、発動した呪術を解除するお薬を初回限定、無償で5粒あげよう、僕の手作りの安心安全のお薬さ!」


それはかなりありがたい、薬があれば解呪できるということは、ハデスのいない状況でも、直すことができる。常にハデスと一緒にいる必要もなくなる。それに痛みがなくなるのも、ありがたい、ここ最近頻繁に気絶を繰り返している気がするが、とりあえず、呪術発動で気絶することはなくなる。


「それは、とってもありがたいです、ありがとうございます、ちなみに、5粒使った場合、薬はいくらで売ってくれるんですか?」

「いい質問だ!その答えは無償さ!次も、その次も無償であげよう、本当はプロテイン代としていくらかお金は欲しいが、さっき、できる限り力になると言ったとこだしね、協力は惜しまないでおこう、薬を渡すために定期的に顔を出すよ、弟子にも会いたいしね」


なんか、ふざける感じがハーデースと似ているなと思い始める凛。


「とにかく今までの話をまとめておこう、君を転生させたのは僕の兄のハーデース。凛の呪いは武器と認識されるものを持つと呪術が発動、腕が黒くなった後、体全体が黒くなり死に至る、もし発動した場合は、僕が今から凛にかける呪術が発動し、痛覚が麻痺、その間に僕が作った解呪の薬を飲んでくれ。そうすればまた一時的に完治する。ここまで理解できたかな?」

「はい」

「じゃあ、ここで大事な注意事項だ、この世界に神は存在しない、勿論ハーデースや、冥界が存在することも知る者もいない、だから神や冥界などについては話してはいけない。もし、話すと・・・」


少し意味ありげにハデスが間を開ける。


「頭がおかしいと思われ、病院に連れていかれる!僕は、闇に話したことがあるんだが、その時連れていかれたよ」

「は?」


真面目に聞いて損した。ハデスは右手の手のひらを上にすると、また、魔法陣が現れ、今度は杖が出現した。闇の杖と少し似ている。


「ま、あまり言うなってことさ。よし、では、さっそく痛覚を麻痺させる呪術をかけよう、少し時間がかかるが我慢してくれ、かけおわったら、君もお腹が空いているだろう、僕とご飯にしよう。スイーツプロテインを振る舞うよ、僕の最近のオススメはハッションフルーツ味でね、結構美味しいんだ」


凛の腕に触れ、真剣な顔つきをするハデス。ハッションフルーツ?パッションフルーツのことだろうか、そんなことを考えれる程度には凛は落ち着きを取り戻していた。


ゴールデンタイム、筋トレ後30分以内のこと


ハデスは前の転生者と知り合い


ハデスと闇は仲がいいような悪いような

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