四天王ハデスと双子
そこに立つハデスと名乗る男は、凛の覚えているハデスと似た姿をしていた、違うのは羽がないことと、あとはフンドシが単調な青色の短パンに履き変わっている。それだけで、声、170センチの身長、筋肉、上半身裸は代わりなかった。
「おやおや、かなり、シリアスな感じの空気感だね!僕がレストポーズ法で筋肉を鍛えているときに、5秒しかインターバルを取らなかったときの次の日に来る筋肉痛ぐらいシリアスな空気だよ」
ニコニコとニコちゃんマークのような笑顔を浮かべるハデスは部屋に入るなり、コーラに水を混ぜうまいと言う若者のようなわけのわからないことを話した。
凛を静かに見つめていた闇と灯が扉付近のハデスの方に向き直る。
「来るのが遅いですの、筋肉変態」
「いやー、悪いね闇、ジムの帰りに弟子の灯が到着してね、話を聞いた後急いで来たんだ、今日の筋トレは大腿四頭筋を主に鍛えていたせいか、走るのが遅くなってしまったよ、疲れているとはいえ、弟子の灯に走る速さで負けてしまうとはね!灯もどんどん強くなっているってことだ!師匠としては嬉しい限りだね。」
灯はそう聞くと少しうつむきがちに笑みをこぼした。
「いちいち話が長いですの」
闇は泣いている凛の横に立つと
「ハデスは灯の師匠で、私と同じ四天王ですの、近接型の魔法を得意とする他に呪術においては最強と言っても過言ではないですの。勿論呪術の知識も最高峰ですの。凛、あなたにかかっている呪術をハデスに見てもらい、わからないなら相応の対処を取ると、私は宣言するですの」
凛が、自分は殺されるのかな、と闇の言葉の意味を辛辣に考える間も無く、闇の横に並んだハデスは一目凛を見ると、笑顔を崩さず、指を鳴らした
「大丈夫!凛と言ったね、もう安心していいよ、この呪術は知ってる。色々と詳しく調べたい、勿論エッチなことはしないから安心してくれ!」
凛に向かって、グーの手を出し、親指を突き立てる。サムズアップの手の形をとり、グッド!と掛け声を出した。
「それで、こいつの呪術はなんですの?」
「んー、僕は国語力がないから、この呪術について説明できないかな、いやー、脳筋でごめんね!」
しばし、闇はじっとハデスを見つめる。
「そうですの、あなたが話したくないなら無理に聞きませんの、次は下手な言い回しをやめて、説明したくない、と、はっきり言いなさいですの」
「いやー、さすが闇だ、はぐらかそうとしてもばれちゃうね!闇は本当に利発で利口で英明で明哲で明敏で鋭利で有智高才、幼女で美少女だね!」
「耳うるさい上に幼女は褒め言葉ではないですの、それに、あなたみたいな筋肉変態に何を言われても1ミリも嬉しくありませんの」
「相変わらず手厳しいな闇は、最近、灯とはどうだい?仲良くしてくれてるかな」
この問いを聞きつけた灯は悠の側で少し不機嫌そうにする
「灯は毎日喧嘩を売ってきますの」
「喧嘩売ってきてんのはそっちだろ」
機敏に闇の言葉に返答する灯。ハデスは灯の言葉を聞き届ける。
「そうか、相変わらず仲が良さそうで良かったよ、これなら僕も一安心だ、さて、そろそろ、凛を診てあげたい、みんな部屋を出てくれるかな?」
「言われなくてもそうするですの、立てますの?悠」
「うん、大丈夫だよ、心配してくれてありがとう闇」
悠は、そう言って立ち上がり、闇は悠のそばに移動する。
「それじゃあ、凛のことお願いします、ハデスさん」
「ああ、任せておいてよ、悠!大船に乗った気分、ってやつで待っててくれ、時間も遅いし晩ご飯を先に食べてしまって構わない、それと、今日は泊まらせてもらうよ、あとで二階の物置に布団を取りに行かせてもらう」
「わかりました」
悠はハデスに一礼すると、闇と灯を連れ部屋を後にした。
「さて、凛、まず、君の一番の疑問に答えておこう。君を転生させた人物が僕と似ていると思っているだろう?君を転生させた人物は別人だ、僕じゃない。似ている理由は、僕と君を転生させた人物が双子だからなんだ」
「へ?」
別人?同一人物じゃないのか。
「まあ、その話は後にしよう、まずは、君の腕を一時的だが解呪しよう、そしたら、涙を拭いて落ち着こうか、女性が泣くのを見るのは好きじゃないからね」
そう言うと、ハデスは凛の腕に触れた。
レストポーズ法、筋トレの一種、普通はインターバルを30秒ほどとる
コーラに水➡︎まずい
ハデスの弟子は灯、灯から見ればハデスは師匠、戦い方を教えたのもハデス、なので、灯とハデスは戦い方が似ている
ハデスはよく喋る、紳士