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トーストと呪い

羊用剪毛鋏ひつじようせんもうきょう➡︎羊の毛を刈るための専用のハサミ、剪毛が羊の毛を刈るという意味、鋏は二つの刃で挟んでものを切る道具

今朝はトーストだった、名前についてはもう、めんどくさいので聞かないことにした、初めは、濁音、半濁音の違いだし、覚えやすいと思っていたが、意外と濁音、半濁音が違うだけと言うのはある意味覚えにくい。凛のトーストだけ悠がバターを塗ってくれると、闇が、私も、私も、と頼み込み、塗ってもらったトーストを嬉しそうに頬張っていた。灯も塗ってほしそうな顔をしていたが、恥ずかしいのか言い出せずにいると、闇のトーストを塗り終わった悠が、塗ってあげよっか?と声をかけ、灯も満面の笑みで頬張っていた、しかし、今の行動から察するに、悠は自分に向けられる感情を上手く回せると言うか、人の感情を読み取る能力、そしてそれに対応する能力が高いな、こういう人が人に好かれるんだろうなぁ、まあ、そんなことはどうでも良いか。


「平和だな」

「何か言いましたの?愚民」


いや、私はこの国の国民じゃないから愚民にはなれないのでは?と思った。


「おー、闇、ドブネズミの次は、愚民か」

「こら、闇!またそんなこと言って、そろそろちゃんと名前で凛を呼びなさい」


2日目にして、闇に慣れていく自分を客観視しながら


「平和だな」


オリーブの花を連想する凛だった




・・・・・・

朝食が終わり、灯に言われて、羊の毛を刈る手伝いをする。


「よし、じゃあ、毛を刈りにいくぞ、ちなみに凛はなんで、羊の毛を刈るかわかるか?」

「昔、おじいちゃんに聞いたことがあります、今の羊は毛が生え変わらないように品種改良されているから、毛を刈らないと、夏に暑さで死んでしまうとか」


言っていて気づいた、自分の生前の世界とこの世界の常識が一緒なのか?その答えは一目瞭然だった。灯が悔しそうな顔をしていたからだ。


「なんだよ、意外と物知りじゃねぇか、知らなけりゃ俺が教えてやろうと思ってたのによ、そんなに知ってんなら、毛を刈るのもできるよな、こき使ってやるから覚悟しとけよ」


凛の額に冷や汗が流れた。


「はい、出来るだけ頑張ります」


少し不機嫌になってしまった灯、あっ!と声を上げると、何かを探し始める。


「どうしたの?灯」

「いやー、羊用剪毛鋏を置いてきちまった、羊用剪毛鋏って凛はどんなのかわかるか?家の入り口にあるから取ってきてくれねぇかな?その間に俺はブルーシート広げておくからよ」

「わかった」


凛はすぐ家に引き返すと、家のドアを開ける。野菜の収穫のためか、麦わら帽子をかぶった悠と鉢合わせた。


「あれ?凛どうしたの、灯と一緒のはずじゃ」

「羊用剪毛鋏を取ってこいと言われまして」

「そうなんだ、これのことね、はいどうぞ」


引き出しから、羊用剪毛鋏を出すと凛の右手の上に持ってくる、はい、と悠が手を離したその時だった。


「ガッ!アァッ!」


凛の右手に激痛が走った、腕に電気を流されている感覚、それに、ものすごく重い。信じられないほどだ、右腕はあっけなく手首、肘がありえない方向に曲がった、再度違う激痛が走る。あまりの痛みに視界が揺れ、意識がふらつく。


「・・・じょうぶ・・・・どうした・・・・」


悠の声が聞こえる、イベリスの花のような声色だなと凛は思った。


オリーブの花言葉は平和、知恵


イベリス➡︎白色の花を咲かせる。花言葉は心を引きつけるなど。真逆の無関心などの意味もある


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