4.わたしもか…(父ドレイク視点)
本日、2話目でございます。
よろしくお願いいたします。
クリスティーナ:お父様、ハゲないでくださいませね…
「だが、退学なんてそうそう、出来ないんじゃなかったか…?国王の印や理事会の印などが必要だっただろう?
まさか、おまえ…?!こうなることを予想して、手回ししてたのか!?」
思わず、立ち上がったわたしに、首を横に振ったアンドレークの説明は続く。
「ん~!半分正解だけど、半分は間違いだね!
ロザリーナ君は、いつか大問題を起こしそうだったから、忠告を兼ねて、本人と両親に書類の写しを突きつけてあったんだよ~。
でも、まさか、すぐ使うとは思わなかったけどねぇ?」
わたしは、また、ソファーに座りなおし、アンドレークの言っていることは、筋はあるが…と少し考えた。
「ふぅ…。アンドレークよ。違うだろう?
必ずトラブルを起こすとわかっていたから、成績順と言いつつ、一番位の高いアーサー王子殿下達と組ませ、問題児のロザリーナ嬢をさっさと処分しようとしたんだろう?
で、あのバーモント伯爵は黙って、受け入れたのか?」
「ははっ!ドレイクは解った?
これでも、半年かけて根回ししてたんだよ~♪不自然にならないよう、あの4人を組ませたりね?
でもねぇ、“学生の僕達に媚びを売っては、巧くいかなかった”あの、バーモント伯爵だからねぇ?詰めが甘いよ~?
あの、親子ね、アーサー王子殿下の婚約者の座を狙ってたんだよ?しかも、あわよくば、王太子殿下の婚約者になれるかも…って、考えてたみた~い!
だから、エリザベス君も一緒にすれば、ダンジョンで事故を装える今を逃せないでしょ?きっと、動くとは思ってたんだけど…?
ついでに、アーサー王子殿下に何かあれば、手っ取り早く処分を下せるようにと思って、一緒にしておいて、正解だった~!抜かりなく、処理できたからねぇ♪文句は言えないよ?」
アンドレークの満足顔を見て、わたしは率直な意見を言った。
「おい…。それを聞くとクリスは、関係ないじゃないか?」
「それがねぇ?クリストファー君、バーモント伯爵親子の企みに気づいていたみたいでね…。エリザベス君を、さりげなく助けていたり、アーサー君へのアプローチをするりとかわしたりしてたんだよねぇ?
さすがに今回は、アーサー君が一緒だけど、ダンジョンは危険すぎるから何もないかも?とは思っていたようだけど…。
やっぱり、きみの息子は、勘が良いというか、優しいというか…。あ、もう、娘かな?」
と言ったアンドレークは、裏表のない、とってもニコニコな顔になっていた。その顔を見ると、わたしは深いため息が出た。
「はぁ…。クリストファーは、おまえに気に入られていたのか…。それは災難だな。」
わたしは、今だ目覚めぬクリストファーを、可哀想だと心底思った。
「ちなみに、半分間違いの部分はねぇ、クリストファー君が呪いにかかってしまった、だね~。何かしら仕掛けるとは思ったけど…。
『ロザリーナ君が呪いを探しあて、発動させようとした』のは、予想範囲外だし、その呪いが性転換だとは思わなかったよ?
まぁ、説明は、こんなところかな?他に、わからないことある?」
「いや……。ふぅぅぅ…。」
わたしは、アンドレークの説明が終わって、一番大きなため息をついた…。
気持ちの整理をするため、少しの時間、深くソファーにもたれ掛かっていたわたしに、アンドレークは手をパンッと叩いた。
「さて!それじゃ~、今後の事を、説明させてもらうよ?」
「どうせ、おまえの事だ…。いろいろ先手を打っておるのだろうよ?」
ダンジョンでの事後処理は終わったので、今度はクリストファーの対応策案でもあるのだろうと、アンドレークを促した。
頷いたアンドレークは、指を折りながら、物凄い事を説明をしていった。
「クリストファー君は、女の子になっちゃうんだからねぇ?
あ~ぁ。男の子のままだったら、うちの娘の婿にって思ってたんだよね~。勿体無いよねぇ?
それに~、男のクリス君はイリサ様にそっくりだったから、女のクリスちゃんもきっと、綺麗でスタイルが良さそうだよねぇ?
うん、名前は単純に、クリスティーヌ?クリスティーナ?クリスティア?どれが良いかな♪
それより、クリスちゃんはこのまま、狼の寝床である男子寮に住まわせておけないからねぇ、女子寮への入寮は手配しておく~!
ドレイクは、侍女や小物類の用意をしておいて~?連絡くれれば、荷運び出来るようにしておくねぇ。
制服だって、頼んでおかないとっ!あ、男装のご令嬢もそそられて、良いかもね~?
うん、制服が仕上がるまでを準備期間として、休んでて良いよ~。
その間に、令嬢のあれこれを叩き込んでね?復帰後に、軽く試験するから、合格点までいけば、単位をあげる~!」
アンドレークの娘婿にって、凄いことをさらっと言っている事に突っ込みたいが…。
だが、話している時間が惜しくなってきたので、アンドレークの決定にしたがった方が、早そうな気がしてきた。
「了承した。クリストファーには、目覚め次第、説明する。あとは本人に頑張ってもらうしか、ないがな…。」
「クリスちゃんは、負けん気強いからねぇ?大丈夫だと思うよ~?
あ、そうだ!アーサー君は、どうするか決めてるの?」
「まだだ…。性転換の呪いだと、アーサー王子殿下にはしゃべってないだろうな?」
「僕がそんなことすると思う~?アーサー君も大事な友達の子だけどね?可愛い可愛いクリスちゃんを、売るようなことはしないよぉ~。」
「きっと、本人が目覚めていない間に、アッサム様だって、いろいろ決まらせはしないだろう。」
「フフッ。もし、困ったことがあったら、何でも言ってね~!」
そう締めくくった言葉を言ったアンドレークの笑顔を見ると、気に入られていたのはわたしもか…と、観念した気持ちになってしまったのは、仕方がないと思う。
朝、アンドレークとの話が終わり次第、アッサム様へ報告に行くと知らせを出してあった。
王宮へと向かうため、わたしは学園長室から転移の間へ移動する間に、アッサム様へどう説明するか考えながら、歩いていった…。
読んでいただけて、ありがとうございました。
次は~!誰にしましょうか…?