表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんで、そうなるんだっ!?  作者: 利川沙夜子
2/6

2.なんということだっ!(父ドレイク視点)

よろしくお願いいたします。


クリスティーナ:お父様、呆けている場合ではございませんわ!

 わたしは、アッサム様から渡された転移の札で、屋敷の転移の間へ戻り、執事を呼ぶための鈴を鳴らし、すぐに廊下へ出た。

 クリストファーは、学園から転移してきた後、寝室へと運ばれただろう。

 きっと、寝室に皆もいるだろうと思い、急いで向かっている途中で、執事と鉢合わせした。

 「旦那様!お迎えに上がらず、申し訳ございません。」

 「構わん。それで、クリストファーは?こちらに転移させたのだろう?」

 わたしは状況を把握したかったので、執事と合流した後、移動しながら、説明を促した。

 「アドルフ様から連絡を頂き、私と他の者とでお迎えに。校医とアドルフ様は、『まだ呪いの種類は解らないが、命に別状はない。ただ、これから容態が変わるだろうから、目を離すな』とおっしゃっていました。」

 執事の説明がちょうど終わったところで、クリストファーの寝室に着いた。わたしは、ドアを開ける前に執事へ指示をだした。

 「そうか…。とりあえず、何かあっても対応出来るよう、医師を呼び寄せ、客間にでも待機していてもらおう。あと、アーサー王子殿下かエリザベス嬢に、ダンジョンでの状況を説明してくれるよう、連絡を。あとは、アドルフが帰るのを待つしかあるまい。」

 「畏まりました。」

 執事が下がったのを横目で見つつ、わたしはドアをノックした。



 ドアを開けたのは、妻のイリサだった。

 「ドレイク…。おかえりなさい。仕事は大丈夫なのですか?」

 イリサは、わたしが入室出来るよう、脇に避けながら、不安な顔をしながら話しかけてきた。

 「大丈夫だ。それより、クリストファーはどうだ?」

 寝室へ入ったあと、イリサをエスコートし、クリストファーの傍へ行きながら、わたしはイリサに聞いた。

 「今のところ、ただ眠っているだけよ。本当に、呪いにかけられたのかしらって思うくらいだわ。」

 「そうか…。ダンジョンで呪いが発動し、かけられてしまった場合、意識が戻るのに1週間近くかかると言われているからな…。」

 わたしたちは、ベッドの脇に置かれた長椅子に座り、安らかな寝息をたてているクリストファーを見ながら、話を続けた。

 「えぇ…。寝ている間、呪いを体に馴染ませるために時間がかかると…。アドルフからは『クリストファーを見ただけでは、どんな呪いか解らない。解読し判明したら、帰る。』と、使いの者に言ったそうよ。」

 イリサは話しをしながら、わたしの肩にもたれ掛かかってきた。

 わたしは、左手は手を握り、右手を肩にまわし、安心させるよう、イリサを抱き寄せた。

 「あぁ…とりあえず、アドルフが戻らねば、こちらも対処のしようもないしな…。」

 「そうね…。どんな呪いなのでしょう?事例としては、髪の毛や瞳の色が変わるとかがあったわね…?」

 わたしは、今までの被害事例を思い出しながら、イリサに返事をした。

 「まぁ…とても、うん…様々だ。あまり、今後のクリスにとって、障害にならない呪いだといいのだがな…」



 眠っているクリストファーを見ながら、イリサと様々な話をし、アドルフの到着を待った。

 「父上、遅くなりました。」

 そう言いながら、部屋へ入ってきたアドルフに、イリサは詰め寄った。

 「アドルフ、おかえりなさい。それで?クリストファーにかけられた呪いは何なの?!」

 「は、母上、落ち着いてください。ただの、性転換の呪いなだけでした。やはり、初心者向けのダンジョンなだけあって、変な呪いではなかったようです。」

 そう、何でもないような言い方のアドルフに対して、わたしたちは驚いてしまった。

 「せ、性転換だとっ?!では、クリスが女になるのか!?なんといことだっ!!」

 「まぁ!?クリスが…?クリスは受け入れられるのかしら…」

 言葉を失うわたしたちに、アドルフは言った。

 「わかりません…。ただ、呪いをかけられたのは事実ですし、解くことはできないのですから、受け入れるしかないですよ、母上。それに、父上。女になるクリスの為に、いろいろと準備が必要かと…。」

 確かに…。戸籍の変更や、学園へも話をつけねばなるまい。あとは、元凶となったバーモント伯爵令嬢へも…。

 「そうだったな。いろいろと対処せねばならない。とにかく、クリスは1週間ほど目覚めぬ。その間、侍女をつけ、交代でみていてもらう。わたしは1度、学園へ行ってくる。」

 「畏まりました。わたくしは、クリスの身の回りの物の準備をしておきますわ。女になり、衣服などが一番困りますもの。ネグリジェは既製品で済ませますが、ドレスは起きてからしたためましょう♪でも…この背丈のまま、女になるのかしら?」

 と言いながら、イリサは手を頬に宛てながら、少しだけ嬉しそうにしていた。

 「イリサ…。すぐ要りようなものだけを手配すれば良い。目覚めても、すぐには起きれまい。それに、呪いが馴染むまでは、どのような姿になるかは、わからんのだから。」

 「そうなのだけど…。呪いにかかってしまったものは、どうしようもないのだとしたら…。クリスが状況を楽しめるようにしておきたいのですわ。それに、わたくし、娘が欲しかったものですから、嬉しくなるのは仕方ありません。」

 少し喜んでいたイリサに注意をしたが、反対に言い返されてしまった。

読んでいただき、ありがとうございました。

クリスティーナ:次は、お父様の腕の見せ所ですわね!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ