第7話〜城へ潜入〜
〜夜中〜
「おい、寝すぎだぞ! アルナ!」
「え〜? もう朝〜?」
「違う!寝る前に言っただろ!城の裏を見に行くんだ」
「そ、そうだったわね」
外に出ると身体を震えさせてるギルとへっちゃらな様子のターリットが居た
「さ、ささ、寒い!」
「そうですか〜? あ! きたみたいですよー」
「ごめんねー、遅くなって! で、なんでターリットは平気なの?」
「ファルドっていう魔法をかけたんですよ〜」
「ずるいですよ! みんなにかけてください!」
「はいはーい」
──ターリットはファルドを唱えた!
「おぉ! あったかーい!」
「本当は〜、炎の攻撃とか防ぐ魔法なんですけどー。なんか魔法をかけるとかけられた人の身体がポカポカするんですよー」
「ありがとう、ターリット。じゃあ、まず街を出て城の裏に回るぞ」
〜城の裏側〜
「城の裏だな」
「でも、魔物の姿どころか入れそうな所は⋯⋯ん?」
「どうした?アルナ」
「ここの壁、魔法がかかってる」
「ということは、魔物は普通の壁を魔法で補強したということか」
「ターリット、壊せそう?」
「んー、無理そうですねー。壊して侵入してたみたいですけど、壁一面を高度な魔法で攻撃とか受け付けない様にされてるみたいー」
「ねぇ!ここに穴が空いてるよ!」
ギルが示したのは人が通れるぐらいの大きさをした通気口のような穴だった
「ここから、空気が流れてくるよ!」
「多分、その穴は城の中に繋がっているんだろう」
「じゃあ、ここから入れるね!」
「なら、俺が先頭になるから後ろは適当についてこい」
アリシアが先頭に、ギル、アルナ、ターリットと順番に通気口に入っていく
「ふむ、通気口なら整備もされてるしつっかえる事もないだろう」
「でも、城のどこに繋がってるんでしょう?」
「さすがにそこまでは分からん、だが奥には明かりが見える」
ギルはアリシアの尻で見えないが、アリシアが言うには間違いではないだろう
「よし、もう少し⋯⋯くっ!」
アリシアは油断していた、自分の尻を遮るような箇所は無いと──
「これは、まさか!」
前進していたアリシアの動きが止まる
「ん? どうしたんです? アリシアさん」
「クソッ!なんだこの配管は!尻が通らないではないか!」
この城の通気口には運悪く水道管が縦に2つ。左と右に通気口内の天井から下に伸びていた
その配管のせいでアリシアの尻がつっかえてしまう狭さになっていた
「このぉ!抜けねぇー!」
ギルの目の前にあるアリシアの尻は『あの時』と同じく、上下左右に振り、前進後退しようとしていたが全く動けなかった──
「すまない、ギル。後退してくれ」
「その必要はないよ!アリシアさん!」
アリシアはギルの返事に違和感を覚える
「ん?なんか前にも似たようなことが⋯⋯」
アリシアは謎のデジャヴ感を思い出そうとするが少し手遅れだった
「アリシアさん! 進めー!」
ズドム!
「──あぎゃああああああ!!」
「やったー!これで先に進めますよ!」
アリシアは猛スピードで進んでいく
ギルの一撃はやはり強力だった、何度もカンチョーされているアリシアだがギルの一撃だけはやはり叫ぶほど痛いらしい
そして、アリシアの尻がつっかえていた水道管は凹んでいた
ガシャーン
遠くから謎の音が聞こえてくるがアリシアを除いた3人は前進する
「アリシア、大丈夫かしら?」
「アルナさーん、あとで回復させてあげて下さいねー」
ギルの後ろからアリシアを心配するアルナ達の声が聞こえてくる
「あ、出口だ」
穴から出ると壁に顔から激突したアリシアがいる。壁には亀裂が入り、穴の近くには通気口を塞いでいたであろう鉄格子が吹っ飛ばされていた
「鉄格子を吹っ飛ばしたのね⋯⋯」
アルナはガシャーンという謎の音の正体が分かった
「うぐぅ、顔とケツが痛ぇ」
「大丈夫ですか?」
「『大丈夫ですか?』じゃねえ!またやりやがったな!」
アリシアはギルにげんこつを食らわす
「だって!目の前で上下左右にお尻を振られたらカンチョーだってしたくなるでしょう!」
「お前だけだ!」
アリシアはギルの謎の逆ギレに突っ込む
「二人共静かにしなさい!」
「す、すまない」
「すみません」
アルナは機嫌が斜めな二人を静かにさせる
「もう!気づかれたらどうするの!」
「あのーすみませーん、そこに誰かいるアルかー?」
声がする
「見つかった!?」
「ん?アルって何があるんだ?」
「違いますよ、語尾になんかつけるタイプの人ですよ」
「おーい、助けてくれアルー」
アルアル言ってる人に助けを求められる
「よく見たらここ牢屋ですね」
「じゃあ、捕まっちゃった女の人の声なの?」
「語尾にアルって付くとなんか変な感じだな」
3人は誰かの声について話しているとターリットが呼びにくる
「こっちに女の人が居ますよー」
「わかった!すぐに行く!」
タタタッ──
牢屋の中に居たのは一人の女性だった
「もしかして、助けてくれるアルかー!」
「あぁ、そうだ。しかし何だ?その格好」
「武闘着アルよー、武闘家なら誰でも着てるアル」
女性は髪を右と左に玉の様に丸めて邪魔にならない様にしてある
武闘着には左胸に竜と書かれた文字に背中の方には大きな竜の絵が描かれていた
「じゃあ、今鍵開けるねー。『ヌスト!』」
──ターリットはヌストを唱えた!
カチャ
「おぉ! 開いたアル! ありがとうアル!」
「なら、あとは隙をついて逃げな!」
アリシア達は王の元へ向かおうとすると呼び止められる
「待つアル! 助けられておいて何も恩を返さないのは嫌アル!」
「なら、どうすんだ?」
アリシアの問いに彼女は答える
「どうするってついてくアル!」
彼女の答えに驚く
「何!? ついてくる!?」
「ついてくるって言っても戦えるの?」
アルナとアリシアは驚きを隠せない
「大丈夫アル! 武闘家ってさっき言ったアル!」
「あ、そうか」
そう、彼女は武闘家だ。素手で戦う素早い戦士、だが装備は重い物を着れないため防御力が劣るがそのかわり素早さが高いため、攻撃はだいたい避ける
「じゃあついてくアルヨ! ワタシはフェイ・リンって言うネ!リンって呼ぶアル! よろしくアル!」
「何とまあ元気のよろしいことで」
アリシアは自己紹介でも元気いっぱいな彼女に疲れる
「疲れてる場合じゃないでしょ、アリシア」
「あぁ、そうだったな。早く王に会わなければ」
「この城ならワタシが案内するネ! 任せるアル」
「分かるのか?」
「以前、何度も足を運んだアル。だいたい覚えたアル、こっちネ」
「助かるよ、リン」
4人はリンについていくことにする
「全く、この城に何があるって言うんだ」
アリシアは城に何があるのか気になっていた
5人は城の中を探索する──
通気口内で動けない女の人にカンチョーを食らわすのって自分的には好きです(唐突)
アリシアはカンチョー要員だな!
武闘家は自分のイメージは語尾に『アル』や『○○ネ』とか、たびたびセリフがカタカナになるイメージです。






