第6話〜突然変わった王様〜
〜翌朝〜
「うーん、よく寝た! やっぱり都会の宿屋はぐっすり眠れるね!」
「私もー初めてなのでー、久々にゆっくり出来ましたー」
「遅いぞ、お前たち。もう昼だぞ」
アルナとターリットが目を覚ますとアリシアがちょうど起こしに来た
「何よ、これからなんかあるわけ?」
「あぁ、ドルテス城の王に勇者が見つかったと報告しなければな、出来れば物資も貰いたいところだ」
魔王を倒すにはこの先険しい道のりを歩んでいくため食料などを援助してもらう必要があった
「ふーん、じゃああんたとギルで王様に挨拶してきなさいよ」
「はぁっ?」
「あたし眠いからパス」
「じゃあ、ターリットは?」
「私はー、お家に戻りますー」
「なんで!?」
「戸締りの確認ですよー」
「そ、そうか」
アルナとターリットは適当な理由で謁見を拒否した
「よし、ギル!いくぞ」
「アルナさんとターリットさんは?」
「行かないってさ、まったくマイペースな奴らだよ」
〜街中〜
「街の中は結構ガヤガヤしてますね」
「こんな人混みだしな、特に不思議なことでもない」
「誰かがイタズラとかしても分からなそうですね」
そんな話をしている2人の背後でヒソヒソ話をしている子供がいた──
「おい、あの姉ちゃんすごい格好だな」ヒソヒソ
「あぁ、お尻とかほとんど丸見えだな」ヒソヒソ
「どんなイタズラする?尻叩き?」ヒソヒソ
「いや、あんなでかい尻で俺たちが背後にいるって決まったらアレしかないだろ?」ヒソヒソ
「あー、アレか」ヒソヒソ
どうやらアリシアをターゲットにしたらしい
「ん? ギル、何か言ったか?」
「いえ?何も。こんな人混みだから空耳じゃないですか?」
「ならいいが⋯⋯」
街中で油断しているアリシアの背後に迫る2人の子供
「よし、まず俺から行くぜ!」ヒソヒソ
「やったれ!」ヒソヒソ
「カンチョー!」
ズブ!
「うぐぅ!」
イタズラ小僧のカンチョー攻撃がヒットする
「だ、大丈夫ですか?アリシアさん」
「あ、あぁなんとかな」
お尻を抑え中腰になるアリシアの後ろにもう1人のイタズラ小僧がカンチョーの構えを取る
「今度は俺だー!うりゃー!」
ズブ!
「ひぐぅ!」
二連続のカンチョーでヨロヨロと壁に寄りかかる
「へっへーんだ!イタズラ成功だぜ!」
「折角だから匂い嗅ごうぜ!」
2人のイタズラ小僧はアリシアの尻の穴に刺した指先の匂いを嗅ぐ
「うわ!くっせー!なんだこの匂い!」
「女の人でもやっぱり匂うんだね!」
好き勝手に言われるアリシアも動かないのでイタズラ小僧達を睨みつける
「き、きさまらー!」
「ヤバイ!逃げるぞ!」
「あ!待ってよー」
アリシアに睨まれ怖くなったイタズラ小僧達は人混みの中に消えていった
「アリシアさん動けそうですか?」
「し、心配するな。まだお前にやられた奴よりは弱かった」
「そ、そうですか」
ギルはアリシアの尻を心配しつつも、城に到着した
「おい!そこのお前達!ここに何の用だ!」
城に着くなり大きな声で用を訪ねる兵士
「私はアルエ王から勇者の旅に同行するように命じられたアリシアだ、魔王を倒すべくドルテス王に物資を頼めないか聞きに来たのだが」
「こ、こんにちは」
用を伝えたアリシアだったが
「今、王様は誰にも会いたくないと仰っておられる
たとえ勇者であってもだ!」
「ドルテス王に何かあったんですか?」
「私たちにも、何故誰にも会いたくないのか申されないのだ。すまないが、力にはなれない」
「そ、そうですか」
アリシア達が引き返そうとすると
「一応忠告しておくが、あまりウロチョロしているとお前達を牢屋に入れなければならないからな! 少し前に、王に会いに来た女がしつこく訪ねてくるものだから牢屋に入れることになってしまった」
「以前はそんなことはしなかったはずだが?」
「最近になって、法を改めるとか言い出してこの有様だよ。まったく何を考えているのやら、昔の王様はどこにいったんだろうな」
兵士は軽い冗談交じりに王をの悪口を叩く
アリシアは会話を済ますとギルと共に宿屋にいるアルナ達の元へ向かった
「で?どうだったの?」
「ダメだ、王は誰にも会いたくないらしい」
「それは、不思議ですねー」
「ん? ターリット戻っていたのか」
「ワープしてきましたからー」
「おぉ、そうか。で、何が不思議なんだ?」
「それはですねー」
ターリットの話は結構続いた
「つまり、以前の王は人を拒む事は絶対にしないという事だな?」
「えーそうですよー」
アリシアが考える
「街の人に話を聞いてみる必要があるな」
「牢屋に入れられた女の人も助けなくちゃ!」
「え? そうなの?」
「うん、兵士のおじさんが言ってた」
アルナは、そんな人が以前は良い人なのか信じられなかった
「よし! まずは聞き込みだ! 手分けして情報を集めるぞ。ギルは俺と、アルナはターリットといっに行動しろ」
「分かりましたー」
「はいはい、分かりましたー」
この後、聞き込みをしていき1時間が経過した──
「どうだった? そっちは」
「手がかりは、王様がおかしくなるちょっと前にー、城の裏から魔物が出ていくのを見た人がいましたー」
「そっちもか、俺たちの方も同じ事を言ってきた」
「何かあるわね、あの城」
「表からは入れない、となると」
「街の人が魔物を見たっていう城の裏だね」
「あぁ、だがこの時間では兵士達も沢山いるからな。行動するのは夜の方が良いだろう」
「賛成ー!じゃあ私は疲れたから宿屋で寝てるね!」
「まったく、お前ってやつは」
「身体を休ませないと、何かあった時大変だからねー」
「お前は休みすぎなんだって!」
アルナはルンルンと宿屋に入っていき、アリシアは呆れていた──
カンチョーされるのはアリシアが多い気がするというか、女戦士はギャグに飲み込まれると結構味が出ますね!
少し忙しくなるので投稿スピードが遅くなるかもです