第4話〜魔女の森〜
「ふわぁ〜、よく寝た」
ギルが目をこすりながら起き上がる
「お?やっと起きたのね」
「おはようございます! アルナさん」
僕が寝たあとにここに来て一緒に泊まったであろうアルナが居た
「アリシアは起きてないみたいね、悪いけど起こしてくれる? 私、外で待ってるから」
「分かりました!」
アルナはニコッと笑うと部屋を出て行った
「アリシアさん! 起きてください! いつまで寝てるんです?」
「うるせぇなぁ、もう少し寝させてくれよ⋯⋯」
アリシアは身体ごと回転させ、うつ伏せになる
「そうですか、それなら僕にも考えがあります!」
ギルはうつ伏せになって露わになったアリシアの尻を見る
──ギルはカンチョーの構えを取る
「へぇ〜? 一体それはどんな考えなんだ?」
「こうするんですよ! えい!」
ズブ!
「いったぁぁぁぁ!」
ギルの考えはアリシアにカンチョーをすることだった
「ギル! 痛えじゃねぇか!」
「でも、目は覚めたでしょう? アルナさんが外で待ってますよ」
ギルはアリシアにそう告げると部屋を出て行く
「目覚まし代わりにカンチョーされるとは思わなかったぜ⋯⋯」
カンチョーの痛みでアリシアは少しの間動けなかった
ギルとアルナが外でしばらく待っているとアリシアが宿屋から出てきた
「アリシアいつまで寝てんのよ! 魔王退治に誘ったのアンタでしょ!」
アルナは待たされたことに腹を立てている
「るせぇ! 寝起きにコイツにカンチョーされたからしばらく動けなかったんだ!」
アリシアもギルのおかげで腹を立てている
「ぷぷぷっ! いい気味ね! 昨日私にあんなことしたバチが当たったのよ」
「なんだと!」
「まぁまぁ2人とも喧嘩はその辺に⋯⋯」
ギルの言葉でひとまず喧嘩は止まる
「次はどこに行くんです?」
「ここから東にある森を抜けて、ドルテス城に向かう」
アリシアが行き先をを教える
「だがその森には魔女がいるだとか、気をつけて進まないと侵入者を迷子にさせ、二度と出られなくさせる森だとかっていう『噂』が持ちきりだ」
アリシアはアルナを見る
「ま!一応、僧侶であるコイツがいれば問題はねぇだろ!」
「『一応』は余計よ!」
アルナはアリシアの余計な一言に怒る
「じゃあ、出発ですね! これからよろしくおねがいします! アルナさん!」
「えぇ、よろしく。小さな勇者さん」
三人はルビの街を後にした
20分後
「やっと、森に着いたぜ!」
「歩き疲れて足が痛〜い、アリシアー、休まなーい?」
「お前は休みすぎだ! さっきも休んでたろ!」
「私はアンタと違って体力ないのよ! 僧侶なんだから!」
僧侶という職業を盾に休ませろとアルナは駄々をこねる
「まったく、根性ねぇな〜。ギル、お前は大丈夫か?」
「大丈夫です!」
「ねぇ、私とギルとの態度違くない?」
ギルの元気いっぱいな言葉の後に態度が違うと文句を言うアルナ
「当たり前だ、ギルは勇者であるがまだまだ子供だ。心配しない方がおかしいだろ?」
「あ〜もぉ〜!分かったわよ!歩けばいいんでしょ!」
アルナは文句を言いながら森の中へ入っていく
「──口じゃなくて足を動かせよ!」
アリシアはアルナに向かいそう叫ぶとアルナの後をついていく、その後ろをギルもついていく
三人は森の中を歩いていると小屋が見えてくる
「こんな森の中に小屋があるなんて妙だな」
「誰か住んでるのかしら?」
恐る恐る近づきドアをノックする
コンコン
「誰か居ませんかー?」
すると、中から声が聞こえてきた
「はーい? どなたですかー?」
おっとりした声だ
「気をつけろ?噂に聞く魔女かも知れん」
アリシアが身構えるとドアが開く
ガチャ
「どちらさまー?」
中から出てきたのは魔女ではなく『普通の』女の魔法使いだった
「あんれまー! 旅の人ですかー? 珍しいですねー、こんなところに来るなんてー」
細目の魔法使いはおっとりした声で話しかけてくる
「失礼ですが、あなたは?」
アリシアが質問する
「私はー、ターリットって言いますー、この森で近くにある遺跡を調査しながら、こうして住んでるわけですー」
「調査? その遺跡に何かあんの?」
「はいー、なんでも勇者様の装備である風のブーツがあるとかないとかー」
ターリットは遺跡についての説明を終えるとギルの腕の装備に気づく
「あらー? もしかしてー、その子の腕に装備してる物って『炎のガントレット』ってやつですかー?」
「そ、そうですけど」
ギルが答えるとターリットは驚く
「えー!? じゃあもしかしてこの子が勇者様なのー!?
若いのに苦労してるねー」
ターリットはギルの頭を撫でる
「では早速だがターリットさん、その遺跡とやらにご案内願いたい」
「では、私について来てくださーい、後、私のことは『ターリット』って呼び捨てで呼んでねー?」
「わ、分かった。ターリット、よろしく頼む」
ターリットに先導された先は真ん中に穴が空いた壁だった
「ここですー」
「本当に?見た感じ遺跡みたいなものはなさそうだけれど?」
「穴の中を覗いてみてくださーい」
──穴の中を覗くと奥へ続く道があった
「んで、どうやって中に入れば?」
「こうやってー、穴から入ればー⋯⋯あらー?」
ターリットは穴の中に入ろうとすると途中で止まる
「ど、どうしたの?」
「あははは、つっかえちゃいましたー。前は通れたのにー」
ターリットは予想だにしない出来事で戸惑う
「助けてー」
「しょうがないな、ギル?いつもの」
「任せてよ!」
掌を合わせターリットの尻に人差し指を向ける
壁の中から
「あのー? 変なことだけはしないでねー?」
と聞こえてきたが、ギルはカンチョー出来る嬉しさで聞こえてはいなかった
「秘技!三年殺し!」
ズンッ!
「あうーーーー!?」
ターリットの尻に衝撃が伝わる
「⋯⋯ちょっと待って」
少しするとターリットが自力で穴から抜け出すと
「ダメなのだー、そんな事、女性にしたらダメなのだー」
ターリットは怒っているのか分からないトーンでギルを叱る
「ダメって事が分かったかなー?」
「分かったよ!」
「本当かなー?」
と、その時
ガラガラガラッ!
先程の衝撃が壁に伝わり壁が崩れた
「すごいのだー!ギルくん、ありがとうなのだー」
ターリットは立ち直るのが早かった
「さて、それじゃあ進むか」
アリシアが歩き出す
「2人共ー?行きますよー?」
ターリットもアリシアについていく
アルナがギルにこんな事を聞く
「ね、ねぇアンタさ。さっきの技って何?カンチョーとは違うの?」
「えーと、名前がかっこいいのとちょっと威力がカンチョーより高い以外ただのカンチョーだよ?」
「あ、そうなの。まぁいいわ、私達も行きましょ?」
「うん!」
アルナはギルの事をやっぱり子供だなぁ、と思った
このままだと、「この小説ドラ○エの二次創作じゃねぇか!」とか言われそう
仲間はあと1人増えます
時間あったらRPGツクールでこのゲーム作りたいなー