女帝は恋の仕方がわからない
誤字脱字がある可能性があります。
終わり方が中途半端になってしまっています。
それでもいいという方のみ読んでいただけると嬉しいです。
キャッロッテ帝国12代目皇帝
ヴィクトワール・キャッロッテは
帝国初の女性の皇帝だ。
10代目皇帝スティーブン・キャッロッテの娘で
11代目皇帝アイザック・キャッロッテの妹だ。
父と兄を相次いで亡くし、本来は回ってくるはずのない王位を継いでから3年がたった。
ワガママで自分勝手な姫君と評価されたヴィクトワールの性格は今もその性格が変わることはない。
その証拠といってはなんだがヴィクトワールには未だに王配がいない。
正確にいうと後宮はあるし、そこに男性もいる。
しかし、その男性たちの中から公式に認められる伴侶を選ばずにいた。
ようやく国が安定してきたので今度は後継ぎの問題となり今日の議会でも追及されている。
「陛下!いい加減に正式な伴侶をお決めください!このままでは王家の血が途絶えてしまいます」
大臣の1人が大声で主張する。
「そうですよ」
「我々も国民も皆、陛下の御子を楽しみにしているのですよ」
大臣の主張を擁護するかのようにあちらこちらから、声が上がる。
「ヴィクトリアがいるのだから、血が途絶えることはないわよ」
ヴィクトワールは心底めんどくさそうな顔をしながら言う。
ヴィクトリアとは今年10歳になる妹だ。
兄には子はいなかったため今王家直系の血を持つのは、ヴィクトワールとヴィクトリアの2人だけになる。
「ヴィクトリア様はまだ幼いではありませんか!
婚姻などまだまだ先ですが、陛下は違います!」
「そうですよ!今年でもう21歳ですよ陛下は!後宮にも見目麗しい者どもを揃えております!一体何が不満なんですか!」
大臣たちの主張は止まらない。
だが、そんなに焦る必要性を感じていないヴィクトワールの考え方も変わらない。
「まだ21と言いなさい。ようやく国が安定したのに余が直ぐに亡くなっては元の子もないわよ。出産は命がけなのよ」
周りを見渡しながら呆れたような表情してヴィクトワールは言う。
「しかし!」
大臣が立ち上がり話を続けようとするがヴィクトワールはも立ち上がり
「あーもー分かったわよ、考えてみるわ。だから今日はこれでおしまい。では皆また来週」
そう言い議会室から出ていった。
その後は執務をおこない、剣術の稽古をして過ごす。
ヴィクトワールにとっては執務や稽古はどうということはない。
しかし、晩餐だけは別だった。
晩餐には7人の夫たちがくるため一緒に食べることになる。
これが苦痛で仕方ない。
その時間は直ぐにやってくる。
執務を終えて食事室に移動するとそこにはすでに4人はそれぞれの席に座っていた。
「陛下、執務お疲れ様でした」
部屋に入って直ぐに声をかけてきたのは公爵家の嫡男であるエティエンヌだ。
「ヴィク、お疲れー」
これは隣国の第3王子イーサン。
「お疲れ様です陛下」
伯爵家三男ルイス。
「ヴィクトワール様お疲れ様です」
宮廷画家のロレンツッオ。
あと3人は一緒に部屋に入って来た。
私の席の椅子を引くのヴィクトワールの従者であるエイデン。
帝国軍第3部隊長アンドリューと近衛兵リカルドはヴィクトワールが席に着いたのを確認してから席に着く。
エイデンが席に着いたら晩餐の始まりだ。
最初は全員黙って食べているがこの沈黙に耐えられないのが1人いる。
「ヴィク〜、今日後継ぎ問題で議会に怒られたって本当〜?」
隣国の第3王子イーサンだ。
「おい、陛下に失礼だぞ」
エティエンヌが注意する。
「女性に直接そう言うことを言うのは感心しませんね。ましてや我々は立場的にはただの側室ですよ」
諌めるルイス。
「でも、陛下の御子なら可愛いでしょね」
ロレンツッオは1人話の趣旨がずれている。
「怒られたと言うか苦言を呈されたわ。あなた方には言っておくけど、私はまだ子を産むつもりはありませんわよ」
ヴィクトワールは切り捨てる。
「「「「「「「……………」」」」」」」
無言になる夫たち。
「じゃあ俺は全力で陛下を口説き落としてみせましょう」
即座に立ち直りリカルド言う。
「それが陛下のご意思なら従います」
従順なのはアンドリュー。
エイデンはずっと無言だ。
「まぁ〜今はまだそれで通るけどそろそろ限界だと俺は思うよ〜」
理解しているように装うのイーサン。
「しかし、陛下それでは議会も民も納得しません」
エティエンヌは反対する。
ルイスは困ったように笑っている。
「ご馳走さま。じゃあ皆さんおやすみなさい」
ヴィクトワールはそう言うと部屋に下がってる。
その後ろに従者のエイデンはついていった。
後宮にある自室に戻りドレスを脱ぎ捨てお風呂に向かう。
その後ろからついてくるエイデンはドレスなどを回収するようにメイドたちに指示する。
メイドたちに体を洗ってもらい乳白色の湯に浸かると、見計らったかのようにエイデンがお風呂場に入ってくる。
「ヴィクトワール様」
「なに?」
「本当に御子をお産みにならないのですか?」
無表情のままエイデンは聞いてくる。
「はぁ、誤解しているようね。子供産むつもりはあるわよ。ただ今じゃないと思っただけよ」
ヴィクトワールは天井を見上げながら言う。
エイデンはヴィクトワールの浴槽からでている手を握りしめて言う。
「俺はヴィクトワールのためだけに生きている。お前の正室の座を誰にも譲るつもりはない」
そう言いながら手にキスをする。
「貴方も物好きね。お風呂に入っているときやらなくてもいいじゃない」
思わず苦笑いしてしまうヴィクトワール。
「ヴィクトワールは風呂に入ってる時が素直だからな」
他人の前では常に無表情なエイデンがゆるく笑う。
幼い時見た目が気に入り下町の孤児院から拾ってきたエイデンは、外見だけなら間違いなく一番好みだ。そんな顔で見つめられるとどこか強く出れないヴィクトワールがいる。
あれから一週間たった。
夫たちは前にもまして口説いてくるようになった。
エティエンヌやルイスに、アンドリューやリカルドは元々貴族であり、家の期待も背負っている彼らは正室の座を射止めんと気合が入っている。
それに対してロレンツッオはマイペースだし、エイデンは常にヴィクトワールのそばにいるためどこか余裕だ。
イーサンは外堀から埋める作戦らしく隣国の王子であることを活かして、外交に力を入れている。
そんな中である1人の女性が城に参上してきた。
アイリン・ミーベルハー伯爵令嬢だ。
伯爵家の令嬢でありながら城に仕えることとなるため、事前に挨拶しにやって来たのだ。
謁見の間にはすでにアイリンを始め、書記官などが揃っていた。
謁見の間と皇帝の執務室をつなぐ扉が開くと8人が入って来た。謁見の間にいた全員が一斉に最上級の礼をとる。
ヴィクトワールが玉座に座るとその両側に7人の側室たちが並んだ。
「面をあげなさい」
ヴィクトワールが言うとアイリンは一瞬ビクッと体を震わせるが持ち直して玉座をみる。
「発言を許すわ」
ヴィクトワールの言葉を聞いてアイリンは話し始める。
「ミーベルハー伯爵が娘、アイリン・ミーベルハーと申します。来週より城に奉公にくることを報告しに参りました」
まっすぐ少し潤ませた瞳でヴィクトワールたちの方を見ていた。
「そうなの、城では伯爵家の令嬢として扱うことはないから心得て来なさい」
表情を変化させずアイリンを見ながらヴィクトワールは言う。
しかし、この時ヴィクトワールには違和感があった。
アイリンは私を見ていない、と言うものだった。
彼女が見ているのは7人の側室たちでその瞳にはどこか熱がともっている。
ゾワっと背中に悪寒が走る。
その後は特になにも起こらず謁見は終了した。
アイリンやその他の人たちを残して側室たちと執務室に戻る。
執務室に戻って最初に口を開いたのはいつもは口を開かないヴィクトワールだった。
「アンドリュー、リカルドあの女注意して」
怪訝そうなどこか怒りの宿った瞳で2人を見ながら言う。
「承知しました」「はーい」
アンドリューとリカルドはすぐに返事をするが、エティエンヌとルイスは眉間にしわを寄せる。
「どういうことですか?」
ルイスが問うと答えたのは意外なことにロレンツッオだった。
「彼女、私たちを品定めしてましたね」
エティエンヌとルイスは驚いた。
2人にはそのようなことが一切感じられなかった。
しかし、これを言ったのがエイデンなら否定したが人の感情の機微に敏感なロレンツッオが言っただけに説得力があった。
「あの女、謁見のしているというのに私と一度も目が合わなかったのよ?」
イライラしながらヴィクトワールは続ける。
「あなた方が女性に人気があることも知っているし、私が同性から怖がられていることもわかっているわ。けどあれはダメ。私から貴方たちを奪おうとするのは許さない」
「「「「「「「………………」」」」」」」
7人の側室たちは全員はポカーンとしている。
最初に復活したのはイーサンだった。
「ヴィク!カワイイ〜。嫉妬?嫉妬?」
上機嫌にヴィクトワールに近づいて顔を覗き込む。
エイデンは嬉しそうに手を握ってくる。
ロレンツッオはニコニコしている。
他の4人はまだはポカーンとしている。
「…………聞かなかったことにして。もう執務終わったから、ヴィクトリアたちにあってくるわ」
なんか居心地が悪くなったのでヴィクトワールは逃げた。
そしてエイデンは安定でヴィクトワールについて行く。
ヴィクトワールは公式には3人兄弟だ。
兄と妹が1人ずついることになっている。
しかし実際には先々代皇帝にも側室もいたが、正室の以外は子を産んでいない。
父と兄は立て続けに亡くなったが、それを利用して自分は皇帝の息子を産んだと主張してくる女が山ほどいた。
一般的には知られていないが、皇子皇女となれるのは皇帝が在位している期間に生まれた子だけだ。
どんなに関係を持っていても、その相手の皇帝が亡くなったら王族にはならない。
それを知らない女たちの醜い争いはヴィクトワールに子どもを産む気にさせない理由の1つである。
この争いが原因でヴィクトワールには非公式で3人の弟がいる。
彼らは王族を名乗ることはないがある程度の身分は保障されている。
弟妹たちはヴィクトワールの数少ない癒しであるため何があっても週一のペースぐらいでは会う。
そんな癒された日の次の日面倒臭いことが起きた。
議会で《側室の周回制》が制定された。
前々から準備していたようでゴリ押しされどうしようもなかった。
内容としては正室を持たない皇帝は最低でも2人以上の側室を持ち、曜日を割り当ててその日は必ずその側室のもとを訪れるというものだ。
7人以上の場合は週一で休みを設けて、1週目に月曜休んだら、2週目は火曜というものだった。
8人以上いる場合は日付でというものだ。
もう強硬手段だ。
そんなこんなで側室たちと過ごす時間ができた。
大臣たちは「あんなカッコいいなら恋できます」とやたら恋愛を推し進めてくるが、いつか国のために政略結婚をすると思っていたので、恋とか愛とか知らない全くわからない。
どうすればいいかヴィクトリアことヴィーに相談してみた。
「ヴィー、どうしよう?」
真剣な顔で聞く。
「姉様、どうもこうもないですわよ。諦めて早く正室決めればいいのですわ」
ヴィクトリアは呆れた顔をしていう。
「そんな簡単に決まれば苦労しない」
ヴィクトリアのベッドにグデーンと横たわる。
ヴィクトリアは頭の上あたりに座り頭を撫でてくる。
「姉様には必ず大切な人が現れますわ」
ニコニコしながら頭を撫で続けるヴィクトリア。
10歳の妹に慰められる皇帝。
威厳も何もない。
そんな彼女はいつか大切な人ができるのだろうか。
すみません。
書ききれなかったので余裕があったら直します。
登場人物を多くしすぎました。
短編書く練習をしようとしたのですが上手くいきませんでした。
設定を詰め込みすぎました。
本当は側室たち一人一人に見せ場を作るつもりだったのに、まさかの妹に慰められて終わってしまいました。