始まり
初投稿になります。
私は人と話す事が好きだ。理由は多数あるが三割を占めるのが新たな知識の会得にある。ネットには多種多様な情報がある故嘘も多い、さして真実も多いであろう、いや事実多い。本は人生の友と語る私はもちろんのこと、同世代に多いらしいライトノベルしか読まない又は文学小説のみ、らしいと言ったのは事実比べる人間が居ない事が挙げられるが図書館の貸出履歴を追えば大体部分は推測可能だ。あくまで推測の域は越えないが。
本は先代から繋ぐものであり、新たな価値観を生み出すモノであり、価値観を習うものであると私は思う。さして得ている知を態々五十分の時間を費やす必要性は無いに等しくまたこれの時間を本に捧げる方がよい。
僕は人体が好きでよく医学書やらを読み漁ったものだ。実際に学んだ事が本当だと心から喜んだ。
知らない事を知る。新しい事を知る。快感を知る。痛みを知る。楽しいを知る。しる。しる。しる。
でも知らないこともあった。
死。
死。
死。
死。
死って何?他人ではわからなかったなら自分でやるしかない。
意識がふわふわする感覚。
手足が冷たくなる。
よく. 油の染み込んだ縄は痛みを与えず、あるのは死に対する期待のみ。
もうここで学び尽くした。
何にも学なくなった。寂しかった。悲しかった。
来世はもっと学びたいなぁ
……………肉体の死を確認…システム作動確認…記録の削除を開始……
システムエラー…エラー エラー エラー エラー エラー…
システムより魂の逃走を確認………支障なしと判定……作業を開始…
「旦那様、奥様の陣痛が始まりましたっ!」
本が所狭しと並んだ執務室に召使いが乱暴に入る。
旦那様と呼ばれたこげ茶の髪の男はガタッと乱暴に立ち上がりさっと身支度を整え部屋を飛び出した。
「アテーシャっ!」
専用に作らせた部屋で妻は汗をひたいに浮かばせ小さな赤子を抱いていた。
「みて、元気な男の子。私とおんなじ青いなのよ」
ふふっと笑い長い銀色の髪を揺らす。
赤子を覗き込むと妻が言ったように、青い目がじっとこちらを見ていた。なにかを探られるような視線に背中が一瞬凍ったような感覚が走るが赤子はすぐ、目をそらし妻を、アテーシャをみた。
妻の笑い声にハッとして視線を戻す。
「貴方をじっとみてるわ、なんて可愛いのかしら」
「…そうだな、可愛いな。」
「実はずっと前から名前を考えていたの」
この時代、子供の名前は夫が考えるものだったが愛しい妻の頼みだから。
「メティナス、いいでしょう?アミステス伯爵家に相応しい名でしょう?」
アテーシャの笑みはほんとうに綺麗だ。こちらも自然の笑みがこぼれる。
「アミステス伯爵家三男メティナス・ルウラ・アミステス。とてもいい響きだ」
アテーシャはこちらを見つめる赤子、メティナスに笑い掛けた。釣られるように笑ったメティナスを見てさっきの冷たさをジョセフ忘れていた。
来世は本当にあったんだ…またひとつ知ったよ。
少しぼやけた視界には幸せそうな銀の髪の女と茶色い髪の男がいる。
なんで髪が銀色なんだろう、アルビノかなぁ、なんなのかなぁ?
ギモンがいっぱいになるこの久しぶりの感覚に僕は笑った。