プロローグ
俺が初恋をしたのは、幼稚園の時だった。
俺はその時、その人の事しか考えられないほど好きだった。
でも俺は、今はその人の顔も名前も思い出せない。
まあ、それはそうか。だってあれはもう、9年も前の事だからね。今は別に関係ない。
彼女(初恋の人)は、突然引っ越すことになった。しょうがない。
彼女は、運命の人じゃなかったんだ。
そんなことを考えていると、ときどき思う。
「もしもいるなら・・・。」
「運命の人に、出会いたい。」
「俺にもそんな人がいるのかな・・・。」
俺はそう思いながら、机に突っ伏した。すると、何か暖かい光を感じた。
まぶしい。あまりのまぶしさに目を開けると、俺は教室にいたことに気付いた。
「教室?何で・・・。」
あたりを見回すと、暖かい春の日差しが窓から差し込んでいる。
ああこれか。さっきのまぶしい光は。
すると俺は、目の前に少女がいるのに気付いた。
「誰?」
少女の顔は少しぼやけ見えて、誰かわからない。
その少女は、俺を指さして聞いた。
「き@:は#@//れ?」
そこで目が覚めた。天井がぼんやりと見える。どうやら、夢を見ていたようだ。
「不思議な夢だったなぁ~。」
そこで俺は、あることに気付く。
「あれ・・・。」
知らない少女が俺に何かを聞いた。
しかしそれは、声が乱れていて、何を言っていたのかわからなかった。
その乱れた少女の声が、頭の中で響ている。
気になる。
あの少女の言葉を、知りたい。
なぜか、知らないといけない気がする。
そんなことを考えていると、ある願いのようなものが浮かんできた。
初めはそれがぼんやりしていたけど、だんだんわかってきた。はっきりと。
「もしも・・・。もしもだけど。」
声がだんだん大きくなっていく。思いが強くなる。
「あの少女がもしかしたら、この世界のどこかにいるかもしれない。」
その願いが、口からこぼれる。
「もしかすると、俺にとってあの少女は、運命の人かもしれない。
だから・・・。もしもいるのなら、1度でもいいから会ってみたい。」
そう言い終えた時、1つ疑問が浮かび上がった。
「もしかして俺は、あの少女のことが好きになったのか?
夢に出てきただけで、実在すすかもわからない人だぞ・・・。
俺は、おかしいのか・・・?」
洗面所に行って、顔を洗い鏡を見てみる。
鏡には、不安そうな自分の顔が移っていた。
少女の夢を見た、あの日から。
俺はあの少女の事が少し、気になっていた。