表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/154

残滓(小)のぼやき

閑話です

主の主様、カーラ様はとても変わったかたっす。


まず、その「命」の色がどこか変わっているっす。御歳のわりに存在が大きいし、何かが混ざっているような・・・いろんな「命」や「色彩」を観察しているっすけど、他に見たことがないっす。


ボクは観察するが好きで、自分の存在を認識した時からずっと続けているっすから、そこは自信があるっす。


そしてたぶん・・・優しいかたっす。


怒った顔は見たことないっす。せいぜい呆れた顔か、諦めた顔か、眉間にしわを寄せているか・・・全部、主のせいっすね。


貴族の方なのに主が気安く接しても、怒らないっす。

ほんとに何とも思っていないみたいで、悪い感情が読めないっす。村の大人が子供たちに接するときのような、なんか達観した感じっすよ。

主より年下とは思えないっす。


オニキス様とくつろいでいるときは、とても穏やかに微笑まれているっす。オニキス様が睨むので、盗み見ただけっすけど。


あと、ときどき怖い顔で笑うっす。


この前も、主と妹様が嫌味な侍女につかまって小言を言われていた時だったっす。主たちが気が付かない距離で、その侍女から見えるように笑いかけたっす。小言がすぐに終わったっす。


主が花瓶を割ったと疑われて、濡れ衣なのに侍従頭に怒られていた時も、笑いながら近づいてきて、破片をオニキス様に回収させたっす。

たぶん侍従頭には消えたように見えたんっすね。走って逃げて行ったっす。


ちなみにその破片は、部屋で主と一緒に魔法で修理したっすよ。魔法の練習になるって。

うまく直せたのを確認して、なに食わぬ顔で元の位置に戻していたっす。


カーラ様はわざと、回りの人間を怖がらせているみたいっす。理由はよくわからないっすよ。


あ、あと、ものすごく機嫌のいい時に、ぎゅってしてくるのをやめて欲しいっす。

その後のオニキス様が怖すぎるっすよ。


そう。カーラ様はあの、ボクと同じ黒とは思えない、オニキス様を従えているのにも関わらず、まったく気負うところがないっすよ。


主の主の黒様・・・「色彩」の世界でも、一度だけ、見たことがあったっす。世界の底に揺蕩たゆたう、深淵しんえんの黒。その底知れなさに、思わず身震いしたのを覚えているっす。


ボクは寂しがりっすから、頑張って「色彩」たちに付き合って居たっすけど、オニキス様で肝試しをしている連中を見たときは、意識が遠のいたっすよ。


今はオニキス様が、あの圧倒的な存在感をどうやってか薄くしてるみたいっすから、近づいても平気っす。でも近くにカーラ様がいない時は、怖い時もあるっす。


そのオニキス様に、主が喧嘩を売るっすから、信じられないっす!


主は生まれた村で戦い方と、貴族に仕えるために必要なことを教えられたっすけど、どちらかというと戦う方が好きみたいっす。


やっぱりオニキス様の方が段違いに強いっすけど、相手をしてもらえるのが楽しいみたいっす。どこが楽しいのか、ボクにはわからないっすけど、オニキス様もときどき楽しそうな時があるっす。

主とオニキス様は、仲がいいのか、悪いのか、わからないっす。


主は村の長老に、一人の主に仕えるのは向かないと言われていたっす。頭をえられる軍の方が向いているって。

その時は意味がよくわからなかったっすけど、今はなんとなくわかるっす。


主はよくも悪くも、一直線過ぎるからっす。


だからカーラ様も、たまに主の盲信を心配していたっす。でも最近は様子が変わってきたっすよ。

以前は仕える対象として、妹様を助けてくれた恩人として、同じ黒を持つものとしてといった、ちょっと堅苦しい感じだったっすけど・・・。


少しずつ好意が混じるようになったっす。

それと共に、カーラ様が望むなら汚いことでもなんでもやるっていう勢いは減ったっす。


それはいいっすけど・・・もしも、もしもっすけど。オニキス様がいる限り、ありえないっすけど!


カーラ様がいなくなったら、たぶん主は壊れるっす。


主なりに葛藤があるみたいっすけど、その姿を目にするたびに、触れるたびに、好意が重くなっていくっす。

想いに感づかれると、カーラ様に避けられるっすから、なるべく隠しているみたいっすけど、ボクにはわかってしまうっす。

心配っすけど、どうしようもないっす。


応援もできないっす。

オニキス様には勝てないっすよ。


終わりある契約を選ぶなんてと、妹様の精霊に馬鹿にされたっすけど、そんなことはないっす。

ボクは今が一番、楽しいっす。


だから主も、カーラ様も守れるように、ボクは頑張るっす。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ