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考えをまとめましょう!

 混乱に紛れて、強引に帰途についた馬車の中。父は何か考え込んでいるのか、考えを読まれないようにしているのか、始終無言で目をつむり、腕を組んだまま微動だにしません。


『戸惑ってはいるようだが、悪感情は読めない』

 

 オニキスは相変わらず、興味深そうに父を見上げています。

 ふむ。屋敷に帰るまで話す気はないようなので、この間に私も考えを纏めるとしましょう。


 先ほどの戦いをいつからか観られていたかですが・・・


『薙刀を握っていたのは見られたようだな。戸惑いの中に見える』


 あちゃー。手早く観客が来る前に仕留めたつもりでしたが、遅かったようです。薙刀でばっさりまで見られたかは不明ですが、得物を持っていたのは見られてしまいましたね。

 オニキスを援護する気で構えていたのですが、早く消した方がよかったかな。


『どこから見ていたかはわからん』


 ですよね。ありがとう、オニキス。

私としては、今更怖れる人が増えたところで問題ないのですが、父にその傾向がないのは、正直嬉しいです。

 今回あった事は、話してしまいましょうか。


 ゲームのカーラはどうしたのかな。

 状況的になにもしないのは、なかったと思うのですが。


『すまない。魔物が増えたのは、我のせいだ』


 どういう事ですか?

 申し訳なさそうに耳を寝かせて、オニキスがこちらを見上げます。


『穏便に済ますつもりが、煽ってしまったようだ。敵意があったのは、最初の一羽だけだった』


 推測するに、ゲームでは一羽だけだったのかもしれませんね。逃げ切ったのか、カーラが力を使ったのかはわかりませんが。

 その後、婚約者がいることから、逃げただけかもしれません。

 まあ、参考にならないのは確かですね。


『申し訳ない』


 気にしなくていいですよ。オニキスがいてくれて助かりましたし。そんな事より、オニキスが意地悪を言われていないかが心配です。


『大丈夫だ』


 オニキスが私の足にすり寄りました。

 あぁ。ぎゅっとできないのがもどかしい。いっそ父にバレてもいいから、オニキスを抱き締めようかな。


『後でいい!』


 手を伸ばしかけた私から、オニキスは慌てて離れてしまいました。そのままするりと私の影に溶け込みます。

 そんな。逃げなくてもいいのに。


 仕方ないので、再び考えるとしましょう。


 シナリオから、すでに離れてきているような現在。

 とりあえず死亡ルートは回避中で、ガンガーラ移住計画は頓挫しています。


 そもそも国外追放はウェルカムなんですよ。追放するなら住みにくそうな国かなと思っていたのですが、ガンガーラでないなら、北国なのかな。


 投獄も・・・まぁ、オニキスがいればなんとでもなりそうですし。この投獄ルートはヘンリー殿下に恋をしていない時点で、回避したと言えなくもないでしょう。


 ただシナリオ通りだと、どのルートでも家族に迷惑がかかる事、間違いなしなんですよね。


 あぁ。もう少しまじめにプレイしなかったことが悔やまれます。

 この「バル恋」に関する私の記憶は、ちょっと偏っているのですよ。

 実は私・・・戦う女の子が好きでして、恋愛の甘々要素ではなく、バトルの要素に惹かれて購入、プレイしたのです。

 ですからゲーム主人公については比較的よく覚えているのですが、攻略対象についてはあまり覚えていません。その背景とか、国の情勢とかも、ぼんやりとしか覚えていないのです。攻略対象とのからみより、カーラとのバトルの方を楽しんでいたくらいなので。

 はっ。ノーマルですよ! ノーマルですからね!! 大事なことなので、2度言いますよ!!!


 あー。思考がそれました。


 迷惑をかけずに、自由になる方法があるのか・・・。

 まずシナリオからは離れるべきですよね。もっと徹底的に離れてしまえばいいのかな。


 ん? それなら、とことん怖がらせるとか、やらかして「夜の女神再来」とばかりに、「こいつを誰とも結婚させたくない」状況にすればいいのでは? そうすれば「乙女ゲーム」の根幹ともいえる「色恋沙汰」からおさらばできるかも?!


 我ながらいい考えだと思うのですよ!


 ちらりと父の様子を伺います。さて、どこまで巻き込みましょうか。


『あー。カーラ』


 うん?何ですかオニキス。


『お前の父は、乗り物酔いしているようだ』


 




父「うぅ・・・行きは大丈夫だったんだが・・・緊張していたせいか?」

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